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北林弘行(きたばやしひろゆき) / 経営コンサルタント

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コラム

会社にとって売上よりも大切なこと

2019年7月12日 公開 / 2019年7月15日更新

テーマ:マーケティング

コラムカテゴリ:ビジネス

会社を経営する中で収益が大切なのは当然である。「利益の追求」は大きな原動力ともなる。その一方で会社とは社会の一員でもあり、その会社も社会も人が集まることで成り立つ。企業は人なり。「マーケティング」と「マネジメント」のバランスは、企業の存続価値に影響を与える。


テーマ①「世界の老舗企業の6割が日本にある理由」


老舗という事業

ライプタイムバリュー(LTV:顧客生涯価値)という考え方をする。

例えば、某学校法人があるとする。その学校法人では、幼稚園~大学院までを経営している。地域に深い根付いており、3世代に渡って通っている一族も多い。こうした学校法人に対して、顧客が法人の提供するサービスに対して使う金額は非常に大きくなる。

顧客が法人に対して支払う金額を価値基準にとして、その生涯価値をライフタイムバリューとみなす。このような状態になるには「認知度・知名度」「ブランド力」「信用力」の面で高くなくてはならない。老舗企業として存続するには、こうした力が必要となる。

日本には200年以上続く会社が集積しており、その割合は6割を越える。
世界41か国で5586社のうち日本は3146社(全体の56%)だ。※韓国銀行2008年調べ

1位 日本 3146社
2位 ドイツ 837社
3位 オランダ 222社
4位 フランス 196社
5位 アメリカ 14社
6位 中国 9社
7位 台湾 7社
8位 インド 3社
その他

その理由として公認会計士・税理士の藤間秋男氏は
・他国の支配を受けることがなかったこと
・日本人の勤勉性。仕事に手を抜かず、一途に打ち込む国民性
・社風・ブランド・商品・社員を育ててきたこと
・いい状態で次の世代に渡すことが美徳としてきたこと
・『家訓』や『理念』がしっかりと受け継がれているということ
・後継者を育てることを大事にしてきたこと
をあげておられる

世界最古の企業金剛組(西暦578年創業)が有名である。
四天王寺などを守る宮大工100人を抱える金剛組も、2008年に金剛家の企業としては幕を閉じ現在は高松建設の子会社となっているが世界最古の企業として今後も長く続いてもらいたい。

金剛組を筆頭として、世界に12社しかない1000年以上続く企業のうち9社が日本である。

世界に類を見ない長く続く企業が多くあることからいえば、100年単位での経営戦略において日本に勝る国はないといえよう。


テーマ②「小さな会社は弱い?」


小か大か

「小さな会社」より「大きい会社」のほうが強いか?

マーケティング活動において重視することに「自社の強み」の活用がある。大きい会社は強くて、小さな会社が弱い とは言えないだろう。大きければいいのであれば、生態系においても大きな動植物のほうが生きやすいはずである。

小さい会社の強みはなにか?

1つめは「スピード」である。

決断するスピードが早い。意思決定も早く、舵取りも柔軟になる。
事業はいわば、選択と判断の連続である。事業において、柔軟で決断が早いことは大きな強みである。
また、このスピードには、事業理念の浸透、組織風土づくりにおける速さも挙げられる。

2つめは「コスト」である。

事業規模が大きくなればなるほど、ちょっとした変化にもコストが掛かってしまう。小さな会社が優良な外部と提携ができれば、事業の伸びシロは一気に大きくなる。提携先から見てもコストメリットを得やすくなるために提携もしやすい。大きな会社からすると、小さな会社のコストの強みは魅力的である。
また、昨今、情報システムにおいてもユーザー数が少ない場合は、特にコストが安いサービスも多くなっている。

3つめは「コンパクト」である。

小さな会社がコンパクトであることは当然ではあるが、これは大きな強みである。小さな事業投資でも効果が出しやすい。大きな会社になれば、小さな投資で小さな効果を出しても焼け石に水となってしまう。

4つめは「ニッチ」である。

市場には必ず隙間がある。その隙間はいわゆるブルーオーシャンであり、この市場は気づかれにくく、攻められにくい。また、この市場において、先行者としての利益とノウハウ、経験を貯めていくことで強いアドバンテージを得ることになり、他社に追随されないポジションを気づくことができるのである。

5つめは「組織内コミュニケーション」である。

人が働くうえにおいてもっとも重要なことは「安心」である。密度の高いコミュニケーションは、安心・安全な場をつくることができる。安心な会社では人は高いパフォーマンスを発揮することができる。小さな会社は、組織内コミュニケーションが圧倒的にしやすい。

大きい会社が必ずしも強いとは言えない。強いか弱いかは、規模の大小ではなく、経営資源とその活用ということになろう。



テーマ③「いいものをつくれば勝てるという考えは間違っている」


いいものは売れる?

