「亡くなった家族のクレジットカード、どうすればいい?解約?ポイントは?」
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
ご家族がお亡くなりになった後、遺品整理を進める中で、故人様が所有していた「自動車」の扱いに困ってしまう、というケースは少なくありません。
特に、故人様が日常的に使っていた車であれば、思い出も詰まっていて、すぐにどうこうしようという気持ちにはなれないかもしれませんね。
しかし、自動車は法的な手続きや金銭的な問題が色々と絡んでくる、単なる「物」ではない遺産です。
放置しておくと、無駄な費用が発生し続けたり、後々面倒な手続きが必要になったりする可能性があります。
そこで今回は、この「故人の自動車の相続手続き」について、
- まず確認すべきこと(車の所有者、ローン残債など)
- 主な3つの選択肢(名義変更して乗り続ける、売却する、廃車する)
- それぞれの手続きの流れと必要書類
- 自動車税や保険の扱い
- 注意すべき点
などを、分かりやすく解説していきます。
故人の大切な車を、後悔なく、そして適切に処理するための参考にしてください。
【結論】面倒だからと放置はNG!相続人は車両の処分方法を考慮しよう!
まず結論として、故人様が所有していた自動車は、「相続財産」の一つです。
したがって、他の財産と同様に、誰が相続するのかを法定相続人全員で話し合い(遺産分割協議)、決定する必要があります。
その上で、主な対応の選択肢は以下の3つです。
①名義変更して乗り続ける: 相続人の誰かがその車を引き継いで使用する場合。運輸支局(または軽自動車検査協会)で「移転登録(名義変更)」の手続きが必要です。
②売却する: 相続人の誰も乗らないが、まだ価値がある車の場合。一度相続人の誰かに名義変更してから売却するか、相続人全員の同意を得て代表者が売却手続きを行います。
③廃車する: もう誰も乗らず、売却も難しい古い車などの場合。運輸支局(または軽自動車検査協会)で「抹消登録(廃車)」の手続きが必要です。
どの選択肢を選ぶにしても、放置はいけません。
自動車税は毎年課税されますし、自賠責保険や任意保険の扱いも考えなければなりません。
まずは、車検証で所有者を確認し、遺産分割協議で誰がどのように車を扱うかを決定した上で、速やかに必要な手続き(名義変更または廃車)を行うことが重要です。
手続きが複雑で難しい場合は、行政書士や自動車ディーラー、買取業者などに代行を依頼することも可能です。
それでは、故人の自動車に関する手続きについて、その根拠となる具体的なステップや注意点を、さらに詳しく掘り下げていきましょう。
1. まず確認すべきこと:車の所有者とローンの有無
手続きを始める前に、まず以下の2点を確認しましょう。
① 車検証で「所有者」を確認:
故人様が使っていた車でも、所有者名義が故人本人とは限らない場合があります。
ローンで購入した場合: ローン完済までは、所有者名義が自動車販売会社や信販会社(ローン会社)になっていることが多いです(いわゆる「所有権留保」)。この場合は、まずローン会社に連絡し、ローン残債の状況を確認し、完済手続きや所有権解除の手続きを行う必要があります。
リース契約の場合: 所有者はリース会社です。リース契約をどうするか(解約、引き継ぎなど)をリース会社と協議する必要があります。
名義が故人本人であることが、相続手続き(名義変更や廃車)の前提となります。
② 自動車ローンの残債の有無:
もし自動車ローンが残っている場合、その**ローン残債も相続財産(マイナスの財産)**となります。誰がローンを引き継ぐのか、あるいは一括返済するのかなどを、遺産分割協議で話し合う必要があります。
団体信用生命保険(団信)が付帯しているローンの場合は、故人の死亡によってローン残債が弁済されることもありますので、契約内容を確認しましょう。
2. 選択肢①:名義変更(移転登録)して乗り続ける場合
相続人の誰かがその車を乗り続けると決まった場合の手続きです。
手続き場所:
普通自動車:新しい所有者の住所地を管轄する運輸支局(陸運局)
軽自動車:新しい使用者の住所地を管轄する軽自動車検査協会
必要書類(主なもの): 普通自動車の場合。軽自動車は若干異なります。
- 故人(被相続人)の死亡の事実が記載された戸籍(除籍)謄本
- 法定相続人全員が記載された戸籍謄本
- 遺産分割協議書(相続人全員の実印捺印)※法定相続分通りに単独相続する場合は不要なことも
- 不動産を相続する相続人の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
- 新しい所有者(相続人)の実印と印鑑証明書
- 新しい所有者の住民票
- 自動車検査証(車検証)
- 自動車損害賠償責任保険証明書(自賠責保険証)
- 申請書(OCRシート第1号様式など)
- 手数料納付書(検査登録印紙を貼付)
- 自動車税(環境性能割・種別割)申告書
- 車庫証明書(駐車場が変わる場合など)
