葬儀は”事前相談”でオトクになる!?
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
ご家族が亡くなられた後、深い悲しみの中で、多岐にわたる手続きに追われます。
その中で、意外と見落としがちなのが「年金の受給停止手続き」です。
「手続きを忘れていたけど、どうせ後で止まるだろう」
「故人の口座に残っている年金くらい、葬儀費用にあてても大丈夫だろう」
こうした安易な考えが、後に「不正受給」とみなされ、ご遺族を深刻なトラブルに巻き込む悲劇を招くことがあります。
そこで今回は、この「死亡後の年金手続き」をテーマに、
- なぜ手続きをしないと「不正受給」になるのか?
- 手続き漏れが招く、返還命令と刑事罰のリスク
- 必ず提出すべき「年金受給権者死亡届」とは?
- 遺族が受け取れる「未支給年金」「遺族年金」について
などを、分かりやすく解説していきます。
【結論】死亡後の年金受給は「不正受給」。悪意がなくても全額返還義務あり。
年金を受け取る権利は、ご本人が亡くなられた時点で消滅します。
したがって、死亡後に故人の口座へ振り込まれた年金は、法的には受け取る権利のないお金であり、これを引き出したり使用したりすると、悪意の有無にかかわらず「不正受給」と判断されます。
不正受給とみなされた場合、
- 受け取った年金の全額返還を命じられる。
- 故意に死亡を隠していた場合は、詐欺罪として刑事罰に問われる可能性もある。
といった、極めて重いペナルティが科せられます。
このような悲劇を避けるためには、ご家族が亡くなられた後、速やかに「年金受給権者死亡届」を提出し、受給を停止する手続きを行うことが、ご遺族に課せられた法的な義務なのです。
1. なぜ? 日本年金機構が死亡を把握していても手続きが必要な理由
「役所に死亡届を出せば、年金事務所にも情報が伝わるのでは?」と思われるかもしれません。
確かに、日本年金機構は住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)を通じて死亡情報を確認していますが、これには一定のタイムラグが生じます。
年金の支払いは2ヶ月に一度、後払いで行われるため、死亡届の情報が反映される前に、すでに次回の年金支払いの準備が進んでしまっていることがあります。
その結果、ご本人が亡くなられた後も、1回~2回(2~4ヶ月分)の年金が口座に振り込まれ続けてしまうのです。
この振り込まれた年金を「故人がもらうはずだったお金だ」と勘違いして使ってしまうケースが、トラブルの始まりです。
2. 手続き漏れが招く悲劇…「返還命令」と「詐欺罪」のリスク
手続きを怠った場合に何が起こるのか、具体的に見ていきましょう。
①年金の全額返還命令:
後日、日本年金機構からご遺族宛に通知が届き、不正に受給した年金の全額を返還するよう求められます。
多くの場合、一括での返還を求められるため、ご遺族にとって大きな経済的負担となります。
返還が遅れれば、延滞金が加算されることもあります。
②刑事罰(詐欺罪)のリスク:
もし、故意に死亡の事実を隠し、不正に年金を受け取り続けた場合は、極めて悪質な行為として「詐欺罪」に問われます。
実際に、親の死亡を届け出ずに年金を受け取り続け、逮捕されたというニュースは後を絶ちません。
詐欺罪は「10年以下の懲役」という非常に重い刑罰が定められています。
3. 悲劇を避けるための必須手続きと、遺族がもらえるお金
死亡後の年金手続きは、リスクを回避するだけでなく、ご遺族が正当に受け取れるお金を受け取るためにも重要です。
【必ず行う手続き】:
- 手続き名:年金受給権者死亡届(報告書)の提出
- 提出先:最寄りの年金事務所または街角の年金相談センター
- 提出期限:国民年金は死亡日から14日以内、厚生年金は10日以内と定められています。
※マイナンバーが日本年金機構に登録されていれば、この届出は原則不要ですが、他の手続きもあるため、まずは年金事務所へ連絡・相談するのが確実です。
【遺族が受け取れる可能性のあるお金】:
- 未支給年金:故人が受け取るはずだったが、亡くなったために受け取れなかった年金(例:4月15日に亡くなった場合、2月・3月分の年金)を、生計を同じくしていた遺族が請求できます。
- 遺族年金:故人によって生計を維持されていた遺族の生活を支えるための年金です。「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があり、受給には一定の条件があります。
これらの「もらえるお金」を受け取るためにも、年金事務所での手続きは不可欠です。
【まとめ】死亡後の年金手続きは迅速に。リスク回避と生活防衛のために
故人の死後に振り込まれた年金は、決して「最後にもらえたお金」ではありません。
それは、国に返さなければならないお金です。
この認識の違いが、後の大きな悲劇につながります。
では、本日のポイントをまとめます。
- 死亡後に故人の口座へ振り込まれた年金は「不正受給」となり、全額返還の義務がある。
- 故意に死亡を隠して受給を続けると「詐-欺罪」に問われ、逮捕されるリスクがある。
- 悲劇を避けるには、死亡後速やかに「年金受給権者死亡届」を提出する(または年金事務所へ連絡する)ことが必須。
- 手続きの際には、「未支給年金」や「遺族年金」など、遺族が受け取れるお金がないかも必ず確認する。
- 手続きで分からないことがあれば、一人で判断せず、年金事務所や専門家に相談する。
ご葬儀後の慌ただしい中で、年金の手続きは複雑に感じられるかもしれません。
しかし、トラブルになる前に、早めの手続きを行いましょう。
株式会社大阪セレモニー



