「納骨って、いつまでに行わないといけないの?」
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
大切なご家族やご友人を亡くされた後、葬儀という大きな儀式を終えても、心にぽっかりと穴が空いたような、言いようのない深い悲しみが続く…。
それは、決して”人間的に弱い”などといったことはありません。
むしろ、愛する人を失った時に、誰もが経験する可能性のある”ごく自然な心の反応”なのです。
しかし、その悲しみが予想以上に長く続いたり、日常生活を送るのが困難になるほど辛かったりすると、
「いつまでこの悲しみは続くんだろう?」
「自分はいつになったら立ち直れるのだろうか?」
「この辛い気持ち、どうすれば少しは楽になるの?」
「周りは普通にしているのに、自分だけ取り残されている気がする…」
と、出口の見えないトンネルの中にいるような、孤独感や焦りを感じてしまうかもしれませんね。
今回は、そんな葬儀後の「悲しみとの向き合い方」、いわゆる「グリーフケア」の考え方について、
- 悲しみは自然な反応であること
- やってはいけないこと、避けるべき考え方
- 少しでも心を軽くするためのヒント
- 一人で抱えきれない時の相談先
などを、私たち葬儀のプロとして、皆様の心に寄り添いながら、分かりやすくお伝えしていきたいと思います。
【結論】他人の意見や時間を気にせず、自分のペースで心と向き合う
大切な人を亡くした後の深い悲しみ、専門的には「グリーフ(Grief)」と呼ばれるこの感情は、病気ではなく、愛する人を失ったことに対する極めて自然で正常な反応です。
そして、その悲しみから立ち直る(あるいは、悲しみと共に生きていくことを学ぶ)プロセスには、決まった形も、決まった時間もありません。
人それぞれ、ペースも違えば、感情の現れ方も異なります。
ですから、「早く元気にならなきゃ」「いつまでも悲しんでいてはいけない」と、自分を無理に追い詰めたり、感情に蓋をしたりする必要は全くありません。
むしろ、自分の悲しみや辛さを認め、感じ切り、その感情と自分のペースでゆっくりと向き合っていくことが、回復への大切な一歩となります。
そして、決して一人で抱え込まないでください。
信頼できる人に気持ちを話したり、必要であれば専門家のサポートを求めたりすることも、自分自身を大切にするための、とても勇気ある行動なのです。
1. グリーフ(Grief)とは? 多様な心身の反応
グリーフとは、喪失(大切な人やペット、あるいは仕事や健康などを失うこと)によって引き起こされる、様々な心と体の反応のことを指します。
精神的な反応(例): 悲しみ、寂しさ、怒り、罪悪感(「もっと何かできたはず」など)、後悔、不安、無力感、集中力の低下、故人のことを考え続ける、幻覚・幻聴(故人の声が聞こえるなど)
身体的な反応(例): 涙が出る、疲労感、倦怠感、睡眠障害(眠れない、寝すぎる)、食欲不振または過食、頭痛、動悸、めまい、胃痛、便秘・下痢
これらの反応は、一つだけ現れることもあれば、複数が同時に、あるいは時期によって波のように現れることもあります。
よって、「自分だけがおかしいのでは?」と思う必要は全くありません。
人間という生き物が誰もが経験しうる、自然なプロセスの一部です。
2. グリーフのプロセスは一直線ではない
グリーフのプロセスは、「否認→怒り→取引→抑うつ→受容」といった段階を経るとよく言われることもありますが、これはあくまで一つのモデル。
実際には、全ての人がこの順番通りに進むわけではありません。
感情は行ったり来たりしますし、何年も経ってから、ふとした瞬間に強い悲しみがぶり返すこともあります。
また、回復にかかる期間も、数ヶ月の人もいれば、数年、あるいはそれ以上かかる人もいます。
「いつまでに乗り越えなければならない」という期限はありませんし、他人と比べる必要もありません。
3. やってはいけないこと・避けたい考え方
悲しみと向き合う上で、逆効果になってしまう可能性のある行動や考え方があります。
感情を無理に抑え込む: 「泣いてはいけない」「強くならなきゃ」と感情に蓋をすると、かえって心の回復を妨げてしまいます。悲しい時は泣いてもいい、辛い時は辛いと感じていいのです。
自分を過度に責める: 「あの時ああしていれば…」「私のせいだ…」といった罪悪感や後悔の念は、誰しも抱く可能性があります。しかし、過去は変えられません。自分を責め続けても、状況は好転しません。少しずつ、自分を許していくことも大切です。
