塾長の考え(ショート 605)
HDちゃん(高3:医学部医学科志望)
記述(論述)試験レベルの英語の考え方、
それを教えるために個別指導を毎回実施。
どんな考え方で解答を出しているのか、
何をどう考えたら間違った解答になったのか。
1つひとつ本人に確認する作業をする。
本人の口から出てくるいろいろな言葉で、
どうやって問題を解いているか、
それを確認したら、
本人の思考回路を修正する。
やはり、
個別指導はすばらしいと実感。
スポーツの世界でも音楽の世界でも、
1人のプレーヤーのためにコーチがいる、
その環境がどれだけ恵まれているか。
生徒がある意味うらやましい(笑)。
さて、
HDちゃんに個別指導していると、
そこにHKくん(高3:文系)がやって来た。
「先生、英検受かりました!」
「え、そうなの?」
「はい」
「何級を受かったの?」
「2級です」
「あれ、スピーキング…受かったの?」
「はい」
「何で受かったの?」
「何でって…。学校で友達と練習しました」
「…、あ、そうだったんだ…」
「はい」
というわけで勝手に英検2級を受検して、
あっさりと合格していたようだ。
「指導…しなくても2級受かるんだね…」
ちょっと複雑な気分と頼もしい気持ちが、
私の中で交錯する。
「まあ、受かっているなら…いいけど」
塾内の第2学習室の中に入り、
塾生たちが学習している中を巡回する。
英語の映像授業を集中して受講していた、
FKちゃん(理系:高2)が、
ヘッドフォンを外して声をかけてきた。
「先生、英検受かりました!」
「え、受けていたの?」
「はい」
「言ってくれればいいのに…」
「あ、言ったほうが良かったですか?」
「いや…、受かっているからいいけど」
「はい」
「自学で受けたの?」
「はい」
「それで受かったの?」
「はい!」
「…、ところで何級を?」
「2級です」
「あ…、そうなの、それは…いいね」
「はい!」
あれ、英検2級って…、
簡単に受かるはずないんだけどな…。
どうなっているんだろうか?
「塾長、今いいですか?」
「あ、Hちゃん、英検の結果は?」
「え、もう発表されているんですか?」
「いや、他の人たちは報告してきてるよ!」
「あ~、知りませんでした」
「し、知らないの? 前回に引き続き!?」
「はい!」
「いや、『はい!』じゃなくて(笑)」
「はい(笑)」
「今わかるんだよね!?」
「え?」
「今、確認しようよ」
「今、ここでですか?」
「そうだよ、今ここでだよ!」
結局IDを覚えていなかったため、
合格しているかどうか不明のまま帰宅。
「準1級…合格しているといいけどな」
次の日の塾で。
「先生~、受かっていました、あはは」
「ヨッシャー(\(^_^)/)」
「はい!」
「で、お母さんは何て?」
「はい、踊っていました(笑)」
「お、踊っていた、ホントに!?」
「はい(笑)」
本当に受かっていてよかった、準1級。
攻略法は…正しかったのだ。
(続く)