泊甲二朗プロのご紹介
〝聴く〟を重視したカウンセリングで依頼者に寄り添い、心の課題にアプローチ(2/3)
本をきっかけに、一生をかける仕事としてカウンセラーを志す
「カウンセリングにもさまざまな技法がある中で、〝聴く〟スタイルは古典的ともいえます。それでも、時間をかけて深い悩みと丁寧に向き合うことで、回復されたり、新しい考えに至ったりされたケースを多く見てきましたので、スピードや効率ではないやり方を大事にしています」と泊さん。
数々のセッションで印象に残っているのは、ある相談者からの「ただ聴いてくれたのが良かった」との言葉だそう。
「聴くことを心掛けてはいるものの、こちらが一言も発しないわけではなく、やりとりをすることで生まれるものもあります。いろいろお声がけもした中で、その方にとっては、聴いてもらえたことが大きかったんだなと。『やっぱりそこに価値を感じていただけるのか』と腑(ふ)に落ちる感覚がありました」
20代の頃、東京で転職を繰り返していた泊さんが、カウンセリングに興味を持ったきっかけは、心理学者・河合隼雄さんの著書との出合いでした。スイスの精神科医、ユングによる分析心理学を日本に広めた第一人者として知られます。
「当時、〝自分は何をしたいのか〟と試行錯誤して考えあぐねた末に行き詰まり、いっそ何もしないでおこうと好きに本を読んだりしている時期がありました。そのときに読んだ河合隼雄さんの本でカウンセリングのことを知り、『これこそ人生をかけられる仕事だ』と思いました」
大学に編入して心理学を学び、臨床訓練の一環である〝教育分析〟として自らもカウンセリングを体験。大学院で心理臨床のトレーニングを受け、福祉施設や病院、学校で心理士として経験を積みました。
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