PHP騒動で一斉に「鎖国」!? 日本のネットがシャッターを下ろした夜と、AIが生み出した新たな脅威
最近、生成AIについてこんな質問をよく受けます。
「結局、ChatGPTとClaudeとCopilot、どれが一番いいんですか?」
少し前までなら、私もそれぞれの性能や特徴を比較しながら説明していたと思います。
ところが最近、この質問そのものが少し古くなってきたのではないか、と感じています。
きっかけの一つが、Metaが日本で提供を始めたパーソナルAIエージェント「Muse」です。
Meta、パーソナルAIエージェント「Muse」を日本で提供開始
Metaは2026年10月23日、日本でMuseの提供を開始しました。
Museは単に質問に答えるだけではなく、目標を伝えると計画を立て、ブラウザを開いたりフォームを入力したりしながら、必要な作業を進める「パーソナルAIエージェント」です。時間がかかる作業については、アプリを閉じた後も処理を続けるとされています。
これを見ながら、ふと思いました。
「AIも一人に全部やらせる必要はないのでは?」
【人間の会社と同じで、AIにも得意分野がある】
会社でもそうですよね。
・経理が得意な人。
・営業が得意な人。
・資料作成が上手な人。
・プログラムが得意な人。
・段取りや手配が得意な人。
一人に全部やらせるより、それぞれの得意分野を組み合わせた方が仕事はうまく進みます。
AIについても、同じように考えてみると分かりやすいのです。
例えば、こんな「AIチーム」を作ってみます。
■Claudeは「調査・企画担当」
大量の資料を読ませて、
「この会社の問題を整理して」
「新サービスのアイデアを考えて」
「この提案書の弱点を見つけて」
といった、考える仕事を担当してもらう。
■GitHub Copilotは「システム開発担当」
Claudeと一緒に考えた企画の中で、
「これは小さなアプリを作れば楽になるね」
となれば、今度はGitHub Copilotの出番です。
GitHubのCopilot cloud agentは、リポジトリを調査し、作業を計画し、コードを変更し、レビューするためのPull Requestまで作成できます。
つまり、単なる「コードの続きを書いてくれるAI」から、ずいぶん進化しています。
■Microsoft 365 Copilot Coworkは「社内業務担当」
そして実際の会社では、プログラムを作ることより、
・メールを送る。
・会議を設定する。
・Wordで報告書を作る。
・Excelを整理する。
・PowerPointを作る。
・Teamsで連絡する。
といった仕事の方が圧倒的に多い会社もあります。
そこにMicrosoft 365 Copilot Coworkを使います。
MicrosoftによるとCoworkは、メール送信、会議設定、文書作成、Teamsへの投稿、OneDriveやSharePoint内のファイル管理、組織内情報の検索などをMicrosoft 365環境で行えます。
さらに現在は、条件に合うメールやTeamsメッセージを受け取ったときに動く「イベント駆動型タスク」もあります。
■そしてMuseは「自分専用の秘書」
Museは少し立ち位置が違います。
MetaはMuseを「パーソナルAIエージェント」と位置付けています。
例えばメール、スケジュール、旅行、買い物など、利用者の日常にまたがったタスクを支援する方向です。日本ではGmailやGoogleカレンダーなどに加えて、メルカリ、マネーフォワード ME、チケットぴあとの連携も進めると発表されています。
しかも2026年9月のMeta Connectでは、MuseのコネクターとしてGitHubやBox、Notionなども発表されています。
ここまで来ると、AIは「質問する相手」というより、仕事を頼む相手になってきます。
【中小企業なら、例えばこんな使い方ができる】
仮に社員30人ほどの会社で、
「新しい顧客管理業務を作りたい」
としましょう。
まず人間が目的を決めます。
「営業担当者の入力作業を減らし、お客様と話す時間を増やしたい。」
ここが非常に大切です。
「AIを導入する」が目的ではありません。
①Claudeに考えてもらう
現在の業務フローや困っていることを渡して、
「どこに無駄がある?」
「何を自動化すべき?」
「人間が残すべき仕事は?」
を分析してもらいます。
②GitHub Copilotに作ってもらう
分析の結果、
「ここは簡単なアプリを作るとよい」
となれば、開発をGitHub Copilotに支援してもらう。
