なぜ私のところにはお金が回ってこないのか?お金を使う罪悪感を手放しストレスから解放される方法
1.私たちがブームに乗っかてしまう理由
ティラミス、クレームブリュレ、パンナコッタ、生キャラメル…
わらび餅、タピオカ、マリトッツォ、高級食パン……
ブームは突然生まれ、そして嵐のように去っていきます。
コロナ禍での巣ごもり需要が一巡し、2021年秋頃から私たち消費者のマインドに変化があったと言われます。
そこに追い打ちをかけるように食品などの値上げラッシュ。
外食やレジャーでの楽しみが奪われ、外出自粛のストレスからのプチ贅沢、そんな中ブームとなった有名店の生食パンはなんと1本2,000円以上!街には高級食パン専門店が乱立しました。
…が、2022年に入って閉店する店舗が相次いでいるとか。
短命な店は開店からわずか1か月での閉店もあるそうです。
収入は増えないのに物価や社会保険料が上がる状況では、『これは余分だ』『贅沢だ』と感じれば買い控え、“財布のひも”を締めるのは消費者としては当然の行動。
高級食パンの次は、5年間で3倍以上に激増した“からあげ店”だとの声も聞かれます。
『食べ物のブームなんてすぐ去るもの』
『流行に飛びつくなんてダサい』
『時は金なり』
…などと分かっているのに。なぜか私たちは夏の暑い日も冬の寒い日も、貴重な時間と労力を費やし行列に並んでしまいます。
ここには人が持つ【心の家計簿】から生じる消費行動が影響しているとか。
2.意思決定に影響を及ぼす”支出の分類”
経済学と心理学の統合によりノーベル経済学賞を授賞した、シカゴ大学のリチャード・セイラー教授が唱えた理論「心の家計簿(メンタル・アカウンティング)」によると、
『人は無意識にお金を“心の家計簿”で色分けしてから買い物の意思決定を行う』
とのこと。
そして、その色分けにより損得を判断するため、時に合理的でない選択をしてしまう、というもの。
もちろん、本来お金には善悪や色分け、特別な用途など無いと頭では分かっていますが、お金の入手方法や使い道
<生活資金、贅沢、緊急、娯楽、学習>などのいわゆる “支出の分類”
によって、損得勘定が働いてしまうのです。
- 苦労して得たお金は大切に使おうと心がけるが、思いがけず得たお金はパッと使う
- 一杯のスタバコーヒーはもったいないと感じマイボトルを持参するが、ネットショッピングで5,000円の予算で買おうと思った美容液、1万円の商品レビューを見てしまい、もっと美しくなれるならまあいいかと思い購入
- 〇〇円以上購入で送料無料!とあれば本当は要らないのに追加購入してしまう
- 普段なら絶対買わない値段で売っているものや不要な雑貨など、せっかく来たからと旅行先では買ってしまう
- スーパーの割引券をもらうと、もらっていない人よりも多く買い物をしてしまう
……等。
思い当たることばかり。
私たちは、ひとつの使い道(支出の分類)では10円や20円をきりつめて、また別の使い道(支出の分類)ではそれ以上の無駄遣いをしているのです。
確かに非合理ですね。
「何にお金を使っているのか分からない、そんなに無駄遣いしていないのにお金が貯まらない」
そんなあなたは一度、ご自身の【支出の分類】による色分け、考えてみましょう。
3.「心の家計簿」と上手に付き合い家計管理上級者になるには
- ご自身がもつ支出の分類によって、もったいないお金の使い方をしていないか?
- 支出の分類ではなく、実際の値段や価値でお金を使っているだろうか?
そして
- これを買う、消費することは自分や家族などの近しい人たちにとって本当に必要で役立つのか?
- 自分の価値観に合うお金の使い道か?
- 今持っているもので代替できないか?
お金を払う前に、カードやスマホを差し出す前に、自分に問いかけてみませんか。
2011年、英国で設立されたブランドコンサルティング事業会社OgilvyREDのコンサルタントWright氏によれば、
“人間は1日に、意識無意識問わず膨大な数の決断をしており、その数は成人で35,000回、子供でも3,000回にのぼるという。そうした決断のうち95%は3秒以内になされ、65%が理論ではなく感情に基づいて行われる。35,000回もの決断には200のバイアスがかかっており、購買行動についても当然その影響を受けていると言える”
合理的に、断固ムダを排除!…そんなあなたも、うまく感情を操られてお金を使っているかもしれません。
でも、そんな非合理さも人間らしくていいじゃないですか。
そう偉そうに言う私自身は生まれてこの方…完全な非合理人間だと自覚していますから…