予算の変動に大きく関わる「飲食費」と「返礼品」の相場と注意点

山田泰平

山田泰平

テーマ:葬儀の知識

皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。

今回は、葬儀費用の中でも、参列される方の人数によって金額が大きく変動する「飲食費」と「返礼品」について、詳しく見ていきたいと思います。

これらは、弔問に訪れてくださった方々への感謝の気持ち、おもてなしの心を表すための大切な要素です。

しかし、人数が読みにくい部分でもあるため、見積もり段階では「概算」で計上されることが多く、最終的な請求額との差が出やすい項目でもあります。

「通夜振る舞いって、どんな料理を用意すればいいの?」

「返礼品と香典返し、数はどう考えればいい?」

「見積もりの人数と実際が違ったら、どうなるの?」

そんな疑問や不安をお持ちの方もおられるのではないでしょうか?

今回は、「飲食費(通夜振る舞い、精進落としなど)」と「返礼品(会葬御礼、香典返しなど)」それぞれの意味合い、内容、費用相場、そして見積もりを見る際の注意点について、分かりやすく解説していきます。

予算管理のポイントも押さえて、賢く手配を進めましょう。

弔問客へのおもてなし「飲食費」の内容と注意点

葬儀における飲食費は、主に通夜の後と、火葬後(または葬儀・告別式後)の2つの場面で発生します。

1.通夜振る舞い(つやぶるまい)

意味合い: 通夜の弔問に訪れてくださった方々への感謝の気持ちを込めて、食事や飲み物でおもてなしをするものです。故人様を偲び、思い出を語り合う場ともなります。また、弔問客を食事で清める、という意味合いもあります。

内容: かつては精進料理が基本でしたが、現在では、寿司、オードブル、サンドイッチ、煮物、揚げ物など、大皿料理を取り分ける形式が一般的です。飲み物は、ビール、日本酒、ソフトドリンクなどを用意します。立食形式や、着席形式など、会場や人数によってスタイルは異なります。

参加者: 原則として、弔問に訪れた方全員が対象ですが、近年は親族のみで行う、あるいは弔問客にはお持ち帰りいただく軽食を用意する、といった簡略化された形も増えています。地域の慣習によっても異なります。

費用相場: 料理の内容や人数によって大きく異なりますが、一人あたり2,000円~5,000円程度が目安でしょうか。飲み物代は別途かかることが多いです。

注意点:

①人数予測が難しい: 通夜の弔問客数は、当日になってみないと正確には分かりません。そのため、料理は少し多めに用意し、余った場合は遺族や親族でいただく、あるいは持ち帰るのが一般的です。

②注文単位: 料理は「〇名様分セット」といった単位で注文することが多いです。最低注文数などが設定されている場合もあります。

③アレルギー対応など: 必要な場合は、アレルギー対応が可能か、事前に葬儀社や料理業者に確認しましょう。

2.精進落とし(しょうじんおとし)

意味合い: 葬儀・告別式でお世話になった方々(特に僧侶や親族、親しい友人など)を労い、感謝の気持ちを込めて食事を振る舞うものです。元々は、忌中の期間(四十九日まで)に肉や魚を断つ「精進」の期間を終え、通常の食事に戻る、という意味合いがありました。火葬場から戻った後、あるいは火葬中に行われることが多いです。

内容: こちらは、一人ひとりにお膳や折詰弁当が用意されるのが一般的です。内容は、和食、洋食、中華など様々ですが、会席料理風のものが多いでしょうか。通夜振る舞いと異なり、肉や魚を使った料理も含まれます。飲み物も用意します。

参加者: 主に親族と、葬儀でお世話になった方(僧侶など)が中心です。事前に参加人数を確認しておくことが重要です。

費用相場: 一人あたり3,000円~8,000円程度が目安です。料理のグレードによって幅があります。飲み物代は別途です。

注意点:

①正確な人数把握: 事前に参加人数を確認し、必要な数を注文します。急な欠席者が出た場合の対応(キャンセル料など)も確認しておくと良いでしょう。

②僧侶への配慮: 僧侶が同席されない場合は、「御膳料(ごぜんりょう)」として食事代相当の現金を、「御車代(おくるまだい)」と合わせてお渡しするのが一般的です。

③持ち帰り: 食べきれなかった場合に、持ち帰り用の容器(折詰など)を用意してもらえるか確認しておくと親切です。

飲食費を見積もりで確認する際のポイント

単価と想定人数: 各料理の単価と、見積もり段階での想定人数が明記されているか確認します。

料理の内容: 可能であれば、料理の写真やメニュー内容を確認しましょう。

飲み物代: 飲み物が料金に含まれているか、別料金かを確認します。別料金の場合は、どのような種類があり、単価はいくらかも確認しましょう。(飲み放題プランなどがある場合も)

