2024年新NISA拡充のポイントは? 金融リテラシー向上のための金融教育義務化の課題
生まれ変わるNISA、大事なポイントは?
今回の制度拡充は、金融庁が8月に公表した改正要望に対し、政府がほぼ満額回答を出した形。
当初は2階建ての仕組みで、ただでさえ分かりにくい制度がさらに複雑化したと思われていましたが、この度発表された恒久化、投資上限額引き合げなどの変更の中でも、年間の非課税投資枠 最大360万円は、モデルとなっている英国ISA制度の2万ポンド(約340万円)をしのぐ規模のサプライズとなりました。
既にNISAを活用している人も今回は”別枠=2023年までの投資分はその後も非課税メリットが続く”など、デメリットもみえない形です。これまでNISAは時限措置であり、いつまで続くか分からず長期投資がしにくいとの声もありましたが、そうした不満を解消し、大変フレンドリーな制度に変わると思われます。
足元のNISA口座は、約1,700万…対象人口の2割弱にとどまります。さらに、口座開設しただけで投資されていない休眠口座がなんと3割を占めており、実際にNISA投資をしているのは、対象人口のわずか1割です。
さらに、つみたてNISAの平均保有年数は3年に満たず、長期投資の恩恵を全く受けられていない現状もあります。そもそも、つみたてNISA開始前に金融リテラシーを高めておくことが重要といえます。
また、新NISAは長期資産形成としての設計は優秀ですが、資産活用=シニア層などが運用資産を現金化(取り崩し)する出口の仕組みには不十分かも…
出口ルールを工夫し、自分にあった活用方法を考える必要があります。
ただ、今回を機に活用が一気に加速することも見込まれるのは良いことです。
専門のアドバイザー、そして私たちファイナンシャルプランナーを上手に活用していただくのが安心です。
完全義務化まっしぐら! マイナンバーカードの役割
マイナンバーカード交付開始から7年近くが経過、取得率はやっと5割を超えましたが、使い道が少ないなどあまり効果を実感できていません。
原因のひとつに普及の遅れや取得までの手続き煩雑さがありますが、政府は2023年度までの完全取得を目指しています。
そもそも、制度の目的は
・行政の効率化
・公平、公正な社会の実現
・国民の利便性の向上
にあります。
そして、行政を含め社会全体のデジタル化を推進するための基盤であり、人口減少や財政問題を乗り越える手段になりえるでしょう。
健康保険証や免許証との一体化が進み、今後は数年かけて完全移行することが計画されています。
スマホやマイナカードなどには馴染めそうもない高齢者への対応など、一体化には解消すべき問題が山積ですが、政府はスマホとマイナカードがあれば財布が要らなくなる!?と想定しており、そのための制度拡充を推し進めていく方針です。