「遺産分割の話し合いってどう進めるの?」
田舎のおじいちゃんの家に行くと、フワッと香るお線香のにおい。
「まずお仏壇に手を合わせなさいよ。」と親御さんに言われ、お仏壇の前にしゃがみ込む。
そしてお線香に火を灯し、両手を合わせる・・・。
「お線香って、なんで焚くのだろう。」
そう思ったことはありませんか?
「お通夜の時には、線香を絶やしてはいけない」という話はよく聞きますよね。
お通夜・お葬儀のお線香の意味とは何でしょうか?
お線香の由来
まずは、お線香の由来から簡単に説明します。
お線香は古く、古代インドが発祥とされており、「お香」を医療目的に使っていたそうです。
そして、古代インドは熱帯であるため、腐敗しかけたご遺体の匂い消しや虫が集まらないようにするために使われていました。
またインドのお隣のエジプトでも、約4000年前には白檀(びゃくだん)をインドから運んで、ミイラの防腐剤として使っていたそうですね。
日本には約1500年前に、今の朝鮮半島にあった百済の国から仏教とともにやってきました。
そして約300年前、今の線香の製造法が中国より伝わり、公家や高級武家しかたしなむ事が出来なかったお香が一般庶民にまで行き渡るようになったのです。
当時は、仏事はもちろん、香りを楽しむためや時間をはかるためにも使われていたそうですよ。
匂いを楽しむお線香
今でも、リラックスすることを目的に、部屋でお香をたいて香りを楽しむのと同じ感じでしょう。
お線香は仏壇に手を合わせるときやお葬儀に使いますが、この香りがいま生活している俗世の匂いを、仏様やご先祖様に分からないように消してくれる効果があると意味されています。
今でもお通夜やお葬儀に線香を絶やさないのは、この習慣もあるのでしょう。
現在ではドライアイスを簡単に手に入れることができ、ご遺体の腐敗速度を遅延させることが出来るので、意味合い的には”その場を清めること”の方が重要になってきています。
線香をご遺体の近くで焚いて、周辺を清めるのですね。
お葬儀でのお線香の意味
宗派によって違いはありますが、人は亡くなると49日間の旅に出ると言われています。
そして49日目に極楽浄土へ行く、とされています。
この節目となるのが、”四十九日法要”です。
そして、この旅のお供が線香の香りとされ、49日間の長い道のりで、線香の香りが食事となるのです。
大手の線香屋さんが、お供えに高価な線香を送るCMを打ち出しているのも、高価な線香の香りが故人のご馳走になるからなんですね。
香をお供えするためにお葬儀もって行くのが『香典』
『香典』の香は、上記の通り線香やお香の香りを指します。
典は旧字で”奠”と書き変えられますが、香奠は線香の代わりにお金を入れて渡しているのです。
それほど線香の香りは、亡くなった人にとって大切なもの。
現在の気密性の高い住宅で線香を49日間絶やさず焚きつづけると、家中に匂いが移るでしょう。
また現在の家庭は核家族化しており、家に誰もいない時間も多いため、線香の小さな火でも不安になります。
そういった理由からか巻き線香をいつもお渡ししているのですが、使用する方が減っているようですね。
匂いは思い出をよみがえらせる
匂いと記憶はつながっています。
小学校時代の教室の匂いをかぐと、小学校時代の出来事が頭に出てくるように。
むしろ匂いは、その当時の”感情”を思い出させるでしょう。
線香を焚くとき、大切な誰かのことを思い、手を合わせます。
香りが大切な人と過ごした楽しい時間を思い出させてくれるのでしょう。



