家族葬の四十九日法要について。香典は必要?
今、大勢の人が参列する一般的な葬儀が少なくなっています。
故人が社会の中で多くの人と関わっているとき、いわゆる現役でいるときに亡くなった場合は、友人知人、仕事の関係者など参列する人の数も多くなります。家族が知らせるまでもなく、関係者のネットワークの中で参列者から葬儀の手伝いをする人までが集まります。
故人の家族もまた現役である場合は、家族の関係者の参列もあるため、相応の規模の葬儀になります。
反対に、故人が高齢で現役ではなくなっている場合、現役から離れた年数が20年、30年になると縁が薄くなったり、縁のある人が亡くなったりして参列者が少なくなっていきます。家族は、故人の現役時代の関係者をすべて知っているわけではありません。エンディングノートなどに訃報を知らせてほしい人の連絡先などがあれば良いですが、訃報を伝える機会もなく、家族だけで葬儀を終えることになってしまいます。
現代の価値観に合う家族葬
一般的な葬儀は、故人や故人の家族の関係者が、縁の濃い人から薄い人まで大勢参列します。仕事関係の人になると、故人と顔を合わせたこともない人が参列することもあります。
まだ現役で仕事をしていたり、地域社会とのつながりが深く親族との付き合いも頻繁にあったりという人の葬儀は、参列者が多くなるため家族葬というわけにはいきません。参列者の数も多いのですが、周りの人たちが総出で葬儀の運営に関わってくれます。現役の会社員だった場合は、会社ぐるみで葬儀を取り仕切ってくれることもあります。
ところが、地域の人との結びつきだけでなく、親戚などですら縁が遠くなった現代では、現役を離れてしまうと、近親者と呼べる人間関係の範囲が狭くなって、葬儀は家族だけで営まれることが多くなりました。
さらに、核家族化の影響で葬儀を家族のプライベートな行事だと捉える人や、儀礼的なことを敬遠して、効率的で経済的にも負担の軽い葬儀の形を求める人が増えるなど価値観が多様化したことも、家族葬が注目される理由になっています。
とはいえ、家族葬が選ばれるのは、人間関係の希薄さや経済性重視というマイナス要因だけではありません。それまでの形式ばったお葬式に疑問を持つ人が増えたこともあります。「親しい人だけで心のこもったお見送りをしたい」また親しい人たちに見送って欲しい」というお声に応えられるのが家族葬なのです。
家族葬が求められる理由には高齢化社会も背景にある
葬儀の規模が縮小して家族葬が増えている理由には、人付き合いのあり方が変わり価値観が多様化したことのほかに、高齢化も関係しています。
仕事に趣味に、社会貢献にと長く現役で活躍される方もたくさんいらっしゃいますが、平均寿命が男女とも80歳を超えた昨今では、現役を離れてから年月を重ねる方もまた多くなっています。友人知人との親交がなくなり、親しかった方々も一人二人と亡くなっていきます。ご自身も記憶が薄れて縁のあった方々と連絡をとることも難しくなってしまいます。
故人の家族も高齢化しているので、家族関係の参列者も少なくなっています。高齢化とともに少子化も進んでいるため、孫の数が少なくなり、親族がどんどん減っているのも背景にあります。家族葬を選択したというより、葬儀の形自体が変わってきているともいえるでしょう。
故人の人間関係を壊さないために遺族が配慮すべきこと
故人が高齢の場合、家族は故人の知人友人まで把握するのは難しくなります。長く病床にあった場合などは特に、故人がかつて多くの人と関わって生きてきたことが見過ごされがちです。
遺族としては、亡くなった家族を見送るための葬儀として、故人と自分たちの関わりだけで十分だと考えてしまいますが、後になって故人に縁のある人が弔問に訪れたりすることもあります。
長く現役から遠ざかると、社会の中で孤立した状態になり、友人知人とも交流がなくなり、近親者は家族のみとなっていきますが、「年賀状だけでつながってお互いに思い合っている」などという関係の人が、いないわけではないのです。
交流のなかった親族の存在も忘れずに
また、お互いに高齢となって数十年も交流のなかった親族の存在も見逃せません。親戚の集まりなどが少なくなった現代において、親の親族は、子の代では「会ったこともない人」となります。
話には聞いているという程度なら何かのときに、連絡先などを尋ねておくこともできますが、聞いたこともなければ、存在にすら気がつきません。葬儀が済んで遺品を整理したときに始めて知ることになったり、人づてに聞き知った遠縁の親族が「礼儀を欠いている」とクレームを言ってきたりすることも考えられます。
高齢者の家族は、日頃からそれとなく友人知人や親類との関係を聞いておいたり、当人に許可を得て年賀状に目を通しておいたりするといいかもしれません。
近年は、家族が遠方に住んでいる一人暮らしの高齢者も多くなりましたので、なかなかコミュニケーションが取れない事情もあるかと思います。
でも、いつ「そのとき」が訪れるかわかりません。お互いに思いを残すことがないように、そして、故人に「お別れがしたかった」と悲しむ方をつくらないためにも、家族はよく話し合っておく必要があります。
関連記事
家族葬トラブル防止には周囲への配慮が肝要
前の家族葬のコラムはこちら→家族葬トラブル防止には周囲への配
次の家族葬のコラムはこちら→訃報連絡に家族葬の案内。参列すべ