自分でできる遺品整理!失敗しないための手順と注意点

山田泰平

山田泰平

テーマ:葬儀後のお話

皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。

これまでのコラムで、遺品整理を始めるタイミングや、業者に依頼する場合の費用相場、業者選びのポイントなどについてお話ししてきました。

今回は、「費用を抑えたい」「故人の物を他人には触らせたくない」「時間をかけて、じっくりと故人と向き合いたい」といった理由から、ご自身の手で遺品整理を行いたいと考えている方に向けて、その具体的な方法を解説していきたいと思います。

「自分でやるって言っても、どこから手をつければいいの?」

「効率よく進めるコツってある?」

「やってはいけないこと、注意すべきことは?」

そんな疑問や不安を解消するために、今回は私たち葬儀のプロの視点も踏まえながら、失敗しないための遺品整理の「手順」と「注意点」、そしてスムーズに進めるための「整理術」とも言えるようなコツを、具体的にお伝えしていきます。

ご自身で行う遺品整理は、時間も労力もかかりますが、故人様との最後の対話のような、かけがえのない時間にもなり得ます。

この記事を参考に、無理なくそして心を込めて、大切な方の遺品整理を進めていただければ幸いです。

始める前に再確認!自分で遺品整理を行うための準備

まず、ご自身で遺品整理を行うと決めたら、始める前に以下の点について再確認し、準備を整えましょう。

時間と労力がかかる覚悟: 物の量にもよりますが、数日から数週間、場合によっては数ヶ月かかることもあります。体力的な負担も大きいです。本当に自分でやり遂げられるか、冷静に考えましょう。

親族との合意形成: 遺品整理は相続に関わる問題でもあります。必ず事前に相続人全員で話し合い、進め方や役割分担について合意を得ておきましょう。勝手に進めると、後でトラブルになる可能性があります。

☆☆必要な道具の準備☆☆

マスク、手袋(軍手、ゴム手袋):ホコリや汚れ対策、安全のため。

ゴミ袋(可燃、不燃、資源など、自治体の分別に合わせて):大量に必要になります。

段ボール箱、収納ケース:仕分けした物を一時保管したり、形見分け用に梱包したりするのに使います。

マジックペン、養生テープ、ガムテープ:箱の中身を明記したり、梱包したりするのに必要です。

掃除道具(雑巾、ほうき、掃除機、洗剤など):整理と同時に清掃も進めると効率的です。

脚立や踏み台:高い場所の物を取る際に。安全に注意して使いましょう。

工具(ドライバー、ハサミ、カッターなど):簡単な解体や梱包に。

失敗しない!遺品整理の具体的な手順【7ステップ】

準備が整ったら、いよいよ作業開始です。前々回のコラムで触れた5ステップを、さらに具体的にした7ステップで解説します。

【ステップ1】遺言書の確認と相続人の確定(最重要!)

