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顧客心理に基づく売れるしくみづくり

北林弘行

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テーマ:マーケティング

商品やサービスを提供する側にとって、顧客が何を考えてどのように行動するかを知ることはとても重要である。

顧客が買いたいと思わなければ商品は売れない。あらゆる業種・業態で、商品やサービスが豊富にあり、いつでもどこでも手に入りやすくなっている現在の市場において、いい商品・サービスというだけでは売れなくなっている。

では、顧客にメリットがあれば売れるのか?


テーマ①「お客さまのメリット(利益)とベネフィット(利得)の違い」



痩せることはベネフィット?


「A社健康食品を食べるようになって、肌の調子がいい」

これはメリットか?それとも、ベネフィットか?

お客さまのメリットとは、商品を購入することで直接的に得られる効果や利益である。

ベネフィットは、商品のメリットによって得られる効果をいう。

このようにメリットとベネフィットを説明されてもなかなかピンとこない。

さきほどの例の場合、

「A社の健康食品を食べるようになって、肌に自信が持て、以前より行動的になった」

これはベネフィットである。

なぜ、ベネフィットを考える必要があるのだろうか。

それは、商品やサービスの差別化が難しくなってきたためである。

健康食品も30年前であれば、それほど種類も多くなかったために商品の違いがはっきりしていた。

特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品などもなく、市場規模の現在の4分の1程度であった。

市場規模の拡大と共に商品の種類も増え、黒酢であっても他の栄養素の入ったものなど様々である。

類似した商品は区別がしづらいために、容量や栄養素の含有量などで差別化を図ろうとする。

そうした違いが伝わる顧客層とそうでない層がいる。

暑い季節に黒酢を飲んで夏バテを防止をしたい人と、年間を通じて黒酢を飲み続けて健康を維持したい人では、黒酢の容量、飲み方、後味に求めるものも変わってくる。

より細かくニーズに応えるには、単に商品のメリットを考えるだけではなく、顧客の本音(インサイト)から見える求めるベネフィットを考えていく必要がある。

こうした対応をしている会社は商品そのものだけでなく、販売方法やカスタマーサービスなども重視する。

そのことでより付加価値が高まることを知っているからだ。

一見、面倒臭そうに感じること。こうしたことが他社との違いを生む。



テーマ②「買う顧客の心理プロセスとは?」



顧客の購買心理をみる


「顧客が商品をなぜ買うのか?」の研究の歴史は意外に浅く100年程度である。

はじめての購買行動モデルは、アメリカのE・K・ストロング氏が『Theories of Selling』という論文の中で発表した「AIDA(アイーダ)の法則」である。

AIDAとはアルファベットの頭文字を購買プロセスの順に並べたものである。

A・・・Attention(認知)
I・・・Interest (興味)
D・・・Desire (欲求)
A・・・Action (行動)

商品を知る認知の段階から、購買する行動の段階までをしてしている。

このモデルでは、1.商品を知る、2.商品に興味を持つ、3.商品が欲しくなる、4.商品を買う、の4段階があるとしている。

この同時期に発表された同じアメリカの経済学者ローランド・ホール氏によって提唱されたのが「AIDMA(アイドマ)の法則である。

A・・・Attention(認知)
I・・・Interest (興味)
D・・・Desire (欲求)
M・・・Memory (記憶)
A・・・Action (行動)

これは、日本でも広告代理店が商品の販売促進を提案する際にも使われた。

CMや広告を通じて商品を知り(A)、商品の特徴を訴えることで顧客の興味を引き(I)、商品が欲求を満たすことを納得させることで購買意欲を後押しし(D)、電話やダイレクトメールなどでフォローし記憶・想起させ(M)、商品を買うように働きかける(A)、という具合である。

顧客が商品を買うのはそれほど単純な行動ではなく、認知からはじまり、その認知方法としてCMや各種の広告があることが提案できる。

インターネット時代に入り、日本の電通が2005年に提唱・商標登録したAISAS(アイサス)が代表的なモデルとして知られている。

AISASでは、AIDMAの5つの行動プロセスからDesire(欲求)とMemory(記憶)がなくなり、かわりにSearch(検索)とShare(情報共有)が追加された。

インターネット購買によって、Desire(欲求)とMemory(記憶)のプロセスがSearch(検索)に短縮されている。すなわち、興味の後、検索をして、すぐに買うようになっているのである。

この背景には、①検索によって気になった情報をすぐに調べられるようになったこと、②ネット購買によって購入プロセスが簡単になったことがある。

さらに、ブログや電子メッセージなどによって、購買者自身がネット上に拡散するプロセスが重要視されるようになった。

スマートフォン時代になって、さらに購買行動は変化しており、様々な購買行動モデルが提唱されている。

多くのモデルで、「認知」と「行動」の段階がある。AIDAのときから「認知」が重要なプロセスとなっていることに着目したい。

そして、この2つはB2CにもB2Bにもあてはまるプロセスである。

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北林弘行
専門家

北林弘行(経営コンサルタント)

CooKai株式会社

中小企業なかでも製造業に対しての経営コンサルティングが得意分野。「軸となるしくみ」を核に、マーケティングやブランディング、企画からプロモーションまで多彩なアプローチで業績の向上をサポートします。

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