「故人のSNS、どうすればいい?死亡の連絡は誰がどこまで?」

山田泰平

山田泰平

テーマ:葬儀後のお話

皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。

現代では、FacebookやX(旧Twitter)、Instagram、LINEといったSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を通じて、多くの方々が日々の出来事を発信したり、友人・知人とコミュニケーションを取ったりしていますね。

故人様が生前に、これらのSNSを活発に利用し、オンライン上で幅広い交友関係を築いていた、というケースも珍しくありません。

しかし、その方がお亡くなりになった場合、

  • 故人のSNSアカウントって、そのままにしておいていいの?
  • オンライン上の友人たちに、死亡の事実をどうやって伝えればいいんだろう?
  • 誰が、どこまでの範囲の人に、どんな内容で知らせるのが適切なのか?
  • アカウントを削除するべきか、それとも追悼アカウントみたいに残せるの?
  • パスワードが分からないと、何もできないのか?

と、そのアカウントの扱いや、オンライン上の関係者への訃報連絡について、ご遺族が頭を悩ませる状況が増えています。

故人のSNSは、生きた証であり、思い出の詰まった場所でもある一方で、放置しておくと、様々な問題を引き起こす可能性も秘めています。

また、オンライン上の友人たちにとっても、故人の死を知る権利があり、お別れの機会を求める気持ちがあるかもしれません。

そこで今回は、この「故人のSNSアカウントの扱いと、オンライン上の友人への死亡連絡」という、現代ならではのデリケートな問題について、分かりやすく解説していきます。

【結論】故人のSNSは放置せず、遺志とプライバシーを尊重し対応を。死亡連絡は慎重に、アカウントは追悼化か削除

故人様が生前に利用していたSNSアカウントは、放置しておくと、アカウント乗っ取りによる不正利用や、故人が亡くなったことを知らない友人からのメッセージが届き続けるといった問題が生じる可能性があるため、何らかの対応が必要です。

まず、故人がどのSNSを利用していたかを把握し、可能であれば故人の遺志(アカウントをどうしてほしいか)を確認します。

オンライン上の友人へ死亡の事実を伝えるかどうか、伝える範囲や方法は、故人のプライバシーや人間関係を考慮し、家族・親族間で慎重に話し合って決定します。

伝える場合は、故人のアカウントから代理で投稿する、あるいは親しい共通の友人に依頼する、といった方法が考えられます。

各SNSプラットフォームには、アカウントの「追悼アカウント化(メモリアルアカウント化)」や「削除」といった手続きが用意されています。

これらの手続きを行うには、多くの場合、死亡証明書や申請者との関係を証明する書類などが必要です。

アカウントのパスワードが分かっていれば、ご遺族がログインして投稿の管理や削除を行うことも可能ですが、不正アクセスとみなされるリスクも考慮し、慎重に行うべきでしょう。

パスワードが不明で、かつ追悼アカウント化や削除も難しい場合は、放置せざるを得ないケースもありますが、可能な限り何らかの対応をとることが望ましいですね。

1. なぜ故人のSNSアカウントへの対応が必要なのか? 放置するリスク

故人のSNSアカウントをそのまま放置しておくと、以下のような問題が発生する可能性があります。

アカウントの乗っ取り・不正利用:長期間動きのないアカウントは、サイバー犯罪のターゲットにされやすく、乗っ取られて不適切な投稿をされたり、個人情報を悪用されたりするリスクがあります。

故人が亡くなったことを知らない友人からのコンタクト:誕生日のお祝いメッセージや、近況を尋ねるコメントなどが届き続け、それを見るご遺族が辛い思いをしたり、対応に苦慮したりすることがあります。

誤情報・デマの拡散:故人の死に関する不正確な情報が、オンライン上で拡散されてしまう可能性も。

有料サービスの継続:もしSNSが有料プランに加入していた場合、料金が発生し続ける可能性があります。

精神的な負担:ご遺族にとって、故人の生前の投稿を見続けることが、かえって辛い場合もあります。

2. まず確認すべきこと:アカウントの特定と故人の遺志


故人が利用していたSNSの特定:
故人のスマートフォンやパソコンのアプリ、ブックマーク、メールの通知などから、利用していたSNSを特定します。主なものとしては、Facebook、X(旧Twitter)、Instagram、LINE、TikTokなどが挙げられます。


故人の遺志の確認:
もし、故人がエンディングノートや遺言書、あるいは生前の会話の中で、自分の死後のSNSアカウントの扱いについて何か希望を遺していれば、それを最大限尊重します。例えば、「アカウントは削除してほしい」「追悼アカウントにして残してほしい」「この友人には連絡してほしい」など。


ログイン情報(ID・パスワード)の確認:
もしログイン情報が分かれば、後の対応がスムーズに進む場合があります。ただし、無理に探したり、推測して何度もログインを試みたりするのは避けましょう。

3. 死亡の事実をオンライン上の友人に伝える場合の主な方法と注意点

伝えるかどうか、誰に、どこまで伝えるかは、故人のプライバシーと人間関係、そしてご遺族の判断によります。


伝える場合の主な方法:

①故人のアカウントから代理で投稿:ご遺族が、故人のアカウントにログインし(パスワードが分かる場合)、死亡の事実と葬儀の報告(必要であれば)、そして生前のお付き合いへの感謝などを投稿します。これが最も広範囲に、かつ直接的に伝えられる方法の一つです。

②ご遺族自身のアカウントから投稿:ご遺族が自身のSNSアカウントで、故人の死亡と、故人のアカウントについて言及する形で報告します。

③親しい共通の友人に依頼:故人と特に親しかった共通の友人に、オンライン上の友人グループなどに伝えてもらうようお願いする。

④個別にメッセージを送る:特に親しかったと思われる数名に絞って、個別にダイレクトメッセージなどで伝える。



伝える内容の例:

