塾長の考え(ショート 605)
今から1ヵ月ほど前の話。
高1(現在高2)のKくんが、
珍しく質問を持ってきた。
Kくんは宮崎西高の理数科の生徒だ。
ほとんど指導をしなくても、
指示されたテキストや問題を、
高速で解いていく。
そして、
難しい問題であっても、
簡単には引き下がらない。
とことん考える、
自分自身が納得いくまで粘る。
宮崎西高理数科と言えば、
宮崎県でもトップレベルの学科だ。
ちなみに昨年度の東大合格者数は、
例年と比べると寂しいものだったが、
他の高校はもっと寂しい。
いや、厳しい結果だった。
いよいよ他県の優秀な生徒との対決に、
もっと本腰を入れた指導をしないと、
宮崎大学医学部医学科も危うい。
どういう意味で危ういかというと、
地元の優秀な生徒の合格者の割合が、
他県の優秀な生徒の受験によって、
どんどんと減っていくという意味で、
危ういと言っているのだ。
高1の4月から指導できれば、
理数科の生徒であればほぼ全員を、
宮崎大学医学部医学科に、
合格させることができる自信はあるが、
そのレベルの生徒が塾に来れば、
の仮定の話である。
もちろん理数科の生徒でなくても、
高1の4月から塾にいる生徒に関しては、
前提として本人が望むのならば、
宮崎大学医学部医学科に合格させたい。
また、実際に、
そのくらいの指導力と学習システム、
それがないと予備校はできない。
予備校生相手ならば、
たった1年間で結果を出さないといけない。
それと比べると、
高1生は3年間近く指導できる。
これは大きい。
「頭の良さは親の遺伝ですよ」
そういう話もまことしやかにあるが、
私はそうは思っていない。
正しい方法で継続的な努力を、
プロの指導で「方向性」を見誤らなければ、
3年後には合格できると信じている。
さて、Kくんの質問内容はと言うと、
その問題に対して、
解答するための方針が立たない、
ということであった。
質問のしかたから、
すでに頭の良さがにじみ出ているが、
それも(親御さんと本人の)努力の、
賜物であると私は信じている。
素質や才能よりもお母さんの育て方、
その影響の方が大きいと見ている。
それほどまでに母親の存在が、
わが子の可能性を高くも低くもする。
熱心に子育てをするお母さんと、
そこまで熱心でないお母さんと比べて、
わが子の成果に差が出ないようでは、
努力のしがいがないではないか。
さて再びだが、
Kくんの持ってきた問題は数学で、
滋賀医科大学の過去問だった。
その問題の解答・解説は、
すでに塾内のデータベースにあるので、
それをKくんに熟読させた。
その上で質問があるかどうか確認した。
それでもわからないという。
どうしても納得できないという。
私はその解説を見て、
どこがどのようにわからないのかを、
分析して教えなおす役目なのだが、
このときが一番楽しい時間である。
生徒の頭の中に入って探検する感覚が、
おもしろいのだ。
(続く)