費用: 移転登録手数料(数百円)、ナンバープレート代(ナンバーが変わる場合、数千円)、車庫証明取得費用(数千円)、行政書士などに代行を依頼する場合はその報酬(数万円~)。
期限: 法律上の明確な期限はありませんが、自動車税や保険の関係もあるため、できるだけ速やかに行いましょう。
3. 選択肢②:売却する場合
誰も乗らないが、まだ価値がある車は売却を検討します。
売却方法:
- 中古車買取業者
- 自動車ディーラー(下取り)
- 個人売買(フリマアプリなど。ただしトラブルに注意)
名義変更との関係:
①一旦相続人の誰かに名義変更してから売却する: 上記2.の名義変更手続きを行った後、通常の車の売却手続きを行います。
②相続人代表者が売却手続きを行う: 遺産分割協議書で、特定の相続人が代表して売却手続きを行う旨を定めれば、故人名義のまま(実際には一時的に代表相続人名義にするような形)で、買取業者などが名義変更と売却を同時に行ってくれる場合もあります。この方が手間は省けますが、業者によって対応が異なります。
必要書類: 上記2.の名義変更に必要な書類一式に加え、売却先の業者が求める書類(譲渡証明書、委任状など)が必要になります。
売却代金の扱い: 売却代金は相続財産の一部となりますので、遺産分割協議に基づいて分配します。
注意点: 複数の買取業者に査定を依頼し、買取価格を比較することが重要です。
4. 選択肢③:廃車(抹消登録)する場合
もう誰も乗らず、売却も難しい古い車などは、廃車手続きを行います。
廃車手続きの種類:
①永久抹消登録: 車を解体処分する場合。二度とその車には乗れなくなります。
②一時抹消登録: 一時的に車の使用を中断する場合(長期海外出張など)。再登録すればまた乗れます。相続の場合は、あまり選択されません。
手続き場所:
普通自動車:運輸支局
軽自動車:軽自動車検査協会
必要書類(主なもの): 普通自動車の永久抹消の場合。
- 故人の死亡の事実が記載された戸籍(除籍)謄本
- 法定相続人全員が記載された戸籍謄本
- 遺産分割協議書(または相続人代表者の委任状など、相続関係を証明する書類)
- 相続人代表者の実印と印鑑証明書
- 自動車検査証(車検証)
- ナンバープレート(前後2枚)
- 移動報告番号と解体報告記録日(解体業者から報告される)
- 申請書(OCRシート第3号様式の3など)
- 手数料納付書
費用: 抹消登録手数料は無料の場合が多いですが、書類取得費用や、解体業者への解体費用(数千円~数万円)、レッカー代などがかかります。行政書士などに代行を依頼する場合はその報酬。
自動車税・重量税・自賠責保険の還付: 永久抹消登録をすると、残りの期間に応じて自動車税や自動車重量税、自賠責保険料が還付される場合があります。
5. 自動車税と保険の扱い
自動車税(種別割): 毎年4月1日時点の所有者(または使用者)に課税されます。故人が亡くなった後も、名義変更や抹消登録をしないと、納税通知書が送られ続けます。速やかに手続きを行い、過払いや滞納を防ぎましょう。
自賠責保険: 強制保険です。名義変更が必要です。廃車する場合は、残りの期間に応じて保険料が還付されることがあります。
任意保険: 故人名義の任意保険は、解約または契約者変更の手続きが必要です。解約すれば、残りの期間に応じて保険料が返還されることがあります。等級の引き継ぎができる場合もあるので、保険会社に確認しましょう。
6. 手続きの代行依頼について
これらの手続きは、必要書類が多く、窓口も平日しか開いていないため、ご自身で行うのが難しい場合も多いでしょう。
そのような場合は、以下の専門家や業者に代行を依頼することができます。
行政書士: 自動車の名義変更や廃車手続きの専門家です。
自動車ディーラー・中古車販売店: 新しい車を購入する場合や、車を売却する場合に、代行してくれることが多いです。
廃車買取業者・解体業者: 廃車手続きと解体をまとめて依頼できます。
代行には費用がかかりますが、時間と手間を大幅に節約できます。
7. ローンが残っている場合の注意点
ローン残債も相続財産(負債)です。
所有者がローン会社になっている場合は、まずローンを完済し、所有権解除の手続きをしなければ、名義変更や売却はできません。
相続放棄をする場合は、ローンも引き継がなくて済みますが、車も手放すことになります。
故人様が所有していた自動車は、相続財産として適切な手続きが必要です。
放置すると、無駄な税金や保険料がかかり続けるだけでなく、次の相続でさらに問題が複雑化する可能性があります。
①まずは車検証で所有者を確認し、ローンの有無を調べる。
②遺産分割協議で、誰が、どうするか(乗り続ける、売る、廃車する)を決める。
③決定に従い、速やかに「名義変更(移転登録)」または「廃車(抹消登録)」の手続きを行う。
④自動車税や保険の手続きも忘れずに行う。
⑤手続きが難しい場合は、行政書士やディーラー、買取業者などに代行を依頼する。
これらのステップを理解し、計画的に進めることが、トラブルなく、故人の大切な車を適切に処理するための鍵となります。
株式会社大阪セレモニー



