第7回 聞くための「心・頭・体」を整えていますか?

中坊崇嗣

中坊崇嗣

テーマ:スーパー店長育成コーチング実践録



スタッフの声を聞こうと時間を設けたのに、結局こちらの要望ばかり伝えて終わってしまった……。そんな経験はありませんか? 「聞く」ことは、単に耳を傾けることではありません。相手を受け入れるための準備が必要です。 第7回は、リーダーがスタッフと真の対話をするために必要な、心・頭・体のコンディション作りについてお話しします。

前回、スケジュールに「対話の時間」を組み込む重要性をお話ししました。 しかし、店長から「時間を作って話しかけたものの、結局自分の頭の中は緊急業務のことでいっぱいで、相手の話が全く入ってこなかった」という悩みを聞きました。時間を作ることは最低条件です。その時間をいかに濃密にするか、それが信頼関係の鍵を握ります。 私は店長に、コミュニケーションにおける「自分自身のコンディション作り」という視点を教えました。どれほど優れたコーチングのテクニックを知っていても、受け手であるリーダーがボロボロでは、スタッフは心を開きません。私は、リーダーが相手の話を聞くために必要な「3つの状態」を整理しました。

1.【心】の余裕を持つスタッフとの対話中に、「あのメールの返信がまだだ」「顧客からのクレームが心配だ」といった気がかりがあると、相手は敏感にそれを察知します。 「私の話を聞いてくれていないな」と感じたスタッフは、その後、店長に本音を話さなくなります。 緊急業務の心配事が頭にある時は、それをメモに書き出すなどして、強制的に頭から追い出す工夫が必要です。

2.【頭】を対話に集中させる「何を話そうか」と次に話す内容を考えている時間は、相手の話を聞けていません。また、別の作業のことが頭をよぎるのも同様です。 相手の一言一句に集中し、その言葉の裏にある「意図」を感じ取ろうと努める。その瞬間は、他の仕事のことは一度忘れる勇気を持つことです。

3.【体】を健康に保つリーダーが疲労困憊で、眉間にシワを寄せている。そんな状態でスタッフが気軽に相談できるでしょうか? 健康的な状態、エネルギーに満ち溢れている状態こそが、相手を受け入れる安心感を作ります。リーダー自身の体調管理も、立派な仕事の一つです。これら3つの状態が保てていない時、無理にスタッフの話を聞こうとするのは逆効果です。 私は店長に、こう教えました。 「コンディションが悪い時は、正直にスタッフに伝えよう。『今、どうしても急ぎの仕事が気になっていて、じっくり聞く余裕がない。後で必ず時間を取るから、待っていてくれるか』と言えばいい。そのほうが信頼は損なわれない。」

【主体的な機会の創出】店長は、この視点を持つようになってから、スタッフの小さな相談に対して、その場で応えるのではなく、あえて場所と時間を変えて丁寧に対応するようになりました。 「心・頭・体」を整えてから臨む対話は、これまでとは比べ物にならないほどスタッフの表情を明るくしました。

【コーチの視点】リーダーであるあなたの時間は、チーム全員の共有資産です。 疲れた状態でダラダラと部下と対話するより、短時間でも万全の状態で向き合うほうが、遥かに生産性は高い。 スタッフの声を聞く前に、まずは自分の「コンディション」を鏡でチェックしてください。あなたの表情が、チームの空気を作っています。

次回は、「第8回 「自分の考えの押しつけ」はただの逃げである」です。

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中坊崇嗣
専門家

中坊崇嗣(経営コンサルタント)

株式会社NMR流通総研

経営者の「右腕」的立場で、組織活性化・経営支援・マーケティングの3本柱でコンサルティングを提供。小売経営や事業承継など実体験をもとに、現場を深く理解して施策を提案。企業の強みを生かし、成果を導きます。

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