周囲の言葉に傷つきすぎる: 周囲の人は、善意から「早く元気を出して」「いつまでもメソメソしないで」といった言葉をかけてくるかもしれません。しかし、その言葉が必ずしも今のあなたに合っているとは限りません。傷つく必要はありません。「今はまだ辛いんです」と正直に伝えたり、聞き流したりしても良いのです。
孤立する・一人で抱え込む: 「誰にも迷惑をかけたくない」「分かってもらえない」と一人で抱え込むのは、非常によくありません。孤独感は悲しみをさらに深めます。
不健康な方法で紛らわそうとする: アルコール、ギャンブル、薬などに過度に頼って悲しみを忘れようとするのは、根本的な解決にならず、別の問題を引き起こす可能性があります。
4. 悲しみと向き合い、心を軽くするためのヒント
焦らず、自分のペースで悲しみと向き合うために、以下のようなことを試してみてはいかがでしょうか。
自分の感情を正直に認める: 「今、私はとても悲しいんだな」「寂しいんだな」「怒りを感じているんだな」と、自分の感情を否定せずに、そのまま受け止めてみましょう。
十分な休息をとる: 心と体は繋がっています。睡眠時間を確保し、疲れていると感じたら無理せず休みましょう。
故人との思い出を大切にする: 写真を見返したり、思い出の場所を訪れたり、楽しかったことを思い出したりすることは、決して後ろ向きなことではありません。故人との繋がりを感じることで、心が慰められることもあります。
信頼できる人に話を聞いてもらう: 家族、友人、同僚など、安心して話せる相手に、今の気持ちや故人の思い出などを話してみましょう。ただ聞いてもらうだけでも、心が軽くなることがあります。話す相手がいなければ、日記などに書き出すのも良い方法です。
自分のための時間を作る: 悲しみに浸る時間も大切ですが、少し気分転換になるような、自分のための時間も意識的に作ってみましょう。散歩をする、好きな音楽を聴く、趣味に没頭する、美味しいものを食べるなど、何でも構いません。
故人を供養する時間を持つ: お墓参りに行く、仏壇に手を合わせる、故人の好きだったものを供えるなど、自分なりの形で故人を供養する時間は、心の安定に繋がることがあります。
体を動かす: 無理のない範囲で軽い運動(ウォーキングなど)をすると、気分転換になり、セロトニンなどの神経伝達物質が分泌され、精神的な安定に繋がることもあります。
規則正しい生活を心がける: 食事、睡眠、起床時間をなるべく一定に保つことは、心身のバランスを整える上で役立ちます。
5. 一人で抱えきれない時は、専門家のサポートも
上記のようなセルフケアを試しても、
- 悲しみが何ヶ月も続き、一向に和らぐ気配がない
- 日常生活(仕事、家事、学業など)に深刻な支障が出ている
- 食欲不振や不眠が長く続いている
- 自分を傷つけたい、消えてしまいたい、という気持ちが湧いてくる
- 誰にも相談できず、孤独感が非常に強い
といった状況であれば、一人で抱え込まず、専門家のサポートを求めることを考えてみましょう。
グリーフケアの自助グループ(分かち合いの会): 同じような経験をした人たちが集まり、互いの気持ちを語り合い、支え合う場です。共感し合える仲間がいることで、孤独感が和らぎます。
グリーフケアカウンセラー: 専門的な知識を持ったカウンセラーが、あなたの気持ちに寄り添い、悲しみと向き合うプロセスをサポートしてくれます。
心療内科・精神科: 睡眠障害や食欲不振がひどい場合や、うつ病などが疑われる場合は、医療機関を受診することも大切です。適切な治療を受けることで、心身の回復を助けます。
自治体の相談窓口、NPO法人など: 地域によっては、グリーフケアに関する相談窓口や支援団体があります。情報収集してみましょう。
葬儀社への相談: 私たち株式会社大阪セレモニーのような葬儀社の中にも、グリーフケアの重要性を認識し、専門機関や自助グループの情報提供、あるいは自社で相談会などを実施している場合があります。葬儀後も、ご遺族に寄り添う姿勢を持つ葬儀社に、まずは相談してみるのも一つの方法です。
まとめ
大切な人を亡くした後の深い悲しみ(グリーフ)は、誰にでも起こりうる、自然で正常な反応です。
その深さや長さ、現れ方は人それぞれであり、「こうあるべき」「いつまでに乗り越えるべき」という正解はありません。
焦らず、無理をせず、ご自身のペースで、その感情とゆっくり向き合っていくことが大切。
自分の感情を認め、休息を取り、信頼できる人に話し、そして時には専門家の力も借りながら、故人との思い出を胸に、少しずつ未来へと歩みを進めていきましょう。
株式会社大阪セレモニー