配膳スタッフの人件費: 料理の配膳などに専門のスタッフが必要な場合、その人件費が見積もりに含まれているか確認します。

数量変更の期限とキャンセル料: 最終的な人数が確定した後、いつまでに連絡すれば数量変更が可能か、また、直前のキャンセルに料金が発生するかどうかを確認しておきましょう。

感謝のしるし「返礼品」の種類と注意点

返礼品は、葬儀に際してお世話になった方々へ感謝の気持ちを伝える品物です。

主に「会葬御礼」と「香典返し」の2種類があります。

1.会葬御礼(かいそうおんれい)

意味合い: 忙しい中、通夜や葬儀・告別式に足を運んでくださったことへの参列に対するお礼としてお渡しするものです。香典の有無に関わらず、参列者全員(または一世帯に一つ)にお渡しするのが一般的です。

内容: 500円~1,500円程度の「消え物(使ったり食べたりしたらなくなるもの)」が選ばれることが多いです。例えば、お茶、コーヒー、海苔、ハンカチ、タオル、お清めの塩とセットになったものなどがあります。

費用相場: 前述の通り、500円~1,500円程度。

注意点:

①必要数の予測: 通夜振る舞い同様、参列者数を正確に予測するのは難しいですが、少し多めに用意しておくのが一般的です。余った場合は、後日弔問に訪れた方にお渡ししたり、ご自身で使用したりできます。

②渡し方: 受付で記帳していただいた際にお渡しするか、式の終了後に帰り際にお渡しします。

2.香典返し(こうでんがえし)

意味合い: いただいた香典に対するお礼としてお返しする品物です。

内容: こちらも「消え物」が基本ですが、会葬御礼よりは少し高価なものが選ばれます。お茶、コーヒー、お菓子、タオル、洗剤、カタログギフトなどが人気です。

費用相場: いただいた香典の金額に応じて変わりますが、一般的に「半返し(半額程度)」または「3分の1返し」が目安とされています。

渡すタイミング: 本来は、忌明け(四十九日)後に挨拶状を添えて送るのが正式ですが、近年では葬儀当日に香典返しをお渡しする「即日返し(当日返し)」も増えています。

即日返しの場合: 2,000円~3,000円程度の品物を一律で用意し、香典をいただいた方へその場でお渡しします。高額な香典(例えば3万円以上など)をいただいた方へは、後日改めて差額分の品物を送るのが丁寧な対応です。即日返しは、ご遺族が後日発送する手間や送料を省けるメリットがあります。

注意点:

①誰に返すか: 香典をいただいた全ての方にお返しするのが基本ですが、一家の主が亡くなった場合など、香典返し不要とされるケースもあります(会社の福利厚生、社会福祉協議会からの弔慰金など)。また、少額の香典(3千円~5千円程度)で、即日返しを行わない場合は、お返しを省略することもあります。判断に迷う場合は、葬儀社や年長者に相談しましょう。

②品物選び: 相手の好みが分からない場合は、カタログギフトも選択肢の一つです。

③挨拶状: 後日送る場合は、必ず挨拶状を添えましょう。即日返しの場合も、品物に簡単な挨拶状(お礼状)を付けるのが一般的です。

返礼品を見積もりで確認する際のポイント

品物の単価と種類: 会葬御礼、香典返し(即日返しの場合)それぞれの品物の単価と内容(写真や現物サンプル)を確認します。

想定数量: 見積もり段階での想定数量を確認します。

持ち込みの可否: もしご自身で用意した品物を使いたい場合、持ち込みが可能か、持ち込み料がかかるかを確認します。

数量変更・返品の可否: 葬儀後に余った場合、返品が可能か、あるいは後日追加注文が可能か、その条件(期限、手数料など)を確認しておきましょう。

熨斗(のし)や挨拶状: 熨斗の表書きや名入れ、挨拶状の費用が含まれているか確認します。

まとめ

今回は、葬儀費用の変動要素である「飲食費」と「返礼品」について解説しました。

これらは、故人様を偲び、集まってくださった方々への感謝を示す大切な要素ですが、人数によって費用が大きく変わるため、見積もり段階での注意が必要です。

飲食費: 通夜振る舞い、精進落としの内容と相場を把握し、人数予測の難しさを理解する。

返礼品: 会葬御礼と香典返しの違い、相場、即日返しについて理解し、必要数を検討する。

見積もり確認: 単価、想定数量、含まれる内容、数量変更やキャンセルの条件などをしっかり確認する。

葬儀の打ち合わせでは、これらの項目について、葬儀社の担当者とよく相談し、不明な点や不安な点は遠慮なく質問してください。

ご予算と、おもてなしの気持ちのバランスを取りながら、納得のいく選択をすることが大切です。

株式会社大阪セレモニー

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山田泰平
専門家

山田泰平(葬儀)

株式会社大阪セレモニー

当社は家族葬を専門に、これまで1000件以上の葬儀をお手伝いさせて頂きました。少人数だからこそ実現できるきめ細やかなサービスと、ご遺族様の想いに寄り添った丁寧な対応を心がけています。

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