【集中講座9&10】エクセルを使ったビジネス戦略、財務分析動画を作成してみました
皆さま、こんにちは
今回のコラムでは、『経営戦略コンサルタントがプロフェッショナルとして果たすべき役割』について論じていきたいと思います。前回のコラム『経営戦略コンサルタントを取り巻く現状について考察』の続きとなります。
上記の画像をご覧いただくとお気づきになるかもしれませんが、前回のツリー構造と比べ、一つ検討項目が増えました。理由として、全体の話の流れからコンサルタントの市場ニーズを考える前に、プロとしてどのような役割があるかを確認しておくことも重要と考えたからです。
留意事項として、ここでは『戦略コンサルタント』について書きます。経営戦略のスペシャリスト(専門家)であり、ビジネスにおけるジェネラリスト(総合家)と一般的に考えられています。良く言えば大局的な仕事が得意で、悪く言えば個々の分野で器用貧乏な傾向があります。
仕事としては、例えば企業の戦略立案、事業分析、プロジェクトマネージャー、経営者の相談相手、人材育成(ビジネスコーチングや社員研修)など様々です。
考えることでお客様に付加価値を生み出す仕事なので、この定義に基づきますと、私の天職と言っても良いかもしれません。何かを深く考察する事自体が、自分の人生そのものだからです。
一方で、営業・マーケティング・財務・会計・法務・ITなど、各分野に特化した戦術コンサルタントを、ここではその分野の『スペシャリスト(専門家)』と考えます。クライアントの抱える課題がある程度明確になっているという前提のもと、経営方針など大局的考察はあまり行わずに、特定の分野に特化した課題解決を得意とします。
次回のコラムで論じる予定ですが、現状ジェネラリストの市場ニーズ・需要は大企業中心であり、一方のスペシャリストは、市場ニーズ・需要とも(大企業・中小企業・個人関係なく)幅広くあると考えられます。
実際に付加価値を提供するために何が出来るかは、各コンサルティングファーム、コンサルタントで大きく異なってきます。お客様との相性も重要になりますので、疑問点があればまずはお問い合わせしてみる事も効果的アプローチの一つです。
ただし注意点として、経営リソースの潤沢な有名大手でない限り、出来る事と出来ないことは必ずあるはずなので、その点を誠実にお答えしてくれるところをお勧めします。私自身も含め、何でも出来るスーパーコンサルタントにまだ出会ったことが無いので、特にそう思います。誰でも苦手な分野は持っているものです。例えば私の場合は、営業関連が当てはまります。
お客様の課題解決にそのサービス(または商品)が寄与するかどうか曖昧なうちは、決断を急がない方が良いと思います。
これらの点をコンサルタントのみならず、お客様(クライアント)にも事前にご理解いただけますと、費用対効果が高い、付加価値あるサービスを提供しやすく(または受けやすく)なるかなと感じています。
それでは、以上の内容を基に今回の本題である戦略コンサルタントの役割について考察していきます。
1.価値ある情報と鋭いアドバイスの効率的な提供
まず、お客様(クライアント)に対し価値ある情報を提供し、鋭いアドバイスを効率的に行う事は、経営戦略コンサルタントとして必須の役割となります。この際に必要な事として、専門技能・知識を短期集中的にお客様と共有するという事と、包括的分析を行うという二つの視点から考えてみます。
1-1.専門技能を短期で集中的に共有する
一つ目として、価値ある情報と鋭いアドバイスを効率的に提供するために、お客様の必要な時に必要な分だけ、短期集中的に専門技能・知識を共有することが重要です。通常、多くの企業では経営企画立案など、戦略に特化した人材を自社で常に確保・維持しておくことは、経営リソースおよびコンサルタント自身の両方の観点から負担が大きく、非効率的な面があります。
1-1-1.自由な社風の中で培った技能共有ノウハウ
