【遺言書の書き方完全ガイド】自筆証書と公正証書、どっちを選ぶ?無効にならないための全知識
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
「父の相続(一次相続)の時、配偶者控除のおかげで、相続税はゼロだった」
「だから、次に母が亡くなる時(二次相続)も、きっと大したことはないだろう」
もし、あなたがそう楽観視しているとしたら、それは将来、お子様たちに数千万円単位の“税金爆弾”を遺す、非常に危険な考え方かもしれません。
相続税対策の成否は、目先の一次相続だけで判断してはなりません。
本当の勝負は、その先にある「二次相続」を、いかに見据えているかで決まるからですね。
今回は、多くのご家庭が見落としがちな、しかし相続対策の“肝”である、「二次相続対策」をテーマに、
- 一次相続と二次相続で、税金のルールが全く違う理由
- “税金爆弾”が炸裂する、典型的な失敗パターン
- 家族全体の納税額を最小化する「黄金の分割割合」とは
- 今からできる、二次相続に備えた具体的なアクション
などを、分かりやすく解説していきましょう。
【結論】相続税対策は“二次相続”までがワンセット。「配偶者の税額軽減」の安易な利用が将来の高額な税金を生む!
一次相続(例:父の死亡)で相続税が驚くほど安くなるのは、「配偶者の税額軽減」という、最低でも1億6千万円まで非課税になる強力な特例のおかげです。
しかし、この魔法のような特例は、次に残された配偶者(母)が亡くなる二次相続では、一切使えません。
その結果、一次相続では課税を免れた財産が、二次相続では丸ごと課税対象となり、さらに相続人の数も減るため、基礎控除額も縮小。
これらが相まって、相続税額が爆発的に増加するという現象が起こるのです。
この最悪の事態を避けるための唯一の道。
それは、一次相続の遺産分割協議の段階で、目先の税金がゼロになるという誘惑に負けず、「一次+二次」のトータルでの納税額が最も少なくなるような、戦略的な財産分割を行うこと。
これには、相続専門の税理士による、極めて専門的なシミュレーションが不可欠であり、この視点を持つか持たないかで、ご家族が最終的に手にする財産の額は、文字通り桁が変わってくると言っても過言ではないでしょう。
1. なぜ危険?一次相続で「母さんに全部」が招く悲劇
「残されたお母さんの生活が心配だから」という、子供たちの優しい気持ちが、かえって二次相続での重税を招く典型的なパターンを見てみましょう。
【失敗パターン】資産1.5億円、相続人が母・長男・長女のケース
一次相続(父の死亡時):
母が全財産1.5億円を相続。
→「配偶者の税額軽減」により、相続税は0円。
二次相続(母の死亡時):
母が相続した1.5億円を、長男・長女の2人が相続。
「配偶者の税額軽減」は使えない。
基礎控除額が、4,800万円(相続人3人)→4,200万円(相続人2人)に減少。
課税遺産総額:1億800万円(1.5億円-4,200万円)
↓
相続税の総額:約1,400万円
2. 家族を救う「黄金の分割割合」という戦略的思考
では、一次相続の時に、どのような分割をしていれば、この悲劇は避けられたのでしょうか。
【成功パターン】一次相続で、母と子供たちに適切に財産を分ける
一次相続(父の死亡時):
法定相続分どおり、母が1/2(7,500万円)、長男・長女がそれぞれ1/4(3,750万円)を相続。
→母の相続分は配偶者控除で非課税。子供たちの分にも相続税はかからず、相続税は0円。
二次相続(母の死亡時):
母の財産7,500万円を、長男・長女の2人が相続。
基礎控除額:4,200万円
課税遺産総額:3,300万円(7,500万円-4,200万円)
↓
相続税の総額:約380万円
ご覧ください。
一次相続の分割方法を変えるだけで、家族全体で支払うトータルの税額が、1,400万円 → 380万円へと、実に1,000万円以上も圧縮できるのです。
これが、二次相続対策の威力なのですね。
3. 今からできる!二次相続に備えた3つのアクション
二次相続対策は、一次相続が発生する「前」と「後」で、打てる手が変わってきます。
【一次相続の前(親が健在なうち)にできること】:
①遺言書の作成:親に、二次相続まで見据えた「黄金の分割割合」を指定する遺言書を作成してもらう。これが最も強力です。
②生命保険の活用:親を契約者・被保険者、子供たちを受取人とする保険に加入し、納税資金を非課税で遺す準備をしておきます。
【一次相続の後(残された配偶者がやるべきこと)】:
③計画的な生前贈与:残された配偶者(母)が、自身の財産を、子供や孫へ計画的に生前贈与していく。二次相続の課税対象財産そのものを減らしていく、非常に有効な手段と言えるでしょう。
【まとめ】相続対策は“長期的視点”がすべて。家族全体の未来を設計しよう
目先の節税に飛びつくのではなく、10年、20年先を見据え、家族全体の資産をどう守り、どう繋いでいくか。
その長期的で大局的な視点こそが、真の相続対策ではないでしょうか。
では、本日のポイントをまとめます。
- 一次相続で使える「配偶者の税額軽減」は、二次相続では使えないという、根本的なルールの違いを理解する。
- 一次相続で安易に配偶者に財産を集中させると、二次相続で“税金爆弾”が炸裂するリスクが極めて高い。
- 対策の鍵は、一次相続の段階で、二次相続まで見据えた「黄金の分割割合」を、税理士と共に導き出すこと。
- 遺言書、生命保険、生前贈与といったツールを組み合わせ、計画的に資産を次世代へ移転していく戦略が不可欠。
- 相続は、点でなく「線」で考える。この視点を持つことが、家族の財産を最大限に守ることに繋がる。
ご葬儀の場で、残された配偶者様が「あの子たちに、迷惑はかけられないからね」と、気丈に話されることがあります。
その深い愛情を、本当に子供たちの未来を守る形にするためには、感情だけでなく、税金という現実を見据えた、冷静で戦略的な準備が不可欠なのです。
私たちも、ご遺族のそうした想いを無駄にしないためにも、二次相続のリスクについて、機会あるごとに警鐘を鳴らし続けていきたいと考えております。
株式会社大阪セレモニー



