「亡くなった家族の運転免許証やパスポート、どうすればいい?」

山田泰平

山田泰平

テーマ:相続関係

皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。

ご家族がお亡くなりになった後、遺品整理を進める中で、故人様が生前に使っていた「運転免許証」や「パスポート」が見つかることがありますね。

これらは、個人の身分を証明する非常に重要な公的書類ですが、故人が亡くなった後、これらの書類をどう扱えば良いのか分からない人も多いと思います。

運転免許証やパスポートは、故人のものであっても、不正に利用されたり、悪用されたりするリスクもゼロではありません。

また、公的な書類である以上、適切な手続きを踏んで処理することが望ましいと言えます。

そこで今回は、この「故人の運転免許証とパスポートの相続後の手続き」について、

  • なぜ手続きが必要なのか?
  • 運転免許証の「返納手続き」について(場所、必要書類、期限)
  • パスポートの「失効手続き」について(場所、必要書類、期限)
  • 手続きを行わない場合のデメリット
  • 手続きを誰が行えるのか
  • 困った時の相談先

などを、分かりやすく解説していきます。

【結論】故人の免許証は警察署等へ返納、パスポートは失効手続きを。義務ではないが不正利用防止のため推奨

故人様が所有していた運転免許証とパスポートは、その方が亡くなられた時点で効力を失いますが、悪用などを防ぐためにも、それぞれ適切な手続きを行うことが推奨されます。


運転免許証:

最寄りの”警察署”または”運転免許センター(運転免許試験場)”に「返納」します。
法的な返納義務や明確な期限はありませんが、故人の身分証明書として不正に利用されるリスクを避けるため、また、運転経歴証明書(有料)の交付を希望する場合などに、返納手続きを行うのが一般的です。


パスポート(旅券):

”都道府県のパスポート申請窓口”または”在外公館(海外で手続きする場合)”に「失効」のための手続き(返納届の提出)を行います。
こちらも法的な返納義務や明確な期限はありませんが、偽変造による不正利用を防ぐため、失効手続きを行うことが推奨されています。


これらの手続きは、主に相続人などの親族が行うことになります。

手続き自体はそれほど複雑ではありませんが、必要な持ち物などがあるため、事前に各窓口に確認するとスムーズです。

もし、手続きが難しい場合は、行政書士などの専門家に相談することも可能です。

1. なぜ故人の免許証・パスポートの手続きが必要なのか? 放置するリスク

故人の運転免許証やパスポートをそのままにしておくと、以下のようなリスクが考えられます。

不正利用・悪用のリスク:紛失や盗難により、第三者の手に渡り、身分証明書として悪用されたり、偽変造されて犯罪に利用されたりする可能性がゼロではありません。

個人情報漏洩のリスク:免許証やパスポートには、氏名、生年月日、住所、顔写真など、重要な個人情報が記載されています。

更新案内の継続:運転免許証の場合、返納しないと更新の案内はがきなどが送られ続けることがあります。

精神的な区切り:手続きを行うことで、故人の死を改めて認識し、一つの区切りをつけるという意味合いもあります。

これらのリスクを回避し、適切に処理するために、返納や失効の手続きが推奨されています。

2. 運転免許証の「返納手続き」について


①手続き場所:

故人の住所地を管轄する”警察署の交通課窓口”

”運転免許センター”または”運転免許試験場”

地域によっては、交番や駐在所でも受け付けている場合があります。事前に確認しましょう。

手続きができる人:原則として、故人の親族(配偶者、子、親、兄弟姉妹など)。代理人が行う場合は、委任状などが必要になることがあります。



②必要な持ち物(一般的な例):

  • 故人の運転免許証(原本)
  • 故人の死亡が確認できる書類(死亡診断書のコピー、除籍謄本、住民票の除票など)
  • 手続きを行う人の本人確認書類(運転免許証、健康保険証など)
  • 手続きを行う人と故人との関係が分かる書類(戸籍謄本など。ただし、死亡診断書で確認できる場合は不要なことも)
  • 印鑑(認印で可の場合が多い)

必要な書類は、手続きを行う警察署や免許センターによって異なる場合があるため、必ず事前に電話などで確認してください。


③手続きの期限:法律上の明確な期限はありません。しかし、できるだけ速やかに行うのが望ましいでしょう。


④費用:返納手続き自体に費用はかかりません。


⑤運転経歴証明書の交付(希望する場合):