以前社員として働いていた会社は新興だったためか、自由な社風の中で働くことが出来、それが専門技能や知識の習得、そして共有ノウハウの向上に大きく貢献したと思います。規模は一般の中小企業でしたが、当時新商品開発や新規事業立ち上げなど非常に勢いがありまして、戦略コンサルタントとして実地経験を積むには環境的に恵まれていたと思います。
20代をずっと海外で暮らしていたので、そのような自由で挑戦的な社風を持った会社が日本にもある事に驚き、日本社会でも価値観の多様性が受け入れられてきたのかな?と初め思っておりましたが、たまたまスカウトされた会社が特別だったのだと後で分かりました。
私のように特徴を持った人間は、通常社員としては中々受け入れづらいと思います。しかしながら、だからこそ社外コンサルタントとして、専門技能による集中的な付加価値を提供できると考えています。どのような特徴があるかについては、当ホームページの『その他』ページ後半をご覧いただきますと、その一面を多少ご理解しやすくなるかと思います。
1-1-2.短期集中で成果物を提供
経営戦略を策定する場合、例えば私は2か月以内を目安に、出来るだけ短期でお約束した成果物をお客様にお届けするようにしています。経営資源が限られている中で、多くのクライアントにとって戦略のみに時間をかける意味(または余裕)はないと考えるからです。仮説を構築・検証しながらストーリーを作成し(2か月以内を目安)、後は実際にPDCAサイクルを回しながら、お客様ご自身で経営戦略を修正、事業改善をしていけるよう、必要に応じてサポートしていきます。社外コンサルタントに経営戦略をいつまでも頼るのは、お客様にとって望ましい事ではないと思いますので、そこは十分に配慮した上でサービスを提供します。
1-1-3.数値評価が困難なサービスは期間設定をしない
ただし、定量分析(数値分析)が困難で、定性的判断(数値で測れない部分の判断)が重要になるビジネスカウンセリングなどは、効果に個人差が大きく、あらかじめ成果提供の期限を設定することが難しいので例外となります。例えば、何か健康不安があれば普通お医者さんにご相談に行くと思いますが、その時に期限付きで治療・治癒を依頼する患者さんはいないと思います。それと同じです。
1-1-4.様々な人々が関わるチームプロジェクトでは、想定より時間がかかる事も
それ以外で2か月以上かかるケースとなりますと、大抵一人でこなす類の仕事ではなく、複合的な課題を解決するために、各分野の専門家とチームを組んでプロジェクトを遂行する場合が考えられます。最近の事例ですと、これはコンサルティングの仕事ではありませんでしたが、国際的なメンバーによる書籍出版プロジェクト(出版元:FIRMSconsulting)が該当するかと思います。いろんな人々が関わりますと、どうしても想定外の事態は起きやすく、結局本が全世界のアマゾンで発売されるまでには半年間かかりました。海外の方のお仕事を傍から見る事ができ、それに本を出版するのも初めてでしたので貴重な体験でした。
1-1-5.試しに1か月間のコンサルティング依頼が可能
他に、戦略コンサルタントに支払う料金の観点から考えてみます。一般的には1時間当たりいくらで料金をチャージされる事が多いと思います。契約期間は数か月間がほとんどでしょうか。
しかし、私のコンサルティングサービスは異なりまして、例えば2か月間かかるプロジェクトでも、1か月単位のフェーズに分け、中間レポートとしてその時点での成果物をお客様にお届けします。そこで、私のそれまでの仕事をご評価いただきまして、もしご満足いただけなければ、プロジェクトをそこで自由に止めることができるようにしています。
そのため、「試しに1か月間仕事を依頼してみる」、というやり方も可能となっています。長期の契約を結ぶ必要がないという点は、いざという時のリスクを考慮しますと、お客様にとって大きなメリットではないでしょうか。
