相続トラブルは他人事じゃない！弁護士いらずの家族になる「今からできる3つの習慣」

皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。

「うちは財産なんてないから、相続で揉めるはずがない」

「子供たちは仲が良いから、きっとうまくやってくれるだろう」

もし、あなたがそう楽観視しているとしたら、それは非常に危険な考え方です。

実は、相続トラブルの約75%は、遺産総額5,000万円以下のごく普通のご家庭で起きています。

財産の多少にかかわらず、どんな家族にも「争族」の火種は潜んでいるのです。

今回は、弁護士いらずの円満相続を実現するための、「今からできる3つの習慣」をテーマに、

「言わなくても分かる」は禁物。オープンな家族会議
“不公平感”をなくす、親の賢いお金の使い方
最強のトラブル予防策「エンディングノート」のすすめ

などを、具体的な実践方法と共にご紹介していきましょう。

【結論】相続トラブルの根源は「コミュニケーション不足」と「不公平感」。日頃からの対話と、想いの“見える化”が最大の予防策

相続トラブルは、法律やお金の問題である以前に、家族間の「感情」の問題です。
その根底にあるのは、いつだって、

「親が何を考えているか分からない」という、コミュニケーション不足
「自分だけが損をしている」という、不公平感

この2つに尽きると言っても過言ではないでしょう。

逆に言えば、この2つの要因を日々の生活の中で解消していくことができれば、相続トラブルのリスクは劇的に減少します。

日頃から家族でオープンに話し合い、親の想いや考えを「見える化」しておく。

たったこれだけの習慣が、法律論争とは無縁の、円満な家族関係を未来永劫守るための、最も強力な「お守り」となるのですね。

1. 【習慣①】年一回の「家族会議」で、お金と想いをオープンに

相続の話を切り出すのは、誰にとっても勇気がいること。

しかし、それを「タブー」にするのではなく、「家族の定例行事」にしてしまうのが、成功の秘訣です。

実践のヒント：

タイミングは「親の誕生日」や「お正月」など、家族が集まる機会を利用する。
議題は「相続」という直接的な言葉を避け、「これからの家族のこと」「お父さんお母さんの夢」といった、前向きなテーマから始める。
親は「子供たちに迷惑をかけたくない」、子は「親の希望を叶えたい」という、お互いの想いを正直に伝え合う場にする。
財産の詳細をすべて開示する必要はない。「どの銀行に口座がある」「保険は〇〇に入っている」といった情報の共有だけでも、効果は絶大。

この会議の目的は、何かを決めることではありません。

「何でも話せる」という安心感を、家族全員で共有することにあります。

2. 【習慣②】生前贈与は“オープン”に。子供全員への「不公平感」をなくす

「長男の家の頭金だけ援助した」

「孫の学費は次女にだけ出してあげた」

こうした、特定の子供への「内緒の援助」が、後々、深刻な不公平感を生み、相続トラブルの最大の引き金となります。

実践のヒント：

特定の子供にまとまった資金援助（生前贈与）をする場合は、必ず他の兄弟姉妹にもその事実を伝え、理由を説明する。「なぜなら…」の一言があるだけで、納得感は大きく変わります。
「特別受益」の知識を持つ。特定の子供だけが受けた生前贈与は、相続時に「遺産の前渡し（特別受益）」とみなされ、その子の相続分から差し引かれるのが法律の原則です。このルールを、家族全員が理解しておく必要があります。
最も公平なのは、子供全員に、同じ時期に、同じ金額を贈与すること。それが難しい場合は、なぜ差があるのかを、親自身の言葉で正直に説明する責任があります。

3. 【習慣③】最強の“見える化”ツール、「エンディングノート」を家族で作る

家族会議で話し合った内容や、親御様の想いを形として残すための、最も手軽で強力なツールが「エンディングノート」です。

実践のヒント：

市販のノートで十分。「親に書いてもらう」のではなく、「家族みんなで一緒に作る」というスタンスが大切です。
親が書きにくい部分は、子供がインタビュー形式で聞き出し、代筆してあげるのも良いでしょう。
財産や葬儀の希望といった事務的な情報だけでなく、「家族への感謝の言葉」や「人生で楽しかった思い出」といった、感情的なメッセージを記すページを設けることが、何よりの「争族」予防になります。
完成したら、その保管場所を家族全員で共有しておきます。

エンディングノートに法的な効力はありません。

しかし、そこに記された親の想いは、法律以上に、残された家族の心を一つにする力を持っているのです。

【まとめ】相続準備は、家族の絆を深める最高のコミュニケーション

相続対策と聞くと、どこか冷たく、事務的な響きがあるかもしれません。

しかしその本質は、家族がお互いを思いやり、未来について語り合う、非常に温かいコミュニケーション活動です。

では、本日のポイントをまとめます。

相続トラブルの根源は、財産の多少ではなく、「コミュニケーション不足」と「不公平感」にある。
年に一度の「家族会議」を習慣化し、お金と想いをオープンに話せる関係性を築くことが第一歩。
特定の子供への資金援助は「内緒」にしない。オープンにすることが、不公平感をなくす最大のコツ。
家族会議の内容や親の想いは、「エンディングノート」に記録して“見える化”する。これが最強のトラブル予防策。
これらの習慣は、相続のためだけでなく、今を生きる家族の絆をより深く、強くするためのもの。

ご葬儀の場で、ご遺族が「生前、父がノートに色々書き残してくれていたので、本当に助かりました」と、穏やかな表情で話してくださることがあります。

故人が遺してくれた想いのバトンが、残された家族を支え、導いていく。私たちは、そんな温かい相続の形が、一つでも多くのご家庭で実現されることを、心から願っております。

株式会社大阪セレモニー