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【連載】檀家とは?~その3(終)《より良い寺檀関係のために》

若松慶隆

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「檀家とは?」の最終3回目です。
その1《檀家制度の成り立ちと現在地》では

➀檀家制度の発端と現状
➁檀家制度の名残が色濃い理由
③法的に寺檀関係が成立するケース
➃実際の寺檀関係例

その2《お寺と檀家さん、それぞれの本音》では

⑤ボタンの掛け違い例
➅高まる檀家アレルギー
➆離檀トラブルが起きる理由
⑧離檀をされる住職の気持ち
⑨入檀をされる住職の気持ち

寺檀関係を巡るトラブルを中心にお話いたしました。
では今回は実際にそうなってしまった場合どう立ち振る舞えば良いか、またどうすれば良い関係を保てるか、などについてお話いたします。

⑩離檀で揉めないために
⑪再び寺檀関係を考え込む
⑫良い関係を築くために
⑬最後に


⑩離檀で揉めないために
※本章は既に離檀の必要が生じた場合のトラブル回避について述べています。離檀を誘発する意図も離檀指南書の意図もございません。「切り取り」はご遠慮ください。必ず本章までをお読みになり、流れを汲んだ上でご覧ください。

さて⑧⑨を踏まえると、「相手住職の気を害さないように話を進めること」が大きなカギとなるかと思います。その上で要点をまとめますと、
・相手(お寺・住職)を持ち上げておく
・不満や批判があっても口に出さないが吉
・(仮に本意でなくても)これまでの感謝を述べる
・離檀の理由はボカしておく
 悪気はなくてもあまり具体的なことを言うと引き止められる可能性あり。
・理由を突っ込まれても方便を使う
仮に菩提寺に何らかの不満を抱いているとしても口にするのはNGです。特に住職のやり方や人格を否定するような言動はかえって揉める原因になります。
いくら不満があって抜けるとしてもそれは今の話であり、これまで代々お世話になったというのは事実なので、そこは冷静に忘れずに居ていただきたいです。

具体的な言動例を挙げます。
まずは、
「今まで長い間お世話になりありがとうございました」
と感謝の旨を言った上で、
「大変寂しいことですが檀家としてのお付き合いが出来なくなりました」
のように、檀家側も離檀が苦渋の決断のように表現。
ここで「○○寺さんに替わりますので」などと具体的な理由を言うのも逆効果になりがちです(⑨で触れた通り、お寺同士の関係もあるので○○寺に迷惑を掛けかねません)。
「県外の親族に仏様の供養を任せることになったので」
くらいにぼんやりとしたものが無難です。
できればここでお供えの菓子折り持参。さらには金一封(これが本来の離檀料)をお持ちすれば尚ベター。
ここまでされれば住職もただただ受け入れるしかないです。

一部の離檀トラブルでは、このような行き違いが背景にあった可能性もあるのではないかと私は見ています。度々申し上げますが、法外な行為に出る住職が悪いのは前提です。

⑪再び寺檀関係を考え込む
「檀家を替わりたい」「檀家を抜けたい」というご話の中で、「予約を忘れられた」「お経が雑」といった理由が実に多いです。
ちょっと意地悪な再質問をしたことがあります。
「お気持ちは分かりますが、嫌いなのは住職ですか?それともお寺ですか?
と。
私もミスをする可能性はありますし、全員と相性が合うわけではありません。今の住職が気に入らなくても、次の代はお眼鏡に叶う住職かもしれません。その逆も然りです。なので「もう少し長い目で見てあげてください」と言って一旦お断りするようにしています。
もっとも一度の粗相のみで離檀に直結ではなく、それ以前に積もり積もったものがあろうかとは存じます。
質問の答えはもちろん「住職」です。お寺のご本尊には何の落ち度も無いのです。こういった相談を受ける度に「檀家とはいったい何?」と考え込まされます。住職に不満が有るのなら、役員に声を挙げて総意を得て住職を罷免、そして新住職を迎えるのが本来のあり方です。
「一時の感情で、代々のお寺を簡単に替わっていいものか…」と私は思うのですが、住職交代は現実的に難しいものなので、個々に転壇しているのが現状です。

⑫良い関係を築くために
結局のところ最終的には「人」だと思うのです。
格式ある立派なお寺で冷たい対応されるのと、小さなお寺で温かく対応されるのとでは、後者が良い印象に残る方が多いでしょう。
本尊がお寺の一番の顔というのはお寺の都合であって、一般の方からはやはり住職(及び寺族)がお寺の第一印象。つまり寺の人間は「自分が本尊だ」くらいの強い自覚を持たなければならないと思います。
また、住職が何か粗相・失敗をすると檀家が離れるというのは、住職に危機感を持たせ努力を煽るという点では正常だと思います。ただし前章で述べた通り、住職はずっと同じ人間がするわけではありません。
「住職は檀家が育てる」という視点もぜひ持っていただきたいです。
ダメなことや不満なことはぜひ言ってください。でも代わりに良いことはちゃんと褒めてほしいです。檀家さんの声を届けることが良い住職が育つ要素になります。

⑬最後に
「同じ人間がずっと住職をやるわけではない」のですが、思うところがいくつかあります。
良い後住(ごじゅう:次の代)を育てるのも現住職の役割だと思うのです。数々の寺院を見渡しますと、(世襲・非世襲に関わらず)前住職の影響は多かれ少なかれ現住職にあるように見えます。
もちろん性格は違いますが、お寺運営のやり方そのものは代が替わってもあまり変わらない印象です。
一檀家寺の住職を務めさせていただいている私としては、如何に長い目でお寺を見ていただけるか、そして選んでいただけるか、を考える今日この頃です。
檀家とは、お寺だけで決めるものでも、檀家さんだけで決めるものでもないと思っています。お互いが「このお寺で良かった」「この檀家さんとのご縁をいただけて良かった」と思える関係を少しでも築いていければ、それが理想の寺檀関係ではないでしょうか。

「檀家とは?」の連載は一旦これにて終了です。
最後までご覧くださり誠にありがとうございました。

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若松慶隆
専門家

若松慶隆(住職)

朝日寺

元銀行員という異色の経歴を持つ住職。多様な価値観でそれぞれの家庭事情に真摯に向き合い葬式や法事などを執り行う。寺の歴史や伝統行事などをHPやSNSで情報発信し、檀家外の人も集う開かれた寺を目指す。

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