シリーズ①:なぜ、やる気は3日で消えるのか?
シリーズ④:集中力がもたないのは〇〇が原因だった!?
~RAS(脳のフィルター)の正体とは~
1.「集中しなきゃ」と思うほど集中できない理由
仕事中、ついスマホに手が伸びる。
勉強していても気が散って別のことを始めてしまう…。
「集中力がないのは自分の意志が弱いから」、そう思いがちですが、 実はそれは、脳のしくみの問題かもしれません。
集中力のカギを握るのは、「意志」よりも脳内の“フィルター”の性能です。
2.脳には「情報フィルター」がある?──RASの働き
私たちの脳は、1秒間に数百万もの情報を感覚器から受け取っています。
しかし、すべての情報を処理するとパンクしてしまうため、脳には“必要な情報だけを通すフィルター”が存在します。
これがRAS(Reticular Activating System:網様体賦活系)と呼ばれる機能です。
=RASとは?
脳幹にある情報のフィルター装置
「今、必要な情報」だけを大脳に通す
逆に言えば、「必要ない」と判断された情報は無視される
つまり、集中できるかどうかは、RASが何を“重要”と判断するかにかかっているのです。
3.事例:子どもがゲーム中は集中している理由
事例:小学生のYくん
宿題は5分も続かないのに、ゲームは1時間以上集中してできる。
なぜか?
答えは簡単。脳が「ゲーム=重要」と判断しているから。
視覚・聴覚・操作など、多くの刺激がRASを強く刺激し、注意がそこに集中している状態なのです。
4.「集中力がもたない人」の脳で起きていること
集中が続かない人のRASは、次のような特徴を持っています:
情報の選別が曖昧
→ 何が大事か、脳が判断できず、注意が分散してしまう。
外部刺激に弱い
→ スマホの通知や物音など、“刺激の強いもの”に引っ張られる。
目的が曖昧
→ RASは「目的」や「関心」によって働くため、ゴールが見えないと機能しづらくなる。
5.RASを味方にする集中力の高め方
①「何に集中するか」を脳に宣言する
RASは“言葉”に反応します。
作業前に「これから○○に集中する」と声に出して明確化するだけで、
RASがその情報を選びやすくなります。
例:「今からこの資料を30分で読み切る」
→ RASがその情報を優先的に通し、雑念をカットしやすくなる
② 目に入る情報を減らす
RASは視覚からの刺激に特に敏感。
机の上が散らかっていたり、スマホが見える位置にあると、 それだけで注意は奪われてしまいます。
→「見えるもの=脳に入る情報」と覚えておくと◎
③ 小さなゴールを設定する
RASは「達成感」や「意味」を感じるとさらに活性化します。
「今日は30分集中できた!」という成功体験が、
次の集中力の燃料になるのです。
6.「集中力」は意志より“仕組み”で決まる
集中できないのは「あなたがだらけているから」ではありません。
RASという“脳のゲートキーパー”の使い方がわからなかっただけ。
このRASは意識的に鍛えることができます。
そして一度、脳に“集中しやすい設定”ができると、 驚くほどスッと集中できる時間が増えていきます。
まとめ:集中できる人は、RASの設定が上手な人
集中力を高めるには、まず脳のフィルターの仕組みを理解すること。
その上で「何に集中したいのか?」を意識に上げ、環境を整えることで、あなたの脳は“選ぶ力”を取り戻してくれます。



