塾長の考え(親子関係)18
九州大学に合格したい生徒がいる。
名前は…まだ、ない。
ということはなく「Cくん」である。
Cくんは高3になってから入塾してきた。
それまではN塾に通っていた。
そこの塾講師は大学生講師で良かったらしいが、
そこの教室長がどうしても嫌で塾を辞めた。
理由は詳しく聞いたが、ここでは述べない。
宮崎●●高校普通科に通っていたが、
今月(3月)に卒業した。
つまり今は予備校生として来ている。
そして今は彼にとって本当に必要だった、
やらなければいけなかったことを、
毎日丁寧に学習し直している。
それこそが「中学時代の学習内容」である。
高3生が入塾してきても、
入試までの時間が限られているので、
ほとんど指導できないのだが、
それが実際は成績向上の足かせとなる。
大学合格の障害となる。
某予備校(宮崎で有名)の校長は私に言った。
いやはっきりと断言した。
「高校卒業した生徒に中学の内容をする、
そんなことは必要ない!」
「なぜですか?」
「高校入試に合格した者だけが高校に入学する」
「…、それが何か?」
「それが何かじゃなくて、それがすべてだ」
「そうですか?」
「合格したのだよ、中学までの内容は!」
「そうですか?」
「そうですかじゃなくて、そうでしょうが!」
「合格した生徒は1番から最後までいます」
「それが何だって言うんだ?」
「合格しても皆が同じ学力ではないです」
「何をあなたは言っているのか?」
「各生徒にはあちこちに弱点が残っています」
「そんなことはわかっている、もちろん!」
「本物の基礎学力がないまま合格しています」
「あなた…何が言いたいの?」
「中学の内容を全部チェックしないとダメですよ」
「全部? 何を言っているんだ」
「1つでも『部品』が欠けていたら大学受験で…」
「そんなこと言っていたらキリがないだろう!?」
「…そうですかね?」
ここで沈黙の時間が流れた。
「話にならないなぁ、意味がない」
「そう思うのはご自由なことです」
「あなたと私たちではね、考え方が違うよ!」
「そのようですね」
「お互いが信じたやり方で行きましょうや」
「最初からそのつもりですが?」
通常の予備校には莫大な量の入試問題がある。
それらはすべて「大学入試問題」である。
そしてそれらの問題は各教科担当の講師が、
日夜命を削って研究に研究を重ねている。
そこまでの血のにじむような努力と、
「生徒に授業内容を絶対にわからせたい!」
という強い思いがある予備校講師が、
毎年生き残っている。
人気も実力もない予備校講師は、
毎年3月に契約更新できずに「浪人」となる。
北斗塾予備校にも何人かが面接希望で来た。
人柄は良さそうな人が多かったが、
なぜか私が出す学科試験に通らない。
採用は全員見送って来たがその人たちは、
まったく困らない。
なぜならば近隣の予備校あるいは学習塾で、
今でも講師だからだ。
(続く)