⑦:「“なんとなく不安”の正体とは?」
シリーズ11:「脳をリセットする“最高の休憩法”とは?」
~脳疲労と回復の神経メカニズム~
1.「疲れが取れない」のは身体ではなく、脳が疲れているから
「体は休めたはずなのに、頭がぼんやりして働かない」
「何をしても集中できないし、やる気も出ない」
──そんな状態の正体は、“脳疲労”です。
私たちの脳は、情報処理のしすぎ・感情の刺激・判断の連続によって、目に見えない形でどんどん消耗しています。
しかし、うまく回復させる方法を知っていれば、脳のリセットは十分可能です。
2.脳疲労とは何か?
= 脳疲労の主な原因
情報過多(SNS、ニュース、仕事のマルチタスク)
過度な判断・決断の連続(前頭前野の酷使)
感情の揺れ(扁桃体の過活動)
睡眠不足による記憶・処理の蓄積
=疲れる場所:前頭前野とデフォルトモード・ネットワーク(DMN)
前頭前野:意思決定・集中・自己抑制に関わる。使いすぎると「考え疲れ」になる
DMN:脳の“ぼーっとするネットワーク”。この活動が低下すると「リセット力」が下がる
3.事例:仕事中の小休憩を変えただけで集中が復活した30代男性
事例:30代・営業職のTさん
1日中パソコンの前で作業し、午後になると必ず集中が切れていた。
「コーヒーを飲みながらスマホを眺める」休憩を、「3分間目を閉じて、何もしない時間」に変更。
1週間後、「午後の集中力が明らかに違う」と実感した。
脳の“回復力”が高まった証拠である。
4.脳を本当に回復させる「最高の休憩法」とは?
① 目を閉じて“内側の静けさ”をつくる(視覚遮断)
脳は「見る」だけでも大量の情報を処理している
目を閉じることで、前頭前野と視覚野の活動が落ち着き、
DMN(デフォルトモードネットワーク)が活性化
→ 情報を整理・統合しやすい「リセット状態」に入る
→ たった2分でも効果あり!
② “何もしない時間”を意図的にとる(マイクロレスト)
スマホや会話など、外部刺激のない「無情報時間」
意図的に“思考の流れ”を止めると、脳のワーキングメモリの整理が進む
→ 椅子に座って何もせず、静かに目を閉じるだけでOK
③ 自然に触れる(センサリーレスト)
緑や水など自然の景色は、脳に安心・安全を伝える
視覚・聴覚・嗅覚の感覚系が癒され、交感神経の緊張が緩む
→ 結果として、前頭前野と扁桃体のストレス反応が減少
→ 近所の公園を散歩/観葉植物を眺める/川の音を聞く、など
5.脳疲労をためない日常習慣
= 朝の「脳の準備運動」:
軽いストレッチ・深呼吸・太陽光でRAS(覚醒系)を整える
=午前中と午後に1回ずつ「無刺激の小休憩」:
→ 1回5分の“ぼーっと時間”が、集中力の回復と維持に最も効果的
= 夜の「情報遮断」習慣:
→ 就寝1時間前はSNS・ニュースなどの情報をシャットアウトし、
海馬に休息の時間を与える
まとめ:休憩とは「脳を止めること」ではなく、「脳に整理させる時間」
“ぼーっとする時間”は、脳にとって最も創造的で回復的な時間
「スマホを見ながらの休憩」は、“休憩”ではなく“刺激”である
脳の自然な“整理能力”を取り戻すために、あえて“何もしない時間”をつくろう
脳は、静けさの中で力を取り戻す。
たった5分の“本物の休憩”が、午後のあなたのパフォーマンスを変えるかもしれません。



