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遮音性の高さが特徴。RC造の防音効果について

磯﨑慎一

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テーマ:RC造住宅

生活音の中で生活騒音、カラオケや駐車場の話し声のような営業騒音・近隣騒音があり、これに関する苦情・訴訟が増加しています。

生活騒音は、空気伝搬音、重量床衝撃音、軽量床衝撃音に分類され、種類に応じた対策が住まいには必要になります。

木造や鉄骨造と比較して、RC造は全体的に遮音性能が高く、開口部を防音仕様にすることで、音の出る趣味を気兼ねなく楽しめます。

駅・コンビニに近くて幹線道路に面している好立地を見つけ、いざ住んでみたら、車の走行音や人の話し声が終日うるさくて、後悔することは稀ではないそうです。閑静な住宅街でも、2世帯住宅の2階で子供の遊ぶ音とか、マンションなら別世帯の生活音が気になるトラブルも起きています。

住まい選びで騒音は、気づきにくい点のひとつです。今回のコラムでは、日常気になる生活音とRC造の遮音性についてお話しいたします。

生活騒音・近隣騒音とは?

どんな家庭でも、日常生活の際に発生する音があります(生活音)。

生活音の中で、隣近所(マンションや2世帯住宅の隣接世帯も含む)の迷惑となるものを生活騒音といいます。生活騒音といってもその種類はさまざまです。以下に挙げるのは代表的な例です。

●テレビ(ゲーム)、オーディオ機器

●楽器(ドラムやピアノなど)
●洗濯機や掃除機など白物家電

●エアコンの室外機、ボイラー、給湯器

これとは別に、近隣騒音や営業騒音と呼ばれる騒音もあります。

例えば―

●飲食店から聞こえるカラオケの歌声

●バッティングセンターやコンビニ駐車場などでの屋外の話し声

●選挙カーなどの拡声器から聞こえる人の声

●自動車の走行音・空ぶかし

●番犬が吠える声

近隣騒音・営業騒音については騒音規制法や風営法による規制があり、乗用車の走行などについては、国道などの幹線道路の側には遮音壁が設けられているところもあります。

最近、生活騒音の苦情・訴訟が増加しており、行政の啓発・指導が進められています。

生活騒音については、近隣に配慮した自助努力といいますか、深夜にテレビを観たり音楽を聴いたりするときはボリュームをおさえるなどの配慮が第一だと思いますが、防音カーテンや二重サッシなどを採用することも考えられます。

また、趣味の部屋(音楽や映画鑑賞をする、楽器を演奏するなど)に防音対策を施す方法もあります。

我が家では子供たちと遊んだり楽器を弾いたり、思い切り生活を楽しみたい。ご近所との良好な関係も大切にしたい。これらを叶えるために、防音・遮音といった対策を講じることを視野に入れてみましょう。

生活騒音の種類と対策

生活騒音は、空気伝搬音と固体伝搬音に大別され、固体伝搬音は重量床衝撃音と軽量床衝撃音に分けられます。

●空気伝搬音
壁など隔てるものがない所にいる人の話し声や機械の音など、物体を介在せず空気中を伝わってくる音です。

●重量床衝撃音
床や壁を隔てて伝わってくる音のうち、重量のあるものが落ちたとか、子供が跳びはねた時に出る音です。

●軽量床衝撃音
床や壁を隔てて伝わってくる音のうち、食器のような軽いものが落ちたとか、椅子を引きずった時に出る音です。

こうした生活騒音をいかに抑えるかが、快適な生活空間の確保にとって重要になっています。

住宅性能表示制度では、共同住宅の騒音対策が任意評価項目になっていますが、騒音の種類に応じて、以下のように必要な対策が明示されています(住宅性能評価・表示協会サイトhttps://www.hyoukakyoukai.or.jp/seido/shintiku/05-08.html参照。内容を抜粋・要約)。

<空気伝搬音>
・壁の構造躯体の厚さ・壁の重さを増加させる
・空気伝搬音を通しにくい複合構造の壁を選択するなど

<重量床衝撃音対策>
・床の構造躯体の厚さ・床の重さを増加させる。
・振動を抑えるよう床端部の取付け方を工夫する。
・衝撃音を増幅させない床仕上げ材を採用する。

<軽量床衝撃音対策>
・床の構造躯体の厚さを増加させる。
・床仕上げ材に軟らかい材料を選択する。

いずれの種類でも、壁や床の厚み・重さを増やすことが対策のひとつとして挙げられていますが、こうした構造を実現するのがRC造です。

RC造の防音効果

空気を伝わる音は、壁のような遮蔽物に当たって、その向こう側へ伝播する際に音が小さくなります。遮断は、この単純な原理を利用した騒音防止策です。

単位面積当りの質量が大きく分厚い遮蔽物ほど、遮音効果は向上します。そのため質量の大きなコンクリートを使ったRC(鉄筋コンクリート)造の建物は、遮音性の点では優れています。

一般的に、RC造住宅の壁厚は160mm前後、天井スラブ(床版)は200mm前後あります。この厚みによって、例えば80デシベルというトラック走行音並みの騒音が、20デシベル(図書館屋内よりも静かなレベルの音)に低減されます。

これと比較すると木造や鉄骨造(ALCパネルなど使用)は、遮音性は低くなります。躯体を構成する部材は木など軽いものが主だからです。

柔らかい素材は、軽量床衝撃音の緩和に効果があるので木造でも効果的ですが、重量床衝撃音についてはRC造が優れています。

それを補うため、木造住宅工法では4層構造の床プラス吸音効果のある断熱材を使うなど、工夫をこらしたものがあります。

RC造は、床、天井、壁を問わず全体的な遮音性能が高いため、開口部(窓やドア)も防音仕様にすることで、ホームシアターや楽器の演奏などの趣味を気兼ねなく楽しむことができます。

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磯﨑慎一
専門家

磯﨑慎一(一級建築士)

株式会社サンオリエント

予算・間取り・敷地など住宅建築の際にネックとなるさまざまな条件を親身になって検討。木造や鉄骨、RC(鉄筋コンクリート)まで全ての工法から最適なプランをご提案し、夢の実現をサポートいたします。

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