死亡後の年金手続き|放置は危険!不正受給で逮捕も?プロが全手順を解説
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
ご家族がお亡くなりになった後には、様々な手続きが必要になりますが、その中でも「年金」に関する手続きは、多くの方が関係する可能性があり、かつ内容が少し複雑で分かりにくい部分かもしれません。
故人様が生前に年金(老齢年金、障害年金、遺族年金など)を受給されていた場合、
「亡くなった後、年金の手続きって何か必要になるの?」
「そのままにしておくと、どうなるんだろう?」
「もしかして、遺族がもらえるお金があったりするの?」
といった疑問や不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
年金の手続きは、亡くなった方の年金の受給を停止するため、そして遺族が受け取れる可能性のある給付金(未支給年金や遺族年金など)を受け取るために、非常に重要です。
手続きを怠ると、年金が過払いになって後で返還を求められたり、本来受け取れるはずだった給付金を受け取れなくなってしまったりする可能性もあります。
そこで今回は、年金を受給されていた方が亡くなった場合に「どのような手続きが必要なのか」、そして「遺族が受け取れる可能性のあるお金」について、私たち葬儀のプロが、基本的なポイントを分かりやすく解説していきたいと思います。
【結論】年金の停止と新たに受給する手続きは早めに行いましょう
まず結論として、年金を受給されていた方が亡くなった場合、ご遺族が行うべき主な年金手続きは、大きく以下の3つが挙げられます。
「年金受給権者死亡届」の提出(※原則): 故人様の年金の受給を停止するための届け出です。ただし、日本年金機構にマイナンバーが登録されている場合は、原則としてこの届け出は省略できます。
「未支給年金」の請求: 故人様が亡くなった時点で、まだ受け取っていない年金がある場合に、生計を同じくしていた遺族が請求できます。
「遺族年金」の請求: 故人様によって生計を維持されていた遺族が、一定の要件を満たす場合に、新たに受け取ることができる年金です。
これらの手続きには、それぞれ期限が設けられているものもあります。
特に未支給年金や遺族年金は、請求しなければ受け取ることはできません。
そのため、故人様が年金を受給されていた場合は、速やかにこれらの手続きについて確認し、必要な手続きを進めることが重要です。
手続きが複雑で分からない場合は、年金事務所などの専門窓口に相談しましょう。
それでは、これらの手続きについてなぜ必要なのか、具体的な内容や注意点をさらに詳しく見ていきましょう。
1. なぜ手続きが必要なのか?
年金受給者が亡くなった後に手続きが必要な理由は、主に以下の2点です。
年金の過払いを防ぐため: 年金は、受給権を持つ方が生存していることを前提に支払われます。亡くなった後もそのままにしておくと、年金が支払われ続けてしまい、後で日本年金機構から過払い分の返還を求められることになります。
遺族が受け取れる給付があるため: 故人様が受け取るはずだった未払いの年金(未支給年金)や、遺族の生活を支えるための遺族年金など、遺族が受け取れる可能性のある給付金制度があります。これらは自動的に支払われるものではなく、遺族からの請求手続きが必要です。
2. 【原則必要 or 省略可能】「年金受給権者死亡届」について
目的: 亡くなった方の年金の支払いを止めるための届け出です。
提出先: 年金事務所または街角の年金相談センター
提出期限: 国民年金は死亡日から14日以内、厚生年金は死亡日から10日以内、と定められています。
【重要】マイナンバー連携による提出省略:
日本年金機構にマイナンバーが登録されている方については、住民基本台帳ネットワークを通じて死亡情報が連携されるため、原則として「年金受給権者死亡届」の提出は不要となりました。
これにより、ご遺族の負担が軽減されています。
(参考:日本年金機構ウェブサイト https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/jukyu/20140711.html)
提出が必要な場合:
- 日本年金機構にマイナンバーが未登録(未収録)の場合。
- 住民票の住所と違う場所で亡くなった場合で、死亡届の提出が遅れる場合。
- 共済組合などの年金を受給していた場合(提出先が異なる)。
提出が必要な場合の書類(一例):
- 年金受給権者死亡届(「報告書」となっている場合も)
- 故人の年金証書
- 死亡の事実を明らかにできる書類(戸籍抄本、死亡診断書のコピーなど)
確認のすすめ: マイナンバーが登録されているか不明な場合や、提出が必要かどうかの判断に迷う場合は、念のため年金事務所に確認することをお勧めします。
