塾長の考え(親の学習とは)③
「九大の過去問をしたいです」
「ちょっと待って」
「はい」
「これを…」
「ふ~ん、ココからやるんだ…」
以前からおなじみのKくんだ。
Kくんは宮崎西高校理数科の高2生。
先ごろあったベネッセ総合学力テストで、
とうとう数学で全国1位をとった。
今からおよそ2年前。
彼は高校進学と同時に北斗塾に来た。
中3で高校受験をして合格した生徒だ。
「外部生」というくくりになる。
中学受験で合格した生徒たちは、
自動で進級して高校生となり、
「内部生」と呼ばれる。
当然だが、
最初は彼らには成績で勝てなかった。
Kくんにとっては、
自宅から北斗塾までの間には、
いくつもいくつも学習塾があるが、
その全部を素通りしてやってくる。
わざわざやって来る。
彼のお母さんも北斗塾を、
よっぽど信頼してくれているんだな、
そう私は思っている。
そこで今回の試験だった。
高3に上がる前の最後の記述テスト。
「数学は学年トップでした!」
見ると、理数科の117人中1位。
平均点数は200点満点で130,6点。
これが県下最高峰と言われる、
宮崎西高校理数科の現状。
で、Kくんは、
200点満点中の200点。
全国偏差値は80.9。
満点とはすばらしい。
「うん…、え、全国1位!!」
「学年トップでした!」
は、
「全国1位でした!」
の方がインパクトがあるような気が…。
まあ…いいわ。(笑)
そんな(数学)全国1位のKくんが、
九大の数学の過去問で質問をしてきた。
「塾長、ここなんですけれど…」
問題の解答・解説が彼の手にはある。
その完璧な解説の中の一部の解説に、
どうしても納得いかないといって、
疑問をもつ。
そして延々と考え続ける。
そうやって2年間、
数学の思考力を鍛えてきた結果が、
今の彼の結果(全国1位)だ。
その彼が理解できないという。
「いったいどんな問題だよ…(汗)」
それを私が彼に明確に解説して、
「ああ、そうなんですね!」
とならなければいけない。
北斗塾の個別指導とはこれができて、
はじめて「ふつう」。
なので、
けっこう指導のハードルは高い。
以前にも某塾予備校の講師の何人かが、
面接に来て北斗塾で働こうとしたが、
全員が学科試験で不合格だった。
現役の予備校講師なのに、
学科試験で不合格とは話にならない。
それで合格しても、
それと生徒を個別指導して、
ハッキリと「理解」させて、
しっかりと「記憶」させて、
次々と「実戦」を積ませて、
段階的に学力を確実に向上させていく、
この能力は別もの。
だが、
ほとんどの保護者の方には、
うまく伝わらない。
個別指導の塾ならどこでも同じでは?
合格実績(数)が多いところが上では?
こう考えている方が多いようだ。
さて、
Kくんの話に戻る。
過去問をするのはいいけれど、
適当にやってもらうわけには、
当然いかない。
「ある年度」の問題からスタート。
そこから1問ずつ正確にチェックする。
2次試験対策とは、
その生徒の学力に合わせてやるものだが、
「目に見える部分」と、
「目に見えない部分」の両方を、
きちんと押さえることができるかどうかで、
今後の指導の質が変わる。
その積み重ねの連続で、
ようやく、
合格の可能性がジワリと上がっていく。
ラクな道はなく、近道もない。
あるのは、
「地道」という名の道だけなのだ。