どうなる年収106万の壁撤廃、いつからどう変わるのか、超えるデメリットは大きい!?

テーマ:社会保障制度


週20時間を超えると強制加入…年金制度改革法案、国会提出

国は、パートなどで働く人を「入れてあげるよ~」(筆者イメージ)とばかりに、厚生年金に加入しやすくなるよう要件をシンプルにし、学生を除き週20時間以上働く人は強制加入→いわゆる”年収106万の壁”を法律の公布から3年以内(全国の最低賃金が1016円/時以上)に撤廃するとしています。
もともと、従業員51人以上となっていた企業規模要件も、2027年10月から段階的に引き下げ、2035年10月に撤廃。
 

 ※出所 厚生労働省 「年金制度改正法案を国会に提出しました」
 


全体像をみると、社会保険の加入対象拡大だけでなく、保険料の上限引きあげなど、いくつかの改革案も含まれます。
働き盛り世代の皆さんが気になるのは、やはり年収106万の壁撤廃でどんなデメリットがあるのか、うまく制度を活用するにはどうしたら…ではないでしょうか。

愛聴しているYouTubeチャンネル、オタク会計士ch 【超最速!】106万円の壁が撤廃!…で分かりやすく詳細を解説してくださっていますので、ぜひチャンネル登録してご視聴ください。
その中で、皆さんに参考になるであろうポイント、大きく2点取り上げてみます。

1点目は夫の扶養を外れ、社会保険に強制加入した場合、どんなデメリットがあり、元を取れるのに何年かかるか? です。

山田さんの試算によれば
夫:会社員で年収500~800万、妻は東京23区在住のパートのケース
週20時間の壁を越え社会保険に加入した場合、将来の年金が増え、傷病手当金や障害厚生年金などの社会保障は手厚くなりますが…
手取りの減少は年間約157,000円 10年間働いたとすると約157万円になります。
対して
増える年金は年間約5,700円 10年間で約58,000円
この分の”元が取れる”までに…なんと17年もかかるとの試算。
健康保険料も含めるとさらに伸びて28年に。
65歳から年金を受け取ったとして、17年後…つまり83歳以上長生きしないと! となると、単純に元を取れるという概念の良し悪しはさておき、今からとにかく健康に気をつけて、より長く働ける体づくりとキャリア形成を心掛けたいもの。

2点目はWワーク(副業)について。
例えばA社で週18時間働き、B社で週10時間働いたとすると、合計では週28時間になってしまいますが、どちらも週20時間未満なので社会保険に加入する必要はない、ということになりますから、この手を使うのも一つでしょう。
また、週20時間以上働くことのみが要件になりますから、より時給の高いところで働くことも有利になります。
なお、配偶者が個人事業主の場合は条件が異なってきますので確認が必要です。

今後の制度変更に注視

損得では語れないとしても、今回の社会保険の加入対象拡大がスタートすれば、手取りが大きく減り、働き控えが起るのも当然。人手不足の日本経済の中においては相当な影響があるのではないでしょうか。
国としても、この働き控えを防ぐため、労使折半となっている社会保険料を、企業側が3年間、より多く負担できる仕組みを来年10月以降に設けて、企業側が多く負担した分は全額支援するとしているとのこと。
”労働者から取って→ばら撒く” やはりこうなってしまうのでしょうが。何とも場当たり的な対応は否めません。

公的年金制度を将来に渡って持続可能なものにしていくための改革は必要ですが、私たち一人ひとりにできることは、「仕事、働く(はたを楽にする)、人生のキャリア」ということをどう考えて生きるか、そして「長期目線での家計管理」=家庭を将来までどう運営していくのか…そんな課題と待ったなしで向き合わざるを得ません。

私たちFPが一緒に皆さんのライフプランを考えていきますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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