3. 受け取れるかも?「未支給年金」の請求
未支給年金とは?:
年金は、原則として死亡した月の分まで支払われますが、支払いサイクル(偶数月の15日支払い)の関係で、亡くなった時点でまだ支払われていない年金が発生することがあります。
これを「未支給年金」といいます。
例えば、4月10日に亡くなった場合、4月分の年金はまだ支払われていません。
また、4月15日に支払われるはずだった2月・3月分の年金も、亡くなった後では本人は受け取れません。
請求できる遺族: 未支給年金を請求できるのは、故人様と「死亡当時に生計を同じくしていた」遺族に限られます。優先順位があり、①配偶者 ②子 ③父母 ④孫 ⑤祖父母 ⑥兄弟姉妹 ⑦その他3親等内の親族、の順となります。
請求期限: 未支給年金の請求権は、5年で時効により消滅します。早めに手続きしましょう。
請求手続きと必要書類(一例):
- 未支給年金・保険給付請求書
- 故人の年金証書
- 故人と請求者の続柄が確認できる書類(戸籍謄本など)
- 故人と請求者が生計を同じくしていたことがわかる書類(住民票など)
- 請求者の預金通帳
提出先:年金事務所など。
4. 遺族の生活を支える「遺族年金」の請求
遺族年金とは?:
国民年金または厚生年金保険の被保険者(または被保険者であった方)が亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた遺族(残された配偶者や子など)が受け取ることができる年金です。
遺族の生活保障を目的としています。
種類:
①遺族基礎年金: 主に国民年金の被保険者が亡くなった場合に、「子のある配偶者」または「子」(※子の年齢要件あり)が受け取れます。
②遺族厚生年金: 主に厚生年金保険の被保険者が亡くなった場合に、その方によって生計維持されていた配偶者、子、父母、孫、祖父母(※優先順位あり、年齢要件などあり)が受け取れます。
受給要件が複雑: 遺族年金を受け取るためには、故人様の年金の加入状況(保険料納付状況など)や、遺族の年齢、収入、故人との関係性など、非常に細かく複雑な要件を満たす必要があります。「誰が」「いつから」「いくら」もらえるのかは、個別のケースによって大きく異なります。
請求期限: 遺族年金の請求権も、原則として5年で時効となります。
手続きと相談の重要性:受給要件が複雑なため、ご自身で判断するのは難しい場合があります。まずは年金事務所や街角の年金相談センターに相談し、受給資格があるかどうか、必要な手続きは何かを確認することが非常に重要です。社会保険労務士などの専門家に相談するのも良いでしょう。請求には、年金請求書や戸籍謄本、所得証明書など、多くの書類が必要となります。
5. その他の関連手続き(該当する場合)
寡婦年金(かふねんきん): 国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間が10年以上ある夫が亡くなった場合に、一定の要件を満たす妻が60歳から65歳になるまで受け取れる年金。(遺族基礎年金と同時には受け取れません)
死亡一時金(しぼういちじきん): 国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間が3年以上ある方が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けずに亡くなった場合に、生計を同じくしていた遺族に一時金が支給される制度。(遺族基礎年金とどちらか一方を選択)
これらも、該当する可能性がある場合は、年金事務所に確認しましょう。
6. どこに相談すればいい?
年金事務所または街角の年金相談センター: 全国の拠点窓口。予約相談も可能です。
ねんきんダイヤル: 電話での相談窓口。(ナビダイヤル:0570-05-1165)
(場合によって)社会保険労務士: 年金の専門家。手続き代行なども依頼できます(有料)。
まとめ
年金を受給されていたご家族が亡くなった後は、
- 年金受給権者死亡届の提出(マイナンバー連携で省略可能な場合が多いが確認推奨)
- 未支給年金の請求(受け取れる可能性があるか確認)
- 遺族年金の請求(受給資格があるか確認)
これらの手続きを忘れずに行うことが大切です。
特に、未支給年金や遺族年金は、請求しなければ受け取ることはできませんし、請求期限(5年)もあります。
手続きが複雑で分からない場合は、決して一人で悩まず、必ず年金事務所などの専門窓口に相談してください。
私たち株式会社大阪セレモニーでも、葬儀後の諸手続きに関する一般的なアドバイスや、専門家のご紹介などは可能です。
葬儀後の手続きは多岐にわたりますが、一つひとつ、焦らず確実に行っていきましょう。
株式会社大阪セレモニー



