11:「脳をリセットする“最高の休憩法”とは?」
シリーズ③:「記憶力がいい人の脳は何が違う?」
〜脳の記憶システムを味方につける方法〜
1.「あの人、どうしてそんなに覚えていられるの?」
名前や数字をスッと覚える人、1回聞いただけで内容を理解している人。
同じ話を聞いているのに、記憶に残る人と残らない人の差はいったいどこにあるのでしょうか?
実は、記憶力がいい人は生まれつき頭がいいわけではありません。
違いは、記憶の仕組みに沿った「脳の使い方」をしているかどうかです。
2.記憶のカギは「海馬」と「側頭葉」
記憶に関係する主な脳の部位は、次のとおりです:
=海馬(かいば)
情報を「短期記憶→長期記憶」に移す中継所
重要な情報を“残すか、捨てるか”を選別するフィルター
=側頭葉(そくとうよう)
言語的・聴覚的な記憶を保持
覚えた「内容」を蓄積するストレージのような役割
記憶力が高い人は、この海馬を“刺激しやすい"使い方を無意識にしているのです。
3.なぜ覚えられないのか?──記憶の3つの壁
記憶が定着しない理由は、大きく次の3つに分けられます:
① 「興味がない」→ 海馬が“スルー”する
興味・感情が動かないと、海馬は「どうでもいい情報」と判断し、記憶に残しません。
② 「整理されていない」→ 側頭葉に保存されない
バラバラな情報は整理されず、ストレージに送られません。
「記憶の棚」に分類されていない状態です。
③ 「使わない」→ 忘却のメカニズムが発動
思い出す機会がないと、脳は不要と判断して削除してしまいます。
4.事例:覚えが悪いと悩んでいた営業マンの変化
◆事例:30代・営業職のKさん
商品説明が覚えられず、資料ばかり見ていたが、ある方法を取り入れたところ記憶が定着するようになった。
「ストーリー形式で覚える」「実際に誰かに説明する」ことを繰り返したことで、 驚くほどスムーズに話せるようになった。
このように、「脳の記憶システム」に沿った使い方をすれば、記憶力は後天的に高められるのです。
5.記憶力を上げるための脳の使い方
① 感情を動かす工夫をする
海馬は「感情とセットの情報」を優先して記憶します。
例:「怖かった出来事」「感動した話」「笑えるネタ」は忘れにくい
勉強や学習のときも、ただ読むだけでなく、「これ面白いな」「なるほど!」と思えるような視点を加えることで記憶に残りやすくなります。
② 情報をストーリー化・構造化する
バラバラの単語より、流れのある情報は海馬にとって“保存しやすい”形。
例:年号の羅列ではなく、「戦争→混乱→復興」の物語にする
→ 側頭葉に分類しやすくなる
③ 「思い出す」練習をする(アウトプット)
覚えたことを使ってこそ、記憶は脳に定着します。
ノートを見ずに話す
誰かに教える
朝に1分「昨日の記憶」を思い出す
これだけでも海馬は「この情報は大事」と認識し、長期記憶として定着させます。
6.脳は“覚えようとするほど忘れる”!?──逆説の記憶法
覚えようと「力む」と、前頭前野が過剰に働き、かえって記憶力が低下します。
記憶を味方につけるためには、「リラックス」「楽しむ」「感情を動かす」ことが実は重要です。
また、睡眠中に記憶は整理されるため、しっかり寝ることも非常に大切です。
まとめ:記憶力は“センス”ではなく“脳の使い方”
記憶力に自信がない人こそ、脳のしくみに沿って工夫することで、大きな変化が起きます。
「忘れるのは脳のせい」ではなく、 「覚える工夫を知らないだけ」だったのかもしれません。
今日からあなたも、海馬と側頭葉を味方にした“記憶名人”を目指してみましょう。



