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会社経営におけるマーケティングの役割

北林弘行

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テーマ:マーケティング

「つくる」「売る」「管理する」という3つは、大きな組織であっても1人で事業をしていても会社を経営するなかで必要なことである。

当社では、この3つを軸として支えるのが会社の看板とも言える「ブランディング」であると考えている。


マヨネーズといえば

テーマ①「ブランディング ~あなたの会社を一言でいえば?~」


ある人に「車といえば、思い出す会社は?」とたずねると「ホンダ」と言った。
同じ人に「では、ホンダといえば?」とたずねると「バイク」と言った。

皆さんの会社を一言で言えば「〇〇」のなかに何が入るだろうか?

この一言が自社の思っているイメージと、顧客や市場が思っているイメージが近かったり、同じだったりすれば、それはブランドを確立していると言えよう。

たとえば、以下の名前で「〇〇といえば△△」の△△に思い浮かぶのはなにか?

「ブルガリ」
「キューピー」
「東急」
「ヤマハ」
「グーグル」

世代・性別や経歴によって出てくる言葉も異なるだろうが、私の場合、
「ブルガリといえば高級時計」
「キューピーといえばマヨネーズ」
「東急といえば鉄道」
「ヤマハといえばピアノ?バイク?」
「グーグルといえば検索エンジン」
という具合である。

ブランドとしての認知度の高さは「〇〇といえば△△」を逆にすると分かる場合がある
「高級時計」
「マヨネーズ」
「鉄道」
「ピアノ」
「バイク」
「検索エンジン」
から連想するブランド名である。

「マヨネーズといえばキューピー」「検索エンジンといえばグーグル(Chrome)」にはなりそうだが、「高級時計」「鉄道」「ピアノ」「バイク」は他のブランドもでてくる。

逆にしてもどちらもいけるレベルとなると独占や寡占の状態とも言え、そのためには様々な条件が必要となる。

ここで言いたいのは「〇〇といえば△△」だけでなく、逆の「△△といえば〇〇」も考えてほしいということである。

皆さんの会社「(会社名)といえば△△」で△△にどんな言葉が入るだろうか。



大福のイノベーション

テーマ②「マーケティングとイノベーションによる顧客創造」



日本でもファンの多い「知の巨人」「マネジメントの父」と呼ばれる故ピーター・F・ドラッカーは「企業の目的は顧客の創造である」という。

そして、その顧客の創造は2つ。「マーケティング」と「イノベーション」だと。

イノベーションは新しい取り組みとなり、新規事業の成否はビジネスアイデア以上にその起業家精神(アントレプレナーシップ)に掛かる。

「イノベーションと起業家精神」の中で、7つの源泉として

・予期せざるもの
・調和せざるもの
・プロセス・ニーズ
・産業と市場の構造変化
・人口構成の変化
・認識の変化
・新しい知識

が挙げられている。

大きなうねりが起こっており、まさに、その渦中にある。
可謬主義的には「昨日まで正しかったことが、今日も正しいとは限らない」というのだろう。

イノベーションの例は多くあるが、わかりやすいものとして

「いちご大福」が挙げられる。

今となっては当たり前に感じる「いちご大福」も発売する前には苦悩があったと言われる。
開発については諸説あるが、一不二さんと大角玉屋さんが発案・販売開始をされたとする説が強そうだ。

当時は昭和のバブル期で和菓子離れが深刻化しており、頭を悩ませた末に、大福に生ものを入れることは邪道とされていたが、その慣習を打ち破って初めて餡の中にいちごを入れた。結果、いちご大福は1日1000個も売れる大ヒット商品になったという。

あとから見ると、どうってことのない話に見えるが、その小さな壁が越えられないことが多い。

いちご大福も和菓子離れを課題だと誰かが感じなければ、生まれなかった商品。

イノベーションというと大仰に感じるが、基本はアイデアとそこへの思い入れなのだ。




事業の成長と発展を

テーマ③「マーケティング活動のステップ」



ブランドポジションを想定し、イノベーティブな商品(サービス)が生まれたら、それを「作る」「売る」「管理する」ということになっていく。

⬛テストマーケティング段階

「管理する」ことまで考えておくことで、将来的なリスクは相当低減するであろう。

商品やサービスには、あらゆる段階においてトラブルやクレームが発生するリスクがある。

そのために、プロトタイプやテストマーケティングなどを行う必要がある。

プロトタイプやテストマーケティングにはリスクヘッジ以外にも様々な効果が期待できる。

生産効率や原価の予測、販売ルートとの交渉、顧客ニーズの具体的理解、販売数の予測精度の向上などがある。

これらによって、収支計画の精度も高まっていき、投資・予算なども想定でき、融資計画や相談もしやすくなっていく。

マーケティング調査を軽視する会社も多いが、経営の戦略性を考えると最低限は行っておきたい。

⬛リリース段階

商品・サービスのリリースを開始すると、いかに拡販していくか、また、提供を効果的に行っていくか、が求められる。

売れすぎて困ることはそうないだろうと高を括っていては、リリースしてから機会損失が起こる。

プレスリリースにおいても主なメディアへの個別フォローを行いつつ、新規性・独自性・社会性の視点での情報提供を行っていく。

こうした地道な活動が後々アピールポイントにもつながっていく。

⬛販売促進段階

販売戦略に基づいた客層、媒体、コンテンツ、メッセージを営業チームが主体となって、広告チーム、広報チーム、生産チーム(サプライ側)と連携を図りつつ、市場への浸透を図る。

この段階では、営業や広告の効果検証が重要となる。仮説との差異はなにか?地域、時間帯による反応の違いは?

イノベーター、アーリーアダプターのファン化に成功すれば、さらに積極的な施策の実施となる。

⬛管理の役割

上記の段階ごとに管理の役割も変化していく。販売促進に掛る段階では万全を期すべく、テスト、リリースの段階での情報収集と予測、改善を図る。

これらは、たったひとつの商品の大きな流れではあるが、商品アイテムが増えるにしたがって活動は複雑になっていく。

「つくる」「売る」「管理する」のマーケティングのしくみをつくり、当たり前になっていることが本当に正しいか?常識的な視線で、常識を疑い「イノベーション」を起こし、新たな顧客を創造していくことが、ミッションやビジョンといった企業の目的追求につながる。

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北林弘行
専門家

北林弘行(経営コンサルタント)

CooKai株式会社

中小企業なかでも製造業に対しての経営コンサルティングが得意分野。「軸となるしくみ」を核に、マーケティングやブランディング、企画からプロモーションまで多彩なアプローチで業績の向上をサポートします。

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