アメリカ金融引き締め継続姿勢が明確に…米国株式市場は大幅安!
6月第3週の振り返り
日経平均株価は、直近4週間分の上昇を打ち消す大幅な下落となりました。
欧米に続き、スイスやイギリスでも利上げが発表され、世界的な金融引き締めへの警戒感が強まりました。
一方、日銀は金融政策の現状維持(ゼロ金利)を発表したため、金利差が拡大することから円安に振れました。
米国では40年ぶりの大幅上昇となったインフレ率抑制のため、FRB(日本でいう日銀)による0.75%という大幅な利上げが決定。
今後もさらなる利上げが予想されることから、売りが優勢となり、米国株(NYダウ)は2020年12月以来の安値水準まで下落しました。
円安プラス異常気象…日本の食卓を襲う食料インフレの波
24年ぶりの円安水準となったことも受け、輸入食材の価格上昇がより顕著になってきました。
コロナ禍からの回復期待が高まる外食産業なども打撃を受けていますが、家計にも大きな影響が…
問題は円安だけではない
輸入食材高騰の要因は円安だけではありません。
そもそも世界の食糧供給量自体が減少していることも要因に挙げられます。
これには異常気象が絡みます。現在インドを強烈な熱波(3月は過去120年で最高気温)が襲い、農作物に影響が出ています。
13億人超の人口を抱えるインド政府は、国民の巨大な胃袋を満たさなければ政情不安が起きかねないため、農作物の輸出を規制し、自国向けの供給を優先する”食料保護主義”を強めました。
世界1位の生産量を誇る砂糖、同じく世界2位の小麦や米などの輸出に規制をかけています。
低い食料自給率
輸入に頼る日本は、円安や前述の理由で、今後も食料価格上昇による家計の圧迫が強まることが予想されます。
根幹にあるのは、日本の食糧自給率の低さ。2000年以降、農林水産省は自給率を50%まで高める計画を打ち出してきましたが、全て大幅な未達、現在のカロリーベース食糧自給率は37%となっています。
自給率の引上げには、国内生産の拡大が不可欠となりますが、少子高齢化で担い手となる農家の減少は続く一方。
生活防衛のためにも、これらのインフレ対策として資産運用の重要性が高まっています。
GX経済移行債という名称の裏に見えるもの
岸田首相は脱炭素社会を目指し、10年間で150兆円超の官民協調投資を急ぐ構想を表明。
このうち約20兆円に関しては、GX(グリーントランスフォメーション)経済移行債を発行し、資金調達をする予定です。
世界的には同様の目的で発行される債権をグリーン国債と呼びます。
しかし、今回あえてGX債とした背景には、国際的にグリーンか否かで見解が分かれる原子力分野などへの支援を排除されないようにする狙いがあります。
この特別な名称の理由としては、脱炭素政策の恩恵は将来世代に及ぶため、将来世代にもその費用を負担させる意図もあります。
国債の多様性を高めることで、国債消化を促す同様の手法は、今後も増えてくるかもしれません。