③ 既存木造住宅 性能リノベーション工事
リノベーション工事7回目は、耐震補強部分です。
地震が多い日本
ご存じの通り、昭和56年を境に建築基準法における耐震基準が変わりました。(新耐震基準、以前は旧耐震基準)よって、耐震改修工事の補助金は、昭和56年以前の建物が対象になります。
私は、昭和63年から建築の仕事に就きました。実務的な観点から耐震を考えますと、平成7年の阪神・淡路大震災の前後化がポイントになっていると思います。
その人的被害は、死者・行方不明者は6437人、負傷者は43千人を超え、家屋の被害は、全壊104千棟、半壊は144千棟を超え、甚大な被害を経験しました。(Wikipediaより)
この震災を経験し、地震に対するの建築の考え方が劇的に変わったと感じています。
中古住宅をリノベーションするときに平成7年以降の建築かどうかが地震に強い家の一つの目安になると思っています。(2000年以降の改正新耐震基準)
耐震補強工事
耐震補強する前に耐震診断を行います。詳細は省きますが、様々な調査・計算により上部構造評点(以下評点と言います)なるものが出ます。
※評点1.0以上に改修補強した工事が補助金の対象になります。
昭和56年以前の旧耐震住宅は、評点が0.6くらいが多いようです。
効果的な耐震改修・補強の工事は、
- 屋根を軽くする。
- 壁を増やす。
- 窓を小さくする。
- 柱を金物で固定する。
- 筋交いを増やす。金物で固定する。
- 構造用合板で補強する。
など様々な方法がありますが、効果的な方法、予算を考慮して計画・施工します。
(建築の実務経験や設計者の考え方が重要です。)
評点の意味は、数百年に一度程度起こる「震度6強」クラスの大地震に対し、1.5以上=倒壊しない 1.0以上~1.5未満=一応倒壊しない 0.7以上~1.0未満=倒壊する可能性がある 0.7未満=倒壊する可能性が高い という評価です。
阪神淡路大震災以降、震度6強、7の地震は20回発生しているそうですが…。
また、新築工事での評価基準の耐震等級とは意味が全く違いますので気を付けてください。
耐震等級1は、建築基準法の耐震基準を満たす水準で震度5程度で損傷しない程度。
耐震等級2は、耐震等級1の1.25倍の地震に耐えられる水準。長期優良住宅の最低基準。また、災害時の避難所に求められる水準。
耐震等級3は、耐震等級1の1.5倍の水準。災害時の救護活動・拠点にとなる消防署・警察署は、耐震等級3で建設。
等級3で建てられた住宅は、2度の震度7に耐えていたことが報告されています。
参考書籍紹介
これらの書籍を読むと、建築に携わるものとしてその責任の重大さに気づきます。