訪日外国人3900万人突破で見えた現実|インバウンド拡大の裏で民泊投資が二極化している理由

会社員の副業や民泊投資で注目される「収益化済み民泊M&A」。今回は、東京23区内で旅館業として運営されている案件を、元銀行マン・バトンズ認定DD調査人の田中琢郎が分析します。総投資額1,798.5万円、年間予定利益558万円、投資回収約3.2年という試算の一方、投資適正はC評価。その理由は何か。民泊M&Aで重要な「買収後の利益の再現性」、運営代行、契約、許認可、融資まで専門家の視点から解説します。
今回の結論
今回分析するのは、東京都23区内で旅館業として運営されている収益化済み民泊M&A案件です。
公開資料では、
譲渡価格:1,600万円
M&A仲介手数料:198.5万円
総投資額:1,798.5万円
年間売上:1,573万円
年間経費:1,015万円
年間予定利益:558万円
営業利益率:35%
投資回収期間:約3.2年
という試算になっています。
数字だけを見ると非常に魅力的です。
しかし、私の評価は、
収益性「A」
投資適正「C」
総合評価「A」
です。
民泊M&Aでは「利益が高いから買う」のではなく、「その利益が買収後にも再現できるのか」を確認することが重要だからです。
不動産は増えた。借入も増えた。でも、使える現金は増えていますか?
不動産投資を続けている方から、
「資産は増えたけれど、思ったほど手元の現金が増えていない」
という話を聞くことがあります。
物件を購入すれば資産規模は大きくなります。
しかし同時に借入も増えます。
さらに現在は、
- 金利上昇
- 物価高
- 修繕費の上昇
- 建築費の上昇
- 管理費等の上昇
など、不動産投資を取り巻く環境も変化しています。
もちろん、不動産投資そのものを否定する話ではありません。
大切なのは、
「自分が何を増やしたくて投資をするのか」
を明確にすることです。
資産額を増やしたいのか。
20年、30年かけて純資産を形成したいのか。
それとも、
給料とは別に、今使える現金収入を増やしたいのか。
目的によって、選ぶ投資は変わります。
会社員の副業や、不動産投資以外の収入源を考える方に知っていただきたい選択肢の一つが「収益化済み民泊M&A」です。
民泊は「ゼロから開業する」だけではありません
民泊を始めると聞くと、多くの方は、
物件を探して、
部屋をつくって、
家具や家電をそろえて、
許認可や届出を行い、
Airbnbなどの民泊予約サイトへ掲載して、
宿泊客を集める。
という流れを想像すると思います。
もちろん、ゼロから民泊を開業する方法もあります。
しかし、もう一つあります。
それが、
すでに運営され、売上や経費の実績がある民泊事業をM&Aで買う「収益化済み民泊M&A」
です。
すでに営業している民泊であれば、案件によっては、
- 過去の売上
- 月ごとの稼働状況
- 実際に発生している経費
- 宿泊料金
- 運営体制
- 清掃体制
- 運営代行会社
などを確認したうえで投資判断を行えます。
つまり、
「これから売れるかどうか分からない状態から始める」のではなく、「現在動いている事業を分析して買う」
という考え方です。
会社員の副業として考えた場合にも、現在の運営代行会社が買収後も継続して運営を担当できるのであれば、日々の予約対応や清掃手配などを外部化でき、本業への負担を抑えられる可能性があります。
ただし、ここには非常に重要な注意点があります。
「現在儲かっている」ことと、「買った後にも同じように儲かる」ことは別です。
この確認のためにDD、つまりデューデリジェンスが必要になります。
今回分析するのは東京23区・旅館業の収益化済み民泊M&A
今回の案件は東京都23区内。
一般的な住宅宿泊事業ではなく、旅館業として運営されている案件です。
公開資料上の条件を整理すると、次のようになります。
- 東京都23区内
- 旅館業
- 譲渡価格1,600万円
- M&A仲介手数料198.5万円
- 総投資額1,798.5万円
- 年間売上1,573万円
- 年間経費1,015万円
- 年間予定利益558万円
- 営業利益率35%
- 投資回収期間約3.2年
月平均にすると、予定利益は約46.5万円となります。
会社員の副業として考えると、かなり大きなキャッシュフローです。
さらに旅館業であるため、住宅宿泊事業法の年間180日以内という営業日数制限とは異なる制度のもとで営業できる点も特徴です。
ただし、
「旅館業だから、そのまま365日営業できる事業を誰でも引き継げる」
と単純に考えてはいけません。
M&A後に必要となる行政手続き、営業を継続するための条件、物件オーナーとの契約などは必ず確認する必要があります。
年間予定利益558万円・投資回収3.2年をどう見るか
総投資額は1,798.5万円。
年間予定利益558万円が維持されるという前提では、約3.2年で総投資額相当を事業利益で回収する計算になります。
投資効率だけを見れば、非常に魅力的です。
特に、
「不動産をさらに増やしたい」
というより、
「給料とは別に毎月の現金収入を増やしたい」
という人にとって、興味を持つ数字だと思います。
しかし、私は民泊M&A案件を見るとき、
「利回り何%ですか?」
だけでは判断しません。
むしろ、
その年間予定利益558万円は、買収後にも本当に残るのか?
