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最近、よく耳にしませんか!? 「AIエージェント元年」ってなんだ

利光哲哉

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テーマ:生成AI

【導入】AIは「アシスタント」から「自律する執事」へ

最近、ニュースやWebで「AIエージェント」という言葉を耳にする機会が増えていませんか?
2025年は、いよいよ「AIエージェント元年」になるとも言われています。
これまでのAIは、質問に答えたり、文章や画像を作成したりする、いわば優秀な「アシスタント」でした。
しかし「AIエージェント」は、与えられた目的に対して自ら計画を立て、必要なツールを使いこなし、タスクを自律的に実行する、まるで「執事」や「秘書」のような存在へと進化を遂げています。
では、なぜ2025年が「元年」なのでしょうか。そして、私たちの仕事や生活にどのような変化をもたらすのでしょうか。本コラムで詳しく解説していきます。

【本題1】多種多様な「AIエージェント」たち

一口に「AIエージェント」と言っても、その役割や形態は様々です。現在、主に以下の4つのカテゴリに分類されています。

1. 特定の仕事のプロフェッショナル(業務特化型エージェント

特定の業務を自動化・効率化するために、すぐに利用できるサービスです。多くの企業で導入が進んでおり、最も身近なタイプと言えるでしょう。
代表例: Microsoft Copilot Studio, Salesforce Einstein Copilot, Devin/Devika(ソフトウェア開発特化), Harvey(法務特化)など

2. PC操作の達人(GUI操作エージェント)

私たちが普段マウスやアイコンでPCを操作する画面(GUI)をAIが認識し、人間のようにアプリケーションのボタンをクリックしたり、フォームに入力したりする技術です。専用の連携機能(API)がないソフトウェアも操作できるため、自動化の幅が飛躍的に広がります。
代表例: MultiOn, OpenAI Operator など

3. オリジナルのエージェントを作る工場(エージェント構築プラットフォーム)

企業や開発者が、自社専用のAIエージェントを構築するための開発基盤(PaaS)です。大手クラウド企業が次々と提供を開始しています。
代表例: Google Vertex AI Agent Builder, Amazon Bedrock Agents, Dify など

4. 凄腕エンジニア向けのDIYキット(開発者向けフレームワーク)

専門知識を持つ開発者が、より複雑でカスタム性の高いAIエージェントをゼロから構築するためのライブラリです。その多くがオープンソース(設計図が公開されているソフトウェア)として提供されています。
代表例: LangChain, AutoGen (Microsoft製), CrewAI など

【本題2】AIエージェントの驚くべき働き方

では、AIエージェントは具体的にどのように使われるのでしょうか。
例えば、「最新の市場データに基づいて営業資料を作成し、関係部署の担当者全員にメールで送付して」といった、まるで同僚に頼むような大まかな指示を出すだけで、AIエージェントは以下のような一連のタスクを自律的に実行し始めます。

1. 計画立案:
指示を理解し、必要な手順(データ収集 → 分析 → 資料作成 → メール文面作成 → 宛先リストアップ → 送信)を自ら考えます。
2. ツール利用:
Webブラウザを起動して情報を検索し、表計算ソフトでデータを分析、プレゼンテーションソフトで資料を作成し、最後にメーラーを立ち上げて送信します。
3. 自己修正:
資料作成中にエラーが発生すれば、別の方法を試すなど、自ら問題解決を図ります。

このように、AIが自ら「考え、判断し、行動する」という、より人間に近い主体性を持ってタスクを遂行するのが、AIエージェントの最大の特徴です。

【本題3】なぜ「今」なのか?AIエージェントを支えるキーテクノロジー

2025年が「元年」と言われる背景には、AIエージェントを支える重要な技術が実用段階に入ったことがあります。
マルチエージェントシステム: 専門分野を持つ複数のAIエージェントが、互いに協力して一つの大きなタスク(例:ソフトウェア開発、マーケティング戦略の立案)をこなすシステムです。まるで専門家チームのように連携して、複雑な課題を解決します。
GUI操作エージェント: 前述の通り、AIが人間と同じようにPC画面を見て、マウスやキーボードを操作する技術です。これにより、これまで自動化が難しかった多くの業務にAIを適用できるようになりました。

【事例と展望】「デジタル従業員」が企業を変える

これからの時代、「デジタル従業員」とも呼べるAIエージェントが、企業の生産性を劇的に向上させていくでしょう。これまで人間が行っていた定型業務やデータ分析をAIエージェントに任せることで、人手不足を解消し、従業員がより創造的な仕事に集中できる環境が整い始めています。

利光がDXアドバイザーとして支援している株式会社エヌテックでは、担当者がMicrosoft TeamsのAIエージェントやMicrosoft Copilot Studioを使い、企業調査やデータ分析を行っています。その成果物の質とスピードは、「データサイエンティストや経営コンサルタントの仕事がAIに代替されるのでは」と感じるほどのインパクトです。

興味深いのは、AIエージェントが作成した多様なレポートを読み解き、その思考プロセスを追体験することで、担当者の知識習得スピードが飛躍的に向上している点です。分からないことがあれば、その場でAIと対話して解決できるため、学習サイクルが非常に高速化されるのです。

【結論】問われるのは「AIを使う力」

AIエージェントの登場は、単なる業務効率化に留まりません。有料版の生成AIを積極的に活用する企業とそうでない企業の「知の格差」は、今後、二次曲線的に開いていくでしょう。
この変化の波は、企業の規模や所在地(都会か地方か)に関係なく、すべてのビジネスパーソンに訪れます。AIを「使いこなす側」になるのか、それともただ傍観するだけになるのか。AIエージェント元年とも言われる2025年、私たちはその岐路に立たされているのです。

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利光哲哉
専門家

利光哲哉(DXコンサルタント)

利光コンサルティング

約40年のIT実務経験と大学での教育・研究実績を基に、生成AIをスマホ等で活用するなど中小企業のDXの最初の一歩からを支援。社員が主役の業務改革を支援します。企業に「テクノロジーの民主化」を!

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