「〇〇(故人名)の家族(または友人)の△△です。かねてより病気療養中(または、去る〇月〇日)の〇〇が、〇月〇日に永眠いたしました。生前は皆様に大変お世話になり、心より感謝申し上げます。葬儀は近親者のみにて執り行いました(または、執り行う予定です)。本来であれば個別にご連絡申し上げるべきところ、略儀ながらこの場を借りてご報告させていただきます。」



注意点:

①プライバシーへの配慮:故人の死因や、闘病生活の詳細など、あまりにプライベートな情報を不特定多数に公開する必要はありません。

②言葉遣い:丁寧で、相手を気遣う言葉遣いを心がけましょう。

③コメントへの対応:投稿後、多くのコメントが寄せられる可能性があります。全てに返信するのは大変ですので、まとめてお礼を述べるか、あるいは返信は不要である旨を書き添えておくのも一つの方法です。

④伝える範囲の検討:本当に全てのオンライン上の友人に伝える必要があるのか、故人との関係性の濃淡も考慮しましょう。

4. 各SNSプラットフォームの「追悼アカウント化」や「アカウント削除」手続き

多くの主要なSNSプラットフォームでは、亡くなったユーザーのアカウントについて、以下のような手続きを用意しています。

追悼アカウント化(メモリアルアカウント化):

①内容:故人のアカウントを、追悼の場として残すための機能です。アカウントへの新規ログインはできなくなり、プロフィールに「追悼」などの表示が追加され、友人などが思い出を投稿したり、メッセージを寄せたりできる場となります。生前の投稿はそのまま残ることが多いです。

例:Facebookの「追悼アカウント」、Instagramの「追悼アカウント」など。

②手続き:通常、近親者が、死亡証明書や自身と故人との関係を証明する書類などを提出して申請します。



アカウントの削除:

①内容:故人のアカウントと、それに紐づく全てのデータ(投稿、写真、メッセージなど)を完全に削除する手続きです。

②手続き:追悼アカウント化と同様に、近親者が死亡証明書などを提出して申請します。



どちらの手続きを選ぶかは、故人の遺志や、ご遺族の考え方によります。

各SNSのヘルプセンターなどで、具体的な手続き方法や必要書類を確認しましょう。

5. アカウントのパスワードが不明な場合の対処法

故人のSNSアカウントのパスワードが分からない場合、ご遺族がログインして投稿を管理したり、メッセージを確認したりすることは、原則としてできません。

携帯電話会社やSNS運営会社は、プライバシー保護の観点から、パスワードを開示したり、アカウントへのアクセスを許可したりすることはないからです。

不正アクセスは厳禁:推測でパスワードを何度も入力したり、不正な手段でアクセスしようとしたりするのは、法に触れる可能性があり、絶対にやめましょう。

できること:上記4の「追悼アカウント化」や「アカウント削除」の手続きは、多くの場合、”パスワードが分からなくても、近親者であれば申請可能”です。

データサルベージ業者:どうしても内部のデータ(写真など)を取り出したいがパスワードが不明な場合、ごく稀に専門業者が対応できるケースもあるかもしれませんが、非常に困難で高額になることが予想され、確実性もありません。

6. 残された家族が後悔しないためのポイント


故人の遺志を最大限尊重する:もし故人がSNSの扱いについて何か希望を遺していれば、それを第一に考えましょう。

家族・親族間でよく話し合う:誰が、どのように対応するか、意見が分かれることもあります。全員が納得できる方法を見つけるために、しっかりと話し合いましょう。

全てを完璧にやろうとしない:故人が多数のSNSを利用していた場合、全てのアカウントを把握し、対応するのは非常に大変です。優先順位をつけ、できる範囲で行いましょう。

時間をかけても良い:葬儀直後は心身ともに疲弊しています。SNSの対応は、少し落ち着いてから、時間をかけて行っても問題ありません。

困ったら専門家やプラットフォームに相談する:手続き方法が分からない場合や、トラブルが生じた場合は、弁護士やSNSのヘルプデスクに相談しましょう。

【まとめ】故人のSNSは生きた証。敬意と配慮をもって、適切な対応を

故人様が遺したSNSアカウントは、その方の生きた証であり、多くの人との繋がりの記録でもあります。

その扱いについては、故人のプライバシーと遺志を尊重し、残されたご家族やオンライン上の友人たちの気持ちにも配慮しながら、慎重に対応することが求められます。

では、本日のポイントをまとめます。

・故人のSNSアカウントは放置せず、何らかの対応を検討する。

・まず故人の遺志とアカウント情報を確認する。

・死亡の事実をオンラインで伝える場合は、範囲や内容、方法を慎重に検討する。

・各SNSの「追悼アカウント化」や「アカウント削除」の手続きを利用する。

・パスワードが不明な場合は、無理にアクセスしようとせず、プラットフォームの正規の手続きで対応する。

・家族・親族間でよく話し合い、専門家の助けも借りながら、後悔のない方法を選ぶ。


デジタル時代の新しい課題とも言える故人のSNSの扱い。

法的な整備もまだ十分とは言えない部分もありますが、最も大切なのは、故人への敬意と、関係する人々への思いやりを持って、誠実に対応していくことではないでしょうか。

【要注意】デジタル遺産トラブルが急増しています。

株式会社大阪セレモニー

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山田泰平
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山田泰平(葬儀)

株式会社大阪セレモニー

当社は家族葬を専門に、これまで1000件以上の葬儀をお手伝いさせて頂きました。少人数だからこそ実現できるきめ細やかなサービスと、ご遺族様の想いに寄り添った丁寧な対応を心がけています。

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