を調べます。
これがDDです。
収益性Aなのに、なぜ投資適正はCなのか?
今回の案件について、私は収益性を「A」と評価しています。
一方で投資適正は「C」としています。
これは「悪い案件」という意味ではありません。
数字は非常に強い。しかし、購入する前に確認すべき事項が残っている。
という意味です。
主に確認したいのは次の3点です。
1.賃貸借契約・営業継続条件を確認する
民泊M&Aでは、民泊の営業実績だけを買うわけではありません。
その事業を継続できる環境も必要です。
そのため、
- 現在の賃貸借契約
- 契約の残存期間
- 名義変更・事業承継の可否
- 物件オーナー側の条件
- 営業継続に必要となる手続き
- 設備の状態
などを確認します。
民泊事業を買収しても、同じ物件、同じ条件で営業を続けられなければ、現在の収益は再現できません。
2.年間予定利益558万円にオーナーの労働が含まれていないか
会社員の方が副業として民泊M&Aを検討する場合、私は特にここを重視します。
例えば現在のオーナーが、
- 宿泊者とのメッセージ対応
- 清掃スタッフの手配
- リネン管理
- 価格調整
- クレーム対応
- 設備トラブル対応
などを自分で行っているとします。
買収後、会社員である買い手がその仕事をしたくなければ、運営代行会社などへ外注することになります。
当然、経費は増えます。
その結果、
「年間558万円残ると思って買ったのに、完全外注にしたら利益が減った」
という可能性があります。
だからこそ、
「今いくら利益が出ているか」ではなく、「自分がほとんど現場業務を行わない状態で、いくら残るのか」
まで計算する必要があります。
3.契約更新関連費用を確認する
今回の案件資料には、契約更新関連費用があることが示されています。
更新料、名義変更、その他必要な手続きなどにいくらかかるのか。
これを確定しなければ、本当の取得費用は分かりません。
民泊M&Aでは譲渡価格だけを見るのではなく、
「買って、引き継いで、正常に運営を開始するまでの総額」
を見る必要があります。
会社員が民泊M&Aをするなら「利益の再現性」を確認する
私は、収益化済み民泊M&Aを見るときに「利益の再現性」という考え方を重視しています。
過去に売上が出ていた。
過去に利益が出ていた。
それだけでは不十分です。
確認するのは、
- 現在の運営代行会社を継続できるか
- 運営代行料金は変わらないか
- 清掃体制を継続できるか
- 宿泊予約サイトの運用体制はどうなるか
- 家賃・更新条件は変わらないか
- 現オーナー個人のノウハウに依存していないか
- 設備更新費用は発生しないか
などです。
これらを確認し、現在の運営代行会社が引き続き宿泊者対応、予約管理、清掃手配などを行えるのであれば、
会社員が本業への負担を抑えながら民泊事業を保有する
という形を検討しやすくなります。
これが「収益化済み民泊M&A」の大きな特徴の一つです。
民泊M&Aは「完全な不労所得」ではありません
副業を探している会社員の方の中には「不労所得」を求めている方も多いと思います。
ただし、私は民泊M&Aを「何もしなくてよい不労所得」とは説明していません。
民泊は事業です。
オーナーとして、
売上確認、
資金管理、
運営会社とのやり取り、
設備トラブルへの判断、
契約管理
などは必要です。
一方で、運営業務を外部へ委託することで、
「自分が宿泊者対応や清掃をしなくても回る仕組み」をつくることは可能です。
会社員が見るべきなのは、
「何もしなくていい民泊なのか」
ではありません。
「自分が現場で働かなくても、事業として回る仕組みまで引き継げるのか」
です。
自己資金だけでなく、日本政策金融公庫との連携を活用した民泊×融資も検討
今回の案件の総投資額は約1,800万円です。
会社員がすべて自己資金で投資するには大きな金額です。
そこで重要になるのが資金調達です。
田中の民泊投資では、日本政策金融公庫との連携を活用し、民泊開業や収益化済み民泊M&Aについて、元銀行マンの立場から資金計画づくりをサポートしています。
主な支援内容は、
- 民泊M&A案件の分析
- 自己資金の確認
- 投資可能額の整理
- 資金計画
- 事業計画
- 日本政策金融公庫への相談準備
- M&A成約支援
- 買収後のPMI
などです。
もちろん、
