漆喰の特徴、住宅に取り入れるメリット
壁紙の上から漆喰を塗ると、工期短縮、廃材減少、コストダウンなどのメリットがあります。
直塗りの工程は、汚れを取るなどの処理のあと、シーラーを塗り、それから漆喰を2度塗りします。
DIYで漆喰を塗る場合は、コテなど所要の道具を用意したのち、記載の手順にしたがい作業します。
壁紙の上から漆喰を塗るメリット
これまでのコラムを読まれて、リフォームの際に「新築時はクロスだったけど、これを機会に漆喰壁に生まれ変わらせたい」と検討されている施主さまは多いかと思います。
「でも、クロスをはがして、そこに塗って、と工期も費用もかかりそう」と心配されていませんか。
実は、漆喰は既存のクロスに直塗りすることができるのです(厳密にはシーラーを先に塗ります)。
漆喰は、普及率9割を占めるビニールクロスだけでなく、砂壁やじゅらく壁のような他種の塗り壁とか、モルタルにも上塗りできます(例外あり、下記参照)。
クロスに上塗りするメリットは、以下のとおりいくつかあります。
●工期短縮
はがす手間がないので、その分工期は縮まります。
●廃材減少
はがしたクロスは産業廃棄物として処分しなくてはなりませんが、その必要がなくなります。
●コストダウン
はがす工賃と廃棄料金がかからず、若干安くなります。
●トラブル防止
はがしきれずに裏紙が少しでも残っていると、塗り作業時にそれが水を含んで膨れる原因となります。むしろクロスがあった方が、そのトラブルを防げます。
以下の既存壁ですと、直塗りはできない可能性が高いです。詳しくは専門家にご確認ください。
●表面が非常に平滑
●防汚加工したクロス
●紙や布のクロス
●かなり厚手のビニールクロス(指の爪を押し付けて、しばらくしても爪の跡が消えない厚さ)
●10年以上経った古いビニールクロス
●クロスの下地がコンクリート
漆喰のクロス直塗りの手順
(1) 布でクロスの表面を乾拭きして、ほこりや軽微な汚れを取り除きます。これで取れない汚れがある場合、中性洗剤を薄めてから布に含ませて、やさしくぬぐいます。カビについては、市販のカビ取り剤を使います。
クロスに部分的な浮きや膨れがあれば、その箇所を切り取り、接着剤で押さえます。あるいはステープルで留めます。
(2) 漆喰を塗る範囲全体に、クロスの上からシーラーを塗ります。シーラーは、クロスと漆喰がしっかりと接着するためのものです。状況によって、シーラーを2度塗りすることがあります。
(3) 漆喰を2回に分けて塗ります。
DIYでクロス直塗りする際のポイント
今は、ホームセンターでたいていの道具や材料が手に入るようになって、DIYで漆喰のビニールクロス直塗りにチャレンジする人が増えています。
そこで、「自分で塗ってみたい」という方向けに、用意するものや施工法についてお教えいたします。
●用意するもの
・大・小のコテ(ステンレス製が錆びないのでベター)
・コテ板
・保護用品(漆喰を吸い込まないためのマスク、軍手かゴム手袋、高い場所も塗る場合は保護メガネも)
・攪拌機(棒切れも可)
・バケツ3個(漆喰を入れるだけなく、シーラー用と洗浄用も用意。粉漆喰であれば、真水を入れたバケツも必要)
・シーラー(漆喰の接着力を強化)
・ローラーか刷毛
・マスキングテープやマスキングシート(非塗布部を汚さないための養生用品)
・古新聞(床の汚れを防止)
・濡らした雑巾(飛び跳ねた漆喰を拭き取る。乾いていない漆喰は簡単にぬぐい取れます)
そして、漆喰を購入しますが、これには粉タイプのものと、すでに練ってあるタイプが売られています。
粉タイプのメリットは、必要な分量だけを小分けして使えることです。すでに練ってあるタイプは粉が飛散せず、攪拌する手間も省けて便利なため、初心者にはおすすめです。ただ、粉タイプより割高になり、使用しなくとも空気に触れると硬化してしまいます。
では施工手順は紹介します。
(1)ビニールクロスの剥がれや浮きがないかチェック。あれば、その部分だけをカッターで切除しておきます。あるいは、(下地がベニヤのような柔らかい素材であれば)ホチキスで固定するか、クロス専用の接着剤で固定します。
(2)床に古新聞を敷き、マスキングテープで養生します。
(3)汚してもかまわない服装に着替え、保護用品を着用します。
(4)シーラーをバケツにあけます。
(5)ローラーと刷毛を使いシーラーを壁面に塗ります。
(6)シーラーが乾いたら、再度シーラーを塗り、乾燥するのを待ちます。
(7)漆喰の袋に書かれている説明書きをよく読んで、粉漆喰であればバケツで攪拌して練り、すでに練っている漆喰については、そのままバケツにあけます。
漆喰はいったん固まってしまうと、水を加えても元に戻りません。使用する分だけバケツに入れておきます(作業を中断する場合、バケツにラップを張って、極力空気に触れないようにします)。
(8)適量の漆喰をコテ板に盛ります。漆喰のダマをコテでよく練りつぶします。
(9)やや力を入れながら薄く塗っていきます。
(10)薄く塗った箇所が多少乾燥したら、その部分を前よりも厚めに塗ります(厚みなどについては使用する漆喰の注意書きに従います)。
(5)~(7)の工程を繰り返し、壁面全体を塗ります。