友人同士で入った互助会…片方が亡くなった時の悲劇的な落とし穴
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
「すぐに入れるお墓がないから、とりあえず遺骨を自宅に置いている」
「故人をいつも身近に感じていたいから、手元供養という形を選んだ」
様々なご事情から、火葬後のご遺骨をお墓に納骨せず、ご自宅で保管される方が年々増えています。
しかしその一方で、「このまま自宅に置き続けて、本当に法律は大丈夫?」「もし自分に何かあったら、この遺骨は一体どうなってしまうの?」といった切実なご相談を、私たちも頻繁に頂戴します。
そこで今回は、多くの方が悩まれる「遺骨の自宅保管」をテーマに、
- 遺骨の自宅保管は「違法」なのか「合法」なのか?
- 自宅に置き続けることで起こりうる、3つの深刻なデメリット
- “無縁仏”にしないために知っておくべき、多様な供養の選択肢
- 後悔しないために、今すぐご家族と話し合っておくべきこと
などを、分かりやすく、そして丁寧にご説明していきます。
【結論】自宅保管は合法。しかし“永続”は危険。最大のリスクは「無縁仏化」です
まず、ご遺骨をご自宅で保管する「手元供養」は、法律上、全く問題のない「合法」な行為です。
故人を身近に感じられる、とても素晴らしい供養の形の一つと言えるでしょう。
しかし、その状態を永続的に続けることには、無視できない大きなリスクが伴います。特に深刻なのが、
- カビや破損、紛失といった物理的な問題
- 「お墓参りしたい」という他の親族との感情的なトラブル
- そして最大のリスクが、ご自身が亡くなった後、遺骨の行き場がなくなり「無縁仏」になってしまうこと
です。
故人のため、そして残されるご家族のためにも、手元供養はあくまで「一時的な形」または「分骨という選択肢」と捉えることが極めて重要です。
ご自身が元気なうちに、そのご遺骨の「最終的な行き先」を明確に決め、準備しておくこと。
それが、故人とご自身、そして未来の世代に対する最大の責任であり、愛情表現に他なりません。
1. 遺骨の自宅保管は違法?「墓地埋葬法」で定められていること
結論から申しますと、ご遺骨を骨壷に入れた状態でご自宅に安置しておくことは、「墓地、埋葬等に関する法律(通称:墓地埋葬法)」には一切違反しません。
■ 法律で規制されている行為とは?
この法律が定めているのは、都道府県知事の許可を得た「墓地」以外に遺体を埋葬してはならない、ということです。
つまり「土に埋める」行為を規制しています。
■ 自宅保管は法律上の「保管(安置)」
ご自宅に骨壷を置く行為は、埋葬にはあたらず、単なる「保管(安置)」と見なされるため、法律の規制対象外なのです。
【要注意】自宅の庭や私有地であっても、許可なく遺骨を埋めるのは違法です。
良かれと思って自宅の庭などに無許可でご遺骨を埋めてしまうと、死体遺棄罪や墓地埋葬法違反に問われる可能性があります。これは絶対にやってはいけません。
2. 要注意!自宅保管を続けることで起こりうる「3つの末路」
法律的に問題はなくとも、長期的な自宅保管には、避けて通れない3つのリスクが存在します。
リスク①:カビ・破損・紛失の末路
骨壷は陶器製のため、地震や不注意で落下すれば、簡単に割れてしまいます。
また、湿気の多い場所に長期間置いておくと、骨壷内に結露が発生し、大切なご遺骨にカビが生えてしまう悲劇も起こり得ます。
最悪の場合、引越しや家の解体時に紛失してしまうケースもあります。
リスク②:親族トラブルの末路
ご遺骨は、特定の一人の所有物ではありません。
「お墓があれば、いつでもお参りできるのに」「なぜきちんと納骨してあげないのか」と考えるご親族もいらっしゃいます。
事前に十分な話し合いをせずに自宅保管を続けると、遺骨の所有権を巡る深刻なトラブルに発展することも決して珍しくありません。
リスク③:【最大のリスク】“無縁仏”という悲しい末路
これが最も深刻で、絶対に避けなければならない問題です。
ご自身が亡くなった後、そのご遺骨を誰が、どのように供養してくれるのでしょうか。
お子様や他のご親族が、必ずしも引き取って供養してくれるとは限りません。
最悪の場合、誰にも看取られることなく、家の整理や解体時に「行き場のない遺骨」として発見され、無縁仏として処分されてしまうのです。
3. “無縁仏”にしないために。多様化する遺骨の最終的な行き先
将来の不安を解消するためにも、最終的な納骨先として、以下のような多様な選択肢を検討しておくことが重要です。
- 一般墓:先祖代々受け継いでいく従来のお墓。承継者(お墓を守る人)が必要となります。
- 納骨堂:寺院や霊園の屋内施設にご遺骨を安置する方法。天候に左右されずお参りでき、承継者不要の「永代供養付き」が主流です。
- 樹木葬:墓石の代わりに、樹木や草花を墓標とするお墓。自然志向の方に人気で、こちらも永代供養付きがほとんどです。
- 永代供養墓:お墓の承継者がいなくても、寺院や霊園が永続的にご遺骨を管理・供養してくれる合祀墓(ごうしぼ)や集合墓のことです。
- 散骨:ご遺骨を粉末状にして、許可された海域や山林にまく方法。節度ある方法で行う必要があり、専門業者への依頼が一般的です。
【まとめ】手元供養は「通過点」。最終的な行き先を決めることが故人への誠意です
手元供養は、故人を偲び、ご遺族が心の整理をするための、かけがえのない大切な時間を与えてくれます。
しかし、それが「供養の終着点」ではないことを、心に留めておく必要があります。
では、本日の重要なポイントをまとめます。
- ご遺骨の自宅保管(手元供養)は合法。ただし、自宅の庭などに無許可で埋めるのは違法行為。
- 長期保管の最大のリスクは、管理者であるご自身が亡き後、ご遺骨が誰にも供養されず「無縁仏」になってしまうこと。
- カビや破損、親族との感情的なトラブルも、実際に起こりうる大きなデメリット。
- 手元供養をする場合でも、必ず生前のうちに「最終的な納骨先」として永代供養墓などを決め、準備しておくことが、故人と残される家族への最大の責任。
- お墓の承継者がいない方でも安心できる納骨堂や樹木葬、永代供養墓など、現代の供養の選択肢は非常に多様化している。
私たち葬儀社は、ご葬儀という儀式だけでなく、その後のご供養の形についても、ご遺族一人ひとりのお気持ちやご事情に寄り添い、最適なご提案をさせていただく使命があると考えております。
お墓や納骨に関するどのようなお悩みも、どうぞ一人で抱え込まず、私たち専門家にご相談ください。
株式会社大阪セレモニー