故人の運転免許証を返納する際、または返納後5年以内であれば、「運転経歴証明書」の交付を申請できます(有料:通常1,100円程度)。これは、故人がどのような運転免許を持っていたかを証明するもので、身分証明書として使える場合もあります。記念として残したいという方もいます。

3. パスポート(旅券)の「失効手続き」について


①手続き場所:

国内の場合:故人の住民登録があった、または申請者が住民登録をしている”都道府県のパスポート申請窓口”

海外の場合:最寄りの”日本大使館または総領事館”

手続きができる人:原則として、故人の親族または法定代理人。



②必要な持ち物:

  • 故人のパスポート(旅券)(原本)
  • 故人の死亡が確認できる書類(死亡診断書のコピー、戸籍謄本、住民票の除票など)
  • 手続きを行う人の本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
  • 手続きを行う人と故人との関係を示す書類(戸籍謄本など)
  • 返納届(窓口に備え付けられていることが多い。外務省のウェブサイトからもダウンロード可能)

こちらも、必要な書類は申請する窓口によって異なる場合があるため、事前に電話などで確認するのが確実です。


③手続きの期限:法律上の明確な期限はありません。発見次第、速やかに行うことが推奨されます。


④費用:失効手続き自体に費用はかかりません。


⑤失効処理後のパスポート:パスポートは、VOID(無効)印を押された上で、希望すれば記念として返却してもらえます。

4. 手続きを行わない場合のデメリット(再確認)

返納や失効手続きを行わなくても、直接的な罰則があるわけではありません。

しかし、前述の通り、

  • 不正利用のリスクは残る。
  • 個人情報が外部に流出する可能性。
  • (免許証の場合)更新案内が届き続ける。

といったデメリットが考えられます。

故人のため、そして残された家族の安心のためにも、手続きを行っておく方が賢明です。

5. 手続きを誰が行うか?(補足)

運転免許証の返納も、パスポートの失効手続きも、基本的には”相続人などの親族”が行います。

もし、親族が遠方に住んでいる、あるいは高齢で手続きが難しいといった場合は、行政書士などの専門家に代行を依頼することも可能です(ただし、費用がかかります)。

その場合は、委任状などが必要になります。

6. 運転免許証・パスポートが見つからない場合

もし、故人の運転免許証やパスポートそのものが見つからない場合でも、手続きができないわけではありません。

運転免許証:警察署や免許センターに相談し、紛失した旨を伝えれば、死亡による失効手続き(またはそれに代わる記録の処理)を行ってくれる場合があります。

パスポート:パスポート申請窓口に相談し、紛失届を提出することで、失効処理と同様の効果を得られる場合があります。

いずれにしても、まずは関係窓口に相談してみることが大切です。

7. その他の身分証明書等の扱い

運転免許証やパスポート以外にも、故人が所有していた身分証明書や資格証など(健康保険証、年金手帳、社員証、各種会員証など)があれば、それぞれ発行元に連絡し、返却や資格喪失の手続きを行う必要があります。

これらは、遺品整理の際にリストアップし、一つひとつ対応していくことになります。

【まとめ】故人の免許証・パスポートは適切に処理を。安心のための手続き

故人様が大切にしていた運転免許証やパスポート。

それらは、生前の活動の証であり、思い出の品でもあるかもしれません。

しかし、亡くなられた後は、その効力を失い、場合によってはリスクにもなり得ます。

では、本日のポイントをまとめます。

  • 故人の運転免許証は警察署等へ返納、パスポートは申請窓口で失効手続きを行うのが推奨される。
  • これらの手続きに法的な義務や明確な期限はないが、不正利用防止のために行う。
  • 手続きは主に親族が行い、故人の死亡証明や手続き者の本人確認書類などが必要。
  • 運転免許証返納時に「運転経歴証明書」を申請できる(有料)。
  • パスポートは失効処理後、記念として返却してもらえる。
  • 手続きを行わないと、不正利用や個人情報漏洩のリスクが残る。
  • 見つからない場合でも、関係窓口に相談すれば対応可能なことがある。

これらの手続きを適切に行うことで、故人の情報を守り、残されたご家族も安心して次のステップに進むことができます。

面倒に感じるかもしれませんが、故人のため、そしてご自身のためにも、時間を見つけて対応するようにしましょう。

「亡くなった家族のクレジットカード、どうすればいい?解約?ポイントは?

株式会社大阪セレモニー

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