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コラム
オーダーメイド絵画:テーマは「悲母観音」
2018年2月10日
今回ご紹介する作品は、
独立当初の2010年にご依頼を頂いて制作させて頂いたものです。
今回の絵はもしかしたら、どこかでご覧になったことがある絵かもしれません。
というのも、狩野芳崖という近代日本画の父ともいわれる
有名な画家が描いた悲母観音という作品の摸写をベースにしたご依頼だったからです。
こちらが本物です。
この時のご依頼も制作にあたり、色々なことがありました。
今回は、お客様のお孫さんへの節句のプレゼントとしてのご依頼でした。
そのプレゼントがなぜ、観音様なのか?ということですが、
お孫さんが生まれる前、お客様(以下Mさん)の娘さんは、ひどく出産に対して悩まれていて、
その不安がなかなか晴れる事がありませんでした。
Mさんもなんとか、励ましてあげたいのだけれど、、と大変悩まれていたそうです。
そして、とある日
滋賀県にあるミホミュージアムという美術館にMさんがたまたま行かれた時に、
この狩野芳崖が描いた悲母観音を、川島織物という会社が織物にして再現した作品が飾られていたのです。
(こちらが川島織物さんが再現されたもの)
その絵を見た瞬間に、Mさんは涙が止まらなかったそうです。
「このタイミングで、この絵と出会ったってことは、きっと神様が大丈夫だよって言ってくれているような気がして、、、」
Mさんは、その時のことをこうように語られていました。
そして、無事に出産を終えて、今回のご依頼を頂きました。
狩野芳崖絶筆の悲母観音。
狩野芳崖もお孫さんに向けた作品だったと本を読んで知りました。
そして、これが今回描かせて頂いた作品です。
今回は、油絵で描いてほしいということで、サイズはM6号なので、
このサイズに合わせて構成させて頂きました。
お客様より、赤ちゃんの顔をお孫さんの顔にして欲しいという希望があったので、
この部分はお孫さんの顔に変えさせて頂きました。
この時期に開いた個展の後に、
観音様を描いてみたいなぁ~とふとと思ったことがあったのですが、
まさか、このようなカタチで
描かせて頂けるとは思ってもみませんでした。
不思議なご縁に本当に感謝をしました。
しかし、本当に観音様を描くのは恐れ多いというか、
軽い気持ちでは取り組めなかったので、
図書館で「仏を描く」という本を借りて読み、
描く前に両手を洗い、口をゆすいだ後に、手を合わせて
制作に入っていました。(^^)
以前仕事で関わらせて頂いた、仏師の方から頂いた漆塗りのパレットを使い、
筆にも出来るだけ気をつけたりと、
とても作り手としても磨かれたように思います。
こちらもずいぶん前の作品なので、
今思うと、
私の母方の祖父が住職ということもあり、
仏様を描くということも、
自然な出来事だったのかもしれないなぁ~と、
思ったりします。
この絵が、Mさんの家に、お孫さんに、これからもずっと幸福をもたらします様にと
絵を通じて祈っております。
ありがとうございました。
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