繰り返しになりますが、これが全ての始まりです。

遺言書の有無を確認し、法的な相続人を確定させます。

遺言書があれば、その内容に従いましょう。


【ステップ2】作業計画と役割分担の明確化

家全体の物の量を確認し、「いつまでに」「どの部屋から」「誰が担当するか」など、具体的な計画を立てます。

親族で協力する場合は、役割分担を明確にしておきましょう。無理のないスケジュールを組むことが大切です。


【ステップ3】まずは貴重品・重要書類の捜索から

本格的な仕分けに入る前に、現金、通帳、印鑑、権利証、保険証券、年金手帳などの貴重品や重要書類を最優先で探し出します。

これらは相続手続きや各種解約に必要不可欠です。

見つけたら、紛失しないよう一箇所にまとめて安全に保管しましょう。


【ステップ4】「仕分け」作業の実践

いよいよ、遺品を一つひとつ手に取り、仕分けていきます。

前々回ご紹介した4分類を基本に進めましょう。

① 形見分け・残すもの: 思い出の品、自分が使うもの、親族や友人に譲るもの。

② 売却・寄付するもの: まだ価値のあるもの、誰かの役に立ちそうなもの。

③ 処分するもの: 明らかに不要なゴミ、壊れているもの。

④ 保留・供養するもの: 判断に迷うもの、宗教的に供養したいもの。


☆☆仕分けのコツ☆☆

部屋ごと・場所ごとに集中: 一部屋ずつ、あるいはクローゼット、引き出しなど、場所を決めて集中的に行うと、達成感があり、進捗が分かりやすいです。

タイマー活用: 「今日はこの引き出しを30分だけ」のように時間を区切ると、集中力が維持しやすく、精神的な負担も軽減されます。

迷ったら「保留」ボックスへ: 判断に迷う物に時間をかけすぎると、作業が進みません。一旦「保留」ボックスに入れ、後日改めて判断しましょう。

写真に撮ってから手放す: 実物を手元に残すのは難しいけれど、思い出として残したいものは、写真に撮ってデータで保管するという方法もあります。

一人で抱え込まない: どうしても辛い時、判断に迷う時は、家族や友人に相談しましょう。話を聞いてもらうだけでも、気持ちが楽になることがあります。


【ステップ5】形見分け・売却・寄付の手配

仕分けで「形見分け」「売却」「寄付」と判断したものを、それぞれ手配します。

形見分け: 希望する親族や友人に連絡を取り、渡す方法(手渡し、郵送など)を決めます。勝手に送りつけたりせず、必ず相手の意向を確認しましょう。

売却: リサイクルショップ、フリマアプリ、専門の買取業者などを利用します。少しでも高く買い取ってもらうためには、複数の業者に査定を依頼するのがおすすめです。

寄付: NPO団体や地域の福祉施設などに、受け付けている品物か、寄付の方法を確認してから送りましょう。


【ステップ6】不要品の分別と適切な処分

「処分するもの」と判断したものを、自治体のルールに従って分別し、処分します。

分別ルールの徹底: 可燃ごみ、不燃ごみ、資源ごみ、粗大ごみなど、自治体の分別ルールをしっかり守りましょう。ルールが分からない場合は、自治体のウェブサイトや窓口で確認します。

粗大ごみの手続き: 事前申し込みや処理券の購入が必要な場合が多いです。計画的に手配しましょう。

家電リサイクル法対象品: エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機は、法律に基づいた適切なリサイクル手続きが必要です。購入した販売店や自治体に相談しましょう。

パソコンの処分: 個人情報漏洩を防ぐため、データ消去を確実に行い、メーカーや専門業者による回収・リサイクルを利用します。

危険物・処理困難物: スプレー缶、ライター、電池、薬品などは、特別な処分方法が必要な場合があります。自治体の指示に従いましょう。


【ステップ7】清掃と最終確認

全ての物の搬出が終わったら、部屋の清掃を行います。

簡単な掃き掃除、拭き掃除だけでも行いましょう。

最後に、貴重品や重要書類の取り忘れがないか、もう一度部屋全体を確認します。

自分で遺品整理を行う際の注意点

ご自身で遺品整理を行う際には、いくつか注意しておきたい点があります。

無理はしない(体力的・精神的に): 何度も言いますが、これが一番重要です。疲れたら休み、辛い時は作業を中断しましょう。数日に分けて行うのが基本です。

貴重品の見落としに注意: 思わぬ場所(本の間、衣類のポケット、古い缶の中など)に現金や貴重品が隠されていることがあります。丁寧に確認しましょう。

デジタル遺品の扱い: パソコンやスマートフォンのデータ(写真、メール、オンライン口座、SNSアカウントなど)も重要な遺品です。パスワードが分からないとアクセスできないことも多いですが、可能な範囲で確認し、必要なデータのバックアップや、不要なアカウントの削除などを検討します。専門業者への相談が必要な場合もあります。

賃貸物件の原状回復: 賃貸物件の場合は、契約内容に従って原状回復(壁紙の汚れ、床の傷など)を行う必要があります。どこまでが必要か、管理会社や大家さんに確認しましょう。

近隣への配慮: 荷物の搬出などで、騒音や振動が発生することがあります。事前に近隣の方へ挨拶をしておくと、トラブルを防ぎやすくなります。

まとめ

ご自身の手で行う遺品整理は、時間と労力がかかりますが、故人様の人生の軌跡に触れ、思い出を再確認し、心を込めてお別れをするための、かけがえのない時間となるはずです。

今回ご紹介した手順やコツを参考に、焦らず、無理せず、ご自身のペースで進めてください。

心を込めて整理された空間は、きっとご遺族の新たな一歩を、清々しい気持ちで後押ししてくれますよ。

株式会社大阪セレモニー

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山田泰平
専門家

山田泰平(葬儀)

株式会社大阪セレモニー

当社は家族葬を専門に、これまで1000件以上の葬儀をお手伝いさせて頂きました。少人数だからこそ実現できるきめ細やかなサービスと、ご遺族様の想いに寄り添った丁寧な対応を心がけています。

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