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⑨:「“ゾーン”はどうやって入るのか?」

森億

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テーマ:日常生活に活かす脳の使い方シリーズ

シリーズ⑨:「“ゾーン”はどうやって入るのか?」
~集中と没入の脳波メカニズム~

1.「ゾーン」に入るとき、脳は何をしているのか?
スポーツ選手が「すべてがゆっくり見えた」と語るような状態、 作家が何時間も集中して文章を書き続ける状態、 楽器を演奏していて“時間を忘れる”あの感覚。
それが「ゾーン」、あるいは「フロー状態」と呼ばれるものです。
このゾーン状態は偶然ではなく、脳の状態=脳波の変化によって生まれていることがわかっています。

2.ゾーンとは?──脳科学的に見た“超集中状態”
ゾーン(フロー状態)とは
高度に集中し、行動と意識が一体化している状態
外界の雑音が消え、目の前のことに完全に没頭している
時間感覚が歪む(短く感じる、長く感じる)


このとき脳は、「努力して集中している」のではなく、自然な流れで“没入している”状態になります。

3.ゾーンに入る脳波の特徴とは?
脳がゾーン状態に入っているとき、特に注目されるのはα波とθ波です。
α波(アルファ波)
リラックスしながらも覚醒しているときに出る波
8〜13Hz
雑念が少なく、集中が深まりやすい状態
θ波(シータ波)
深いリラクゼーションや創造性が高まる状態で出現
4〜7Hz
直感、ひらめき、内面集中が優位になる
つまり、「集中(β波)」と「リラックス(α波)」が同時に成り立つバランス状態こそが、ゾーンに入る脳波パターンなのです。

4.事例:音楽家がゾーンに入る瞬間
事例:40代・プロピアニストHさん
本番中、観客の存在も時間も忘れ、「自分が演奏しているというより、音楽が勝手に流れてくる感覚」。
→ このとき脳波を測定すると、高いα波とθ波が優位に出現していた。
まさに“ゾーン”に入っていた証拠である。

5.ゾーンに入るための3つの条件
① 適度な難易度(チャレンジのバランス)
簡単すぎず、難しすぎず、「自分の力がギリギリ届く」レベルが最もゾーンに入りやすい。
→難しすぎると不安に、簡単すぎると退屈に。

② 明確な目的と即時のフィードバック
「今、何に取り組んでいるのか」「うまくいっているか」がわかっていると、 脳は“今ここ”に集中しやすくなります。
→ 例:スポーツの試合、ゲーム、即興演奏など

③ 外部のノイズを遮断した環境
集中を乱す要因(スマホ、騒音、通知)を最小限にすると、 脳は自然と“今に没頭する”モードに入ります。
→ α波・θ波を引き出すには、静かで安心できる空間が効果的。

6.ゾーンに入る脳を育てる習慣
ゾーンは一部の才能ある人だけの特権ではありません。
脳の性質を理解すれば、誰でも“ゾーンに入りやすい状態”をつくることができます。

=習慣①:マインドフルネス瞑想
呼吸に意識を集中するトレーニングは、α波を安定させ、 注意の持続力を高めます。

=習慣②:朝のルーティンを固定化
脳に「集中モードへの入り方」を覚えさせることで、ルーティンがそのまま“ゾーンの入口”になります。

=習慣③:没頭できる時間を毎日つくる
1日30分でも、「やり込めること」に集中する時間を持つことで、 脳は「深い集中の記憶」を学習していきます。

まとめ:「ゾーン」はつくることができる
ゾーンは、気合や運ではなく、**“整った脳の状態”**から自然に生まれます。
リラックスしつつ覚醒していること(α波+θ波)
雑音のない環境と、心地よい集中対象
習慣と練習でゾーンに入りやすい脳を育てること

「集中」ではなく、「没入」へ。
ゾーンに入る脳を、あなたも日常の中で育ててみませんか?

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森億
専門家

森億(プロコーチ)

fine lab.(ファイン ラボ)

35年の中高大の教員経験と、バスケットボール競技での豊富な実績をもとに、パフォーマンス向上を導く「fine理論」を構築。セルフトレーニングとチームビルディングの両輪で企業セミナーや人材育成を行います。

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