会社員だから必ず融資を受けられるという意味ではありません。
年収、勤務状況、自己資金、既存借入、事業計画、対象となる民泊事業の収益性などをもとに、金融機関が判断します。
だから私は、
「買いたい案件が見つかってから融資を考える」
よりも、
「自分なら、どのくらいの自己資金と融資で、どの規模の民泊M&Aを検討できるのか」
を先に整理することをおすすめしています。
民泊開業・民泊M&Aの融資を元銀行マンがサポート
民泊M&Aは「買って終わり」ではない。将来の売却も考える
不動産投資でも出口戦略が重要ですが、民泊M&Aでも同じです。
収益化済み民泊を買い、
運営を続け、
売上・利益実績をつくり、
運営体制を整え、
事業価値を高める。
そのうえで、
将来、民泊事業そのものを別の買い手へM&Aで売却する
という出口も検討できます。
もちろん、将来必ず売れるわけでも、希望価格で売れるわけでもありません。
だからこそ購入段階から、
「何年保有するのか」
「どんな状態にして売却するのか」
「次の買い手から見て魅力的な事業になっているか」
まで考えておくことが重要です。
逆に、すでに民泊を運営していて、
「民泊をやめたい」
「別の事業に集中したい」
というオーナーの方にも、廃業以外の選択肢があります。
売上・利益・運営体制が整っている民泊であれば、事業として第三者へ承継できる可能性があります。
民泊をやめる前に|民泊M&Aで売却・イグジット
元銀行マン田中の最終判断|558万円だから買うのではない
今回の東京23区・旅館業案件は、
総投資額1,798.5万円、
年間予定利益558万円、
営業利益率35%、
投資回収約3.2年。
数字としては非常に魅力があります。
だから収益性は「A」です。
しかし、
賃貸借契約、
営業継続条件、
更新関連費用、
運営代行費、
買収後の外注コスト
などに確認事項があります。
そのため、現段階の投資適正は「C」としています。
年間予定利益558万円だから「買い」ではありません。
その558万円が、買った後にも残るのか。
私はそこを確認してから投資判断をします。
民泊M&Aにおいて重要なのは、表面上の高い利回りだけを見ることではありません。
現在の利益を生み出している仕組みを分解し、
「何を引き継げるのか」
「何が変わるのか」
「買収後にも同じ事業を運営できるのか」
をDDで確認することです。
それが、元銀行マン・バトンズ認定DD調査人として私が民泊M&A案件を見る際の基本姿勢です。
収益化済み民泊M&Aをもっと知りたい方へ
田中の民泊投資では、市場に出ている収益化済み民泊M&A案件を、元銀行マン・バトンズ認定DD調査人の視点から分析しています。
「利回りが高いから買う」のではなく、「本当に買ってよい案件なのか」を分析する。
これが「田中のお宝民泊M&Aレポート」です。
元銀行マンが分析する「田中のお宝民泊M&Aレポート」
[[YouTube「田中の民泊投資」 https://www.youtube.com/@financeeye]]
YouTubeでも、実際の民泊M&A案件や、会社員の民泊投資、融資、M&Aについて解説しています。
会社員で民泊副業・民泊開業を考えている方へ
民泊を始める方法は、
「自分でゼロから開業する」
だけではありません。
有名民泊予約サイトなどですでに運営されている、収益化済みの民泊事業をM&Aで買う
という選択肢もあります。
現在の売上・経費・運営状況を確認し、DDを行い、融資を含めた資金計画をつくる。
そして、買収後は運営代行を活用しながら会社員の副業として事業を保有する。
田中の民泊投資では、日本政策金融公庫との連携を活用しながら、
案件探し、
案件分析、
資金計画、
融資、
M&A、
買収後の運営、
将来の出口
まで伴走しています。
「民泊に興味はあるが、何から始めたらいいか分からない」
「不動産投資以外にも毎月の現金収入を増やす方法を考えたい」
「自分でも融資を使って民泊M&Aができるのか知りたい」
という方は、まず仕組みを知るところから始めてください。
収益化済み民泊M&A・民泊投資セミナーはこちら
日本政策金融公庫との連携を活用した民泊×融資サポート
年間予定利益558万円だから買うのではない。
その558万円が「買った後にも残るのか」を調べてから買う。
収益化済み民泊M&Aで、私が最も大切にしている考え方です。


