遺言書の「付言事項」が相続争いを防ぐ?
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
現代社会において、携帯電話やスマートフォンは、私たちの生活に最も密着したコミュニケーションツールであり、多くの情報が詰まった「小さなパソコン」とも言える存在です。
故人様が生前に愛用していたスマートフォンにも、たくさんの写真や動画、メール、連絡先、そして様々なアプリのデータなどが残されていることでしょう。
ご家族がお亡くなりになった後、その故人のスマートフォンについて、その契約の処理や内部データの扱い、そして手続きのタイミングについて、多くの疑問や不安を感じるのではないでしょうか。
故人のスマートフォンは、単なる通信機器ではなく、思い出の詰まった大切な遺品でもあります。
しかし、契約を放置しておくと無駄な費用が発生し続けますし、データの扱いを誤ると、プライバシーの問題や思わぬトラブルに繋がる可能性もあります。
そこで今回は、この「故人の携帯電話・スマートフォンの相続後の手続き」について、
- なぜ速やかな手続きが必要なのか?
- まず行うべきこと(契約内容の確認、データのバックアップ検討)
- 主な手続きの選択肢(解約、承継・名義変更)とその流れ
- 端末代金の分割払いが残っている場合の注意点
- 内部データ(写真、連絡先など)の取り扱いとパスワードの問題
- 手続きのタイミングと相談先
などを、分かりやすく解説していきます。
【結論】故人のスマホは契約内容を確認し早期に解約または承継を。データはパスワード解除が鍵、専門業者も視野に
故人様が契約していた携帯電話・スマートフォンは、亡くなった後も自動的に契約が終了するわけではないため、速やかに携帯電話会社に連絡し、適切な手続きを行う必要があります。
放置しておくと、基本料金やオプションサービスの料金が継続して発生し続けてしまいます。
主な手続きの選択肢は、以下の2つです。
①契約を「解約」する:今後誰もその回線を使用しない場合。
②契約を「承継」または「名義変更」する:相続人の誰かがその回線や端末を引き続き使用する場合。(ただし、承継できる条件は携帯電話会社や契約プランによります)
解約や承継の手続きには、故人の死亡が確認できる書類や、相続関係を証明する書類、手続きを行う人の本人確認書類などが必要です。
端末代金の分割払いが残っている場合は、その残債も相続の対象となり、支払い義務が生じます。
また、内部データ(写真、動画、連絡先など)については、端末のパスワード(画面ロックのパスコードなど)が分からないと、原則としてアクセスすることは非常に困難です。
生前にパスワードを共有してもらっているか、エンディングノートなどに記載があれば良いのですが、不明な場合は、携帯電話会社に相談しても、プライバシー保護の観点から解除してもらうことは通常できません。
どうしてもデータを取り出したい場合は、データ復旧の専門業者に依頼するという選択肢もありますが、費用がかかり、必ず成功するとは限りません。
したがって、まずは携帯電話会社に連絡し、契約状況を確認した上で、解約または承継の手続きを進め、データに関しては、パスワードの有無と故人の遺志を尊重しながら、慎重に対応することが重要でしょう。
それでは、故人の携帯電話・スマートフォンの手続きについて、その必要性、具体的な選択肢、注意点などを詳しく掘り下げていきましょう。
1. なぜ携帯電話・スマホの手続きが重要なのか? 放置するリスク
故人名義の携帯電話契約を放置しておくと、以下のようなリスクや不利益が生じます。
月額料金の継続発生:基本料金、通話料、データ通信料、オプションサービス料などが、故人の口座やクレジットカードから引き落とされ続ける。
端末代金の分割払い残債:もし端末を分割で購入していて、残債がある場合は、その支払い義務も継続します。
不正利用のリスク:万が一、第三者の手に渡った場合、不正に利用される可能性もゼロではありません。
個人情報漏洩のリスク:スマートフォン内には多くの個人情報が保存されています。
相続財産の確定の妨げ:未払いの料金や残債が不明確なままだと、相続財産の正確な把握が難しくなります。
2. まず行うべきこと:契約状況の確認とデータのバックアップ検討
手続きの第一歩は、故人がどの携帯電話会社の、どのような契約をしていたかを確認することです。
契約書類や請求書の確認:故人の遺品の中から、携帯電話の契約書類、毎月の請求書(紙またはウェブ明細)、パンフレットなどを探します。
携帯電話会社への問い合わせ:契約者名、電話番号、生年月日などを伝え、契約内容(料金プラン、オプション、端末代金の残債など)や、解約・承継の手続きについて確認します。
データのバックアップ検討(パスワードが分かる場合):もし、端末のパスワードが分かり、内部のデータ(特に写真や動画など)を残しておきたい場合は、解約手続きをする前に、パソコンやクラウドストレージなどにバックアップを取っておくことを検討しましょう。一度解約してしまうと、データが初期化されたり、アクセスできなくなったりする可能性があります。
3. 主な手続きの選択肢:解約か、承継(名義変更)か
【選択肢① 契約を「解約」する】
対象:故人の携帯電話回線を今後誰も使用しない場合。
手続きの流れ(一般的):
