塾長の考え(医学部受験の研究)
「一歩一歩、着実に積み重ねていけば、
予想以上の結果が得られる」
(豊臣秀吉)
かつてある高校3年生の男の子が、
「今からは勉強しかないんで!」
といって7月の海の日の前日に、
入塾してきた。
野球部の活動が終わったので、
いよいよ勉強をしなくていい理由が、
なくなったから行動に出たようだ。
友人と2人で入塾してきたのだが、
2人とも真っ黒に日焼けしていて、
「さすがは高校球児だな…」
と思ったことを昨日のように思い出す。
さっそく実戦ということで、
昨年のセンター試験(当時:今は共通テスト)
の問題を試しに解いてもらった。
英語(筆記)、数学ⅠA、数学ⅡB、国語。
どれも半分に満たない。
「こうなるまでなぜ放っておいたのか?」
医者のようなセリフが浮かんできた。
当時はまったく意味がわからなかった。
「野球のプロを目指していたわけじゃないよね?」
そういう質問をしてみたくなったがこらえた。
「できないから塾に入ってきたのだよね?」
自分で自分に言い聞かせる。
なぜこんなに勉強ができなくなるまで、
何も手を打たずに部活動中心に生活するのか。
今なら答え(理由)は容易に想像できる。
2種類(の言い訳)があるのだが、
1つだけ述べてみる。
それは…、
「部活動が忙しいから」
拍子抜けするかもしれないが、これ。
部活動があるから…勉強に手が回らなくても、
しょうがない。
部活動があるから…課題ができなくても、
しょうがない。
部活動があるから…テストができなくても、
しょうがない。
部活動があるから…成績が悪くても、
しょうがない。
部活動があるから…、
部活動があるから…、
部活動があるから…。
こうやって現実逃避するのである。
逃げていることは本人が一番わかっている。
考えればつらいから考えないようにしている。
思考を停止している。
「部活が終わったら勉強頑張るから!」
(今はいいや)
と自分に言い聞かせて納得させる。
だから、
部活動が終わりいよいよその理由がなくなると、
「しょうがない、やるか!」
と、ここで初めて現実に向き合う。
勇気を出して現実に向き合う。
900点満点のセンター試験で300点後半。
このくらいしか取れていなくても、
今から必死にがんばれば、
「300点くらいあがるっしょ!」
こんなノリである。
50点上がるためにとてつもない努力がいるが、
今まで勉強をやってきていないので、
どの程度がんばればどうなるのかは、
まったくわかっていない。
「高校受験のときだって中3夏からがんばった!」
「結果、みごとに県立高校普通科に合格した!」
「大学受験もおなじように行くっしょ!」
これが今から頑張れば675点必要な大学を、
受験して受かるだろうという「根拠」だ。
この生徒は合格できずに終わり、
「北斗塾さんも大したことはないですね」
とその生徒のお母さんに言われたことが、
貴重な思い出である。