③M365 Coworkに会社の仕事を任せる
出来上がった仕組みについて、社内向け資料やExcel、PowerPointなど、Microsoft365上の仕事をCoworkに支援してもらう。
CoworkではWord、Excel、PowerPointなどの作成に加えて、OneDriveやharePointの既存Officeファイルを編集する機能も提供されています。
④Museに自分自身を助けてもらう
一方、経営者自身の予定や日常的な用事、Web上で進める個人的なタスクなどはMuseに支援してもらう。
こう考えると、
・Claude → 考える
・GitHub Copilot → 作る
・M365 Cowork → 会社の仕事を進める
・Muse → 自分の仕事や生活を支える
という役割分担が見えてきます。[/太字]
もちろん、これは私なりの使い分けの一例です。各サービスの機能は重なっていますし、今後さらに境界は曖昧になっていくでしょう。
【では、人間は何をするの?】
ここまで話すと、
「ちょっと待ってください。全部AIがやるなら、人間は何をするんですか?」
と思いますよね。
私はむしろ、ここが一番重要だと思っています。
人間がやる仕事は、
・目的を決める。
・仕事を分ける。
・適切なAIに任せる。
・結果を評価する。
・最後に決断する。
そして、
・責任を持つ。
ことです。
たとえばAIが素晴らしい新システムを提案してきても、
「本当にうちの会社に必要?」
「社員は使える?」
「お客様は喜ぶ?」
「個人情報は大丈夫?」
と判断するのは人間です。
【「プロンプトが上手な人」だけでは足りなくなる】
これまでは生成AI活用というと、
「上手なプロンプトを書きましょう」
という話が中心でした。
もちろん、それも大切です。
でも複数のAIが仕事をするようになると、もう一段上の能力が必要になります。
それが、
AIオーケストレーション
です。
難しそうですが、要するに、
AIという複数の得意な社員に、誰に何を任せるか考える能力
です。
人間がオーケストラの「指揮者」になる、と考えてもいいでしょう。
【AIへの仕事の頼み方も変わる】
単に、
「これについて考えて」
ではなく、次の6つを伝えると仕事を任せやすくなります。
①目的:何のための仕事なのか。
②役割:あなたは何を担当するAIなのか。
③入力:何を材料として使うのか。
④制約:やってはいけないことは何か。
⑤成果物:何を完成させるのか。
⑥完成条件:何を満たしたら仕事終了なのか。
これはClaudeでもCopilotでも、他の生成AIでも応用できる「仕事の頼み方」です。
【中小企業には、むしろ大きなチャンスかもしれない】
大企業なら、
・企画部
・調査部門
・情報システム部
・開発会社
・営業企画
・秘書
と、多くの人が分担できます。
しかし中小企業では、一人の社長や担当者が何役も兼務していることも珍しくありません。
そこで複数のAIを、
「巨大な一個のAI」ではなく、「小さな専門家チーム」
として使ってみる。
これは中小企業にとって、非常に面白い可能性だと思っています。
社員をAIに置き換えよう、という話ではありません。
人間がやらなくてもよい仕事をAIに任せることで、
・お客様と話す。
・新しい商品を考える。
・社員を育てる。
・会社の未来を考える。
そんな、人間にしかできない仕事へ時間を戻すのです。
MetaもMuseについて、利用者に代わって作業を進めることで「本当に大切なことに集中できるよう支援する」と説明しています。
【「どのAIが一番?」から「どうチームを作る?」へ】
これから中小企業の経営者から、
「結局、どのAIを使えばいいんですか?」
と聞かれたら、私はこう答えるかもしれません。
「一つに決めなくてもいいんですよ。」
・調査・企画。
・システム開発。
・Microsoft 365を使った社内業務。
・そして自分自身の日常的な仕事。
それぞれ得意なAIに任せればいい。
そして人間は、そのAIたちに目的を伝え、成果を評価し、最後に決断する。
これから大切になるのは、
[太字]AIを使えることではなく、AIに仕事を任せられること。/太字]
さらにその先には、
[太字]複数のAIをチームとして指揮できること。/太字]
があるのではないでしょうか。
小さな会社の社長の隣に、調査役、エンジニア、業務担当、秘書という「AIチーム」がいる。
そんな働き方は、もう遠い未来の話ではなさそうです。
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