第8回 「自分の考えの押しつけ」はただの逃げである

中坊崇嗣

中坊崇嗣

テーマ:スーパー店長育成コーチング実践録



スタッフの意見を聞こうとすると、「自分の考えと違うから」とつい否定してしまう。あるいは、逆に「意見を言うと押しつけになる」と何も言えなくなってしまう。 リーダーにとって、自分の信念を伝えることと、相手の意見を尊重することのバランスは永遠の課題です。 第8回は、押しつけを恐れて本音を隠すリーダーに、「真のチームワーク」とは何かを説いたお話です。

前回、スタッフの話を聞くための「心・頭・体」のコンディション作りについてお話ししました。 これにより、店長は「話を聞く姿勢」を整えることができました。しかし、ここで新たな心理的な壁にぶつかったのです。店長は悩みながら私に打ち明けました。 「スタッフと話をしようとすると、つい自分の価値観を押し付けてしまう気がするんです。人は人……個人の考え方があるから、自分の考えを言うと、それは押しつけになるのではないかと思って」彼の優しさが、リーダーシップのブレーキになっていました。 自分の意見を伝えることは、相手の自由を奪うことだ。そう思い込んでいたのです。しかし、私はその考えをきっぱりと否定しました。 「それは違う。自分の考えを押し殺して、相手に合わせること。それは真のチームワークではなく、ただの『逃げ』だ。」

【チームとは価値観を共有する場所】私は店長に、真のリーダーシップのあり方を伝えました。「あなたの発言や行動は、自分の考えや価値観の『押しつけ』ではない。お互いの価値観を共有し、より良い対応を一緒に考えて進んでいくこと。それがチームである。」店長はハッとした表情を見せました。 自分の考えを伝えることは相手を否定することではなく、自分の考えを開示し、相手の考えも聞き、その上で二人の共通のゴールを見つけるためのプロセスなのです。 何も言わずにスタッフに任せ、結果が違ったら不満を持つ。それこそが真の押しつけです。

【小さな挑戦と承認】この教えを受けて、店長はすぐに実践に移りました。 ある日、店舗のシフトに入っていたアルバイトスタッフから「用事があるから休みます」と連絡があった時のことです。これまでの彼なら、そのまま許可していたでしょう。 しかし彼は、自分の考えを正直に伝えました。「君が休むことで、周りにどれだけの負担や迷惑がかかるか考えてほしい。今回は許可するが、次は事前に相談してほしい」はっきりと厳しい言葉を伝えました。 そして彼は、これを「大したことじゃないんですけどね……」と卑下しました。 私はその瞬間に「それは違う」と指摘しました。「小さなことじゃない。君にとって『言いにくいことでも、言わないといけないことは言う』という、大きな成長の第一歩だ。その成果を自分でしっかり承認しよう!」新しいことにチャレンジし、それが小さな変化を生み出した。そのプロセスを「自己承認」すること。 それが店長自身の自信につながり、さらなるリーダーシップへの原動力となっていきます。

【コーチの視点】リーダーが自分の価値観を伝えなければ、スタッフは「何を基準に動けばいいのか」分からず迷います。 あなたの考えを共有することは、スタッフへの「道標」です。 勇気を持って、あなたの信念を言葉にしてください。

次回は、「第9回 チーム一体化!共通目標は「ロス削減」から」です。

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中坊崇嗣
専門家

中坊崇嗣(経営コンサルタント)

株式会社NMR流通総研

経営者の「右腕」的立場で、組織活性化・経営支援・マーケティングの3本柱でコンサルティングを提供。小売経営や事業承継など実体験をもとに、現場を深く理解して施策を提案。企業の強みを生かし、成果を導きます。

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