携帯電話会社(ショップ窓口または電話、オンライン)に解約の意思を伝える。
必要書類(故人の死亡が確認できる書類、相続関係を示す書類、手続き者の本人確認書類、印鑑など)を提出する。
解約に伴う精算(未払い料金、端末代金残債の一括払い、解約金など)を行う。
解約金・違約金:契約期間の途中で解約する場合、通常は解約金や違約金が発生しますが、”契約者の死亡による解約の場合は、これらの解約金が免除される”ことがほとんどです。必ず確認しましょう。
端末のSIMカード:解約後は、SIMカードを返却するか、自分で破棄するよう指示されることが多いです。
【選択肢② 契約を「承継」または「名義変更」する】
対象:相続人の誰かが、故人の電話番号や契約内容(一部)を引き継いで使用したい場合。
承継と名義変更の違い:
承継:故人の契約内容(電話番号、割引サービス、契約期間など)を、ほぼそのまま相続人が引き継ぐ形。家族間の承継で認められることが多い。
名義変更:契約者を故人から相続人に変更する手続き。契約内容は一部変更になる場合がある。
手続きの流れ(一般的):解約と同様に、携帯電話会社に申し出て、必要書類を提出します。
承継できる条件:携帯電話会社や契約プランによって、承継できる相続人の範囲(例:配偶者、子など)や、引き継げる契約内容に条件が定められている場合があります。必ず事前に確認が必要です。
メリット:故人が使っていた電話番号をそのまま使える、家族割引などが継続できる場合がある。
デメリット:故人の契約期間や支払い義務も引き継ぐことになる。
4. 端末代金の分割払いが残っている場合の注意点
もし、故人がスマートフォンなどの端末を分割払いで購入しており、その支払いが残っている場合、その残債はマイナスの相続財産として、原則として相続人が支払う義務を負います。
①解約する場合:残債を一括で支払うよう求められるのが一般的です。
②承継する場合:分割払いをそのまま引き継げるか、あるいは一括で支払う必要があるかは、携帯電話会社との契約によります。
相続放棄をする場合は、この端末代金の残債も支払い義務がなくなりますが、端末自体も返却(または相続財産として処分)することになります。
5. 内部データ(写真、連絡先など)の取り扱いとパスワードの問題
故人のスマートフォン内に残された写真や動画、メール、連絡先といったデータは、ご遺族にとってかけがえのない思い出の品となります。
パスワードの壁:しかし、現代のスマートフォンはセキュリティが強化されており、画面ロックのパスコードや、Apple ID・Googleアカウントなどのパスワードが分からないと、原則として内部データにアクセスすることはできません。
携帯電話会社の対応:携帯電話会社やメーカーは、プライバシー保護の観点から、契約者本人以外の第三者(たとえ家族であっても)に対して、パスワードの開示やロック解除を行うことは、基本的にはありません。
生前の備えの重要性:故人がエンディングノートなどにパスワードを書き残してくれていれば良いのですが、そうでない場合は、データへのアクセスは極めて困難になります。
データ復旧専門業者:どうしてもデータを取り出したい場合、データ復旧を専門に行う業者に依頼するという選択肢もあります。ただし、費用が高額になることが多く(数万円~数十万円)、必ずしも成功するとは限りません。また、業者選びも慎重に行う必要があります。
データの扱いに関する故人の遺志:もし、故人が「自分の死後は、スマホのデータは全て消去してほしい」といった意思を示していた場合は、その遺志を尊重することも大切です。
6. 手続きのタイミングと相談先
タイミング:
解約・承継の手続きは、故人が亡くなったら、できるだけ速やかに行いましょう。放置しておくと、不要な料金が発生し続けます。
特に、料金の引き落とし日や、契約更新月などを確認し、無駄な支払いが生じないように注意が必要です。
相談先:
各携帯電話会社のコールセンターまたはショップ窓口:手続きに関する最初の相談先です。
①消費生活センター:契約内容や料金に関するトラブルが生じた場合。
②弁護士・司法書士:相続放棄や、遺産分割で問題が生じた場合。
③データ復旧専門業者:どうしてもデータを取り出したい場合。
【まとめ】故人のスマホは契約・データ両面の対応を。早めの連絡と慎重な判断が重要
故人様が愛用していた携帯電話・スマートフォンも、亡くなられた後は、契約とデータの両面で適切な対応が必要です。
- まずは契約している携帯電話会社に速やかに連絡し、契約内容を確認する。
- 解約するか、承継(名義変更)するかを、家族で話し合って決定する。
- 端末代金の分割払いが残っていないか確認する。
- 内部データ(写真など)を残したい場合は、パスワードの有無が鍵。生前の備えが重要。
- どうしてもデータを取り出したい場合は、専門業者への依頼も検討(ただし費用とリスクあり)。
- 手続きは放置せず、早めに行うことで、無駄な費用やトラブルを防ぐ。
故人のスマートフォンは、思い出の詰まった大切な品であると同時に、契約関係や個人情報といった現実的な問題も伴います。
その両面に配慮しながら、故人の遺志も尊重しつつ、残されたご家族にとって最も良い形を見つけていただきたいと思います。
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株式会社大阪セレモニー



