塾講師のやる気の源とは?(その6)
今から1ヵ月ほど前の話。
高1(現在高2)のKくんが、
珍しく質問を持ってきた。
Kくんは宮崎西高の理数科の生徒だ。
ほとんど指導をしなくても、
指示されたテキストや問題を、
高速で解いていく。
そして、
難しい問題であっても、
簡単には引き下がらない。
とことん考える、
自分自身が納得いくまで粘る。
宮崎西高理数科と言えば、
宮崎県でもトップレベルの学科だ。
ちなみに昨年度の東大合格者数は、
例年と比べると寂しいものだったが、
他の高校はもっと寂しい。
いや、厳しい結果だった。
いよいよ他県の優秀な生徒との対決に、
もっと本腰を入れた指導をしないと、
宮崎大学医学部医学科も危うい。
どういう意味で危ういかというと、
地元の優秀な生徒の合格者の割合が、
他県の優秀な生徒の受験によって、
どんどんと減っていくという意味で、
危ういと言っているのだ。
高1の4月から指導できれば、
理数科の生徒であればほぼ全員を、
宮崎大学医学部医学科に、
合格させることができる自信はあるが、
そのレベルの生徒が塾に来れば、
の仮定の話である。
もちろん理数科の生徒でなくても、
高1の4月から塾にいる生徒に関しては、
前提として本人が望むのならば、
宮崎大学医学部医学科に合格させたい。
また、実際に、
そのくらいの指導力と学習システム、
それがないと予備校はできない。
予備校生相手ならば、
たった1年間で結果を出さないといけない。
それと比べると、
高1生は3年間近く指導できる。
これは大きい。
「頭の良さは親の遺伝ですよ」
そういう話もまことしやかにあるが、
私はそうは思っていない。
正しい方法で継続的な努力を、
プロの指導で「方向性」を見誤らなければ、
3年後には合格できると信じている。
さて、Kくんの質問内容はと言うと、
その問題に対して、
解答するための方針が立たない、
ということであった。
質問のしかたから、
すでに頭の良さがにじみ出ているが、
それも(親御さんと本人の)努力の、
賜物であると私は信じている。
素質や才能よりもお母さんの育て方、
その影響の方が大きいと見ている。
それほどまでに母親の存在が、
わが子の可能性を高くも低くもする。
熱心に子育てをするお母さんと、
そこまで熱心でないお母さんと比べて、
わが子の成果に差が出ないようでは、
努力のしがいがないではないか。
さて再びだが、
Kくんの持ってきた問題は数学で、
滋賀医科大学の過去問だった。
その問題の解答・解説は、
すでに塾内のデータベースにあるので、
それをKくんに熟読させた。
その上で質問があるかどうか確認した。
それでもわからないという。
どうしても納得できないという。
私はその解説を見て、
どこがどのようにわからないのかを、
分析して教えなおす役目なのだが、
このときが一番楽しい時間である。
生徒の頭の中に入って探検する感覚が、
おもしろいのだ。
(続く)