コトラー氏、低迷する日本を語る「いいものをつくれば勝てるという考えは間違っている。顧客を知ることも大切です」 (マーケジンより)

2013年6月に「コトラー・カンファレンス 2013」(主催:日本マーケティング協会、日本マーケティング学会、ネスレ日本株式会社)で来日したコトラー氏が低迷する対して苦言を呈した。

約6年が経過しようとしているが、現在はどうなっているか?

昨年2018年10月に開催されたWAF2018 OSAKAにおいても一橋大学大学院経営管理研究科の鷲田祐一教授が「デザイン経営の必要性」というテーマのなかで「良いものを作れば勝てる時代は終わった。」とおっしゃった。

正確にはわからないが、いいものをつくれば勝てる(売れる)という感覚は未だに根強いものがありそうだ。

こうした感覚のどこに問題があるのか。

さきほどのマーケジンの記事では
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「いいものをつくれば問題は解決する」という考え方はやめよう

 コトラー氏は、「日本の会社は問題の解決策はいいものをつくること、それで勝てると言いがちですが、そうではありません。やはりカスタマーについて考えるべきです」と言う。企業が提供する商品・サービスは顧客の満足、喜びにつながるものでなければならない。ブランドをしっかり確立すること。目的が明確なマーケティングを行い、世界にどのような違いをもたらしたいのかをはっきりさせること。単にお金をかせぐだけでなく、人間の生活、喜びにどう貢献できるのかを考えること。より高い目的、視点が必要だと語った。
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としている。

いいものをつくることが顧客の満足、喜びにつながっていればよいが、そうでなければただの自己満足に終わってしまうということだろう。
もっとひどい場合は「せっかく、いいものをつくっているのに、なぜ顧客はわからないのだ」という筋違いの話になってしまう恐れもある。

ドラッガーも「企業の目的は顧客の創造にある」という。

顧客の喜びなくして、顧客の創造はない。

ときに、提供側は顧客の喜びが見えづらくなる。そのために、マーケターというものが存在している。

コトラー氏が日本にCMOがいないことを問題視していたが、現在もまだまだ少ないことには変わりはない。

イノベーションは技術革新ではなく、新価値創造であり価値革新である。



テーマ④「マーケティングと組織づくり」


強いチーム

マーケティング戦略と組織戦略は密接な関係にある。

・商品・サービスをどのような組織(内部・外部)で、顧客や市場へ供給していくか?

・また、顧客から得たマーケティング情報をいかに組織に届けるか?

組織の形は、市場の影響を受ける。

ここ数年「ティール組織」「ホラクラシー組織」が注目されている。

「柔軟性」「役職より役割」「各自の自主性」を重視する傾向が強くなっていることが背景にある。

情報入手が簡易になったことから、スピーディな判断がより求められているためであろう。

組織的に見ると「市場への対応スピードが早く細やかになっていった結果、組織に柔軟性や自主性が求められるようになっている」ということであり、マーケティング的に見ると「組織を柔軟にし各自の自主性が高まることで、市場に対してよりスピーディに細やかな対応ができるようになる」ということである。

提供者としての個人が、市場の一部であると考えるほうがシンプルなのかもしれない。

これまでは「組織」という境界があり、そのことで見えなかったことがあり、守られてきたことがあった。

しかし、全体的な傾向として「組織」という境界が薄くなっており、透明性や公平性を求められるようになってきた。

その結果、組織の中の個人に対する自主性、個の力の重要度が増しているのではないか。

そして、そのことと同時に、個に対して協調性が以前より求められるようにもなっている。

このように考察すれば、組織は市場の影響を受け、マーケティングと組織は密接にならざるを得ないと分かる。

ティール組織やホラクラシー組織は一過性の概念かもしれないが、会社にとって組織のあり方はより重要となる。

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