障害年金の不支給決定通知が届いたら不服申し立てを
障害年金の請求方法には、障害認定日請求、遡及請求、事後重症請求など、いくつかのタイプがあります。
その人にとって、どのやり方で請求するのが一番いいのかを、請求の時期や状況、病歴などを見て検討することとなります。
今回はどんな請求の種類があるのかをご説明いたします。
障害認定日請求は本来請求と遡及請求がある
障害認定日とは、障害の程度を認定する日で、原則、初診日から1年6カ月経過した日です。しかし、それ以前に傷病が治った場合は治った日が障害認定日となります。また、症状が固定し、治療の効果が期待できない状態になった場合も、固定した日が障害認定日となります。
障害年金の請求は、障害認定日の障害の状態で決めるのが基本となっており、一定の障害に該当すれば、請求することができます。障害認定日から3カ月以内の診断書を、1年以内に日本年金機構へ提出するのが認定日請求・本来請求です。
一方、1年以上経ってから行う認定日請求を遡及請求といいます。
「障害年金の制度を知らなかった」「知っていたけれど闘病中だった」などの理由で、本来請求ができなかった方のために、過去の分を請求できるのが遡及請求です。
この場合は、あくまでも障害認定日の障害の状態で請求しますので、必要な診断書は
(1)障害認定日から3カ月以内のもの
(2)障害年金を請求する時点のもの(請求時以前3カ月以内)
上記の2種類となります。
これには時効があり、受給できるのは請求時から遡って最大5年分のみとなります。しかし、過去の分は一時金で支払われますので、まとまったお金を受け取ることができます。
以上のように、初診日から原則1年6カ月の間は障害年金はもらえません。それ以降に手続きすることによって請求が認められると、障害認定日の翌日分から年金が支給されます。
これが本来のかたちです。しかし、なんらかの理由で5年も10年も経ってから請求したい場合は、遡及請求を検討することとなります。
後から障害が重くなった場合の事後重症請求
障害年金は障害認定日の障害の状態で請求することが基本です。
しかし、障害認定日に障害の程度に該当しなかった方でも、その後障害が重症化した場合、その時点の状態で請求することができます。これを事後重症請求といいます。
原則、65歳に達する前の日(誕生日の前々日)までに請求するのがポイントです。
本来請求の時点で症状が軽かった方や不支給となった方は、その後、事後重症請求を行うことが可能な場合もあることを覚えておいていただくと良いでしょう。
ここで必要となる診断書は、請求時以前3カ月以内のものが1枚です。
障害認定日に障害状態に該当していても、年月が経ち過ぎていてカルテが入手できないなどの理由で、障害認定日による遡及請求ができない場合、やむなく事後重症請求となる場合もあります。
前後の傷病を併合する「初めて2級」
もともと3級以下の障害がある方で、新たな傷病(基準傷病といいます)を発生し、障害状態になった場合、前後の障害を合わせて障害の等級が決定されます。
ここで初めて2級以上に該当するようになることを「初めて2級」といい、障害年金の請求ができるようになります。
この場合、初診日要件と保険料納付要件について、前発の障害では問われませんが、過去に2級以上に該当していないことが必要です。
基準障害の初診日要件と保険料納付要件を見て、初診日に加入していた年金制度により年金が支給されます。また、65歳までに2級に該当していることが必要です。
複数の障害があっても、同一の傷病によるものであれば初めて2級には該当せず、障害認定日請求か事後重症請求となります。
年金に加入していない20歳前の障害年金
障害年金は初診日にどの年金に加入していたかによって、請求できる年金が障害基礎年金なのか、障害厚生年金なのかが決まります。
では保険料納付義務のない20歳前の方ならどうでしょう。このような場合、保険料を納付していないので、請求できないと思ってしまう方もいらっしゃいますが、大丈夫です。あきらめないでください。
先天性の疾病や知的障害、20歳前の事故による後遺症、さらに20歳前には認定基準に達していなかった傷病が重症化するケースも存在します。
このような場合には「20歳前障害基礎年金」という年金が設けられています。
この場合の障害認定日は「初診日から1年6カ月経過した日」または「20歳になった日」のどちらか遅い方となります。
生まれつきの病気の方は20歳の誕生日が障害認定日となり、この日に障害の程度が認定の等級に該当すれば、請求することが可能となります。
19歳の時に初診日がある方は、障害認定日は20歳を超えることになります。
ただし、20歳前障害基礎年金には所得制限が設けられており、受給後は「所得状況届」を提出する必要があります。
以上のように請求にはいろいろな方法があり、受給要件には例外も存在します。一般論や原則にあてはまらないからといって、請求を断念するのではなく専門家に相談してください。