なぜこのような短期集中サービスにこだわるかと言いますと、過去クライアントの立場で、あるコンサルタントの方にお仕事を依頼した経験に基づいています。当時、成果物の受領予定日はプロジェクトの開始時点で定められていましたが、そこに至るまでの全体スケジュールを最後まで示していただけず、結果として大幅にプロジェクトが遅れてしまった事がありました。途中で取り止めるわけにもいかなかったので、その時は本当に困りました。同じような経験をお客様にしてほしくない、ちょっとでも安心してほしい、という気持ちからこの形式を採用しています。
以上、戦略コンサルタントを雇うメリットとして、専門技能を短期で効率的にお客様と共有できる、という観点で内容をまとめてみました。
1-2.包括的分析を行う
2つ目に、価値ある情報と鋭いアドバイスの効率的な提供のため、包括的な分析を行います。この実施のため、私は洞察力の発揮を一番重視しています。経営者の方であれば、経営判断力と言い換えられるかもしれません。定量・定性関係なく、どのような種類の分析でも不可欠な能力です。そして特に、第三者視点の分析では論理思考力を、当事者視点(クライアント視点)の分析では共感力(または感性の鋭さ)も重視しています。
1-2-1.論理的思考能力は誰でも身につけられる
第三者視点での説得力ある論理分析のために、フレームワーク(SWOTやファイブフォースなど)の使い方や、論理的思考能力を向上させる教育が広く行われています。努力・訓練次第で誰でも身に付けることが可能ですし、コンサルタントに限らず、多くのビジネスパーソンに何らかの形で役立つと思うのでお勧めのスキルです。
1-2-2.クライアントに共感する事で、時に問題の本質が見えてくる
一方の当事者視点での分析には、上記の論理思考力に加え、共感力(感性の鋭さ)も重要になってきます。クライアントの気持ちになって物事を見ないと、時に問題の本質が見えてこない場合があるからです。
私にとって感度の高いアンテナみたいなもので、諸刃の剣という一面もある一方、コンサルタントとして価値ある情報と鋭いアドバイスを提供するための洞察を生み出す源泉であり、独自の強みとなっています。個人の資質や性格も能力に大きく影響しているはずです。目に見えないので分かりづらいですけれど、文章から何となく伝わっていないでしょうか?
1-2-3.新たな価値を創造するためには、鋭い洞察力が不可欠
そして私が一番重視する洞察力ですが、この能力を発揮するには知識・経験・資質・性格・体力などの総合的な力が必要となります。ここには論理思考力や共感力も当然含みます。また、置かれている環境も重要です。例えば、周りがうるさい環境で深い洞察を行う事はまず無理でしょう。
私の個人的な考えでは、鋭い洞察には共感力(または感性の鋭さ)が大きく寄与しています。そして、新たな価値を創造するためには、その鋭い洞察が不可欠です。だからビジネスに限らず大事なんだと思います。
大手コンサルティングファームで人の入れ替わりが激しい理由はいろいろとあるでしょうが、その一つとして、コンサルタントがこの鋭い洞察を発揮できるようになるかどうかが、評価の分かれ目になっているのではと考えています。おそらく、このために多くのコンサルタントの間で『洞察』というキーワードが何度も出てくるのでしょう。
私もこの能力には多少の自信がありますけれど、なぜかと問われると返答に困るので、後日スキルに関するコラムでさらに省察してみます。
2.プロジェクトの円滑な推進
次に、経営戦略コンサルタントが果たすべき役割として、プロジェクトの円滑な推進があります。
2-1.ボトムアップリーダーシップでプロジェクトをサポートする
一般的には、スケジュールの管理や、ファシリテーターとして会議の流れを促進および論点を明確化させるなどの仕事が挙げられます。私自身は何十人も関わるような大きなプロジェクトの経験はありませんし、そもそも一人なので、小規模なチームプロジェクトの支援のみ想定しています。よって自身が優秀なファシリテーターとは考えていませんが、書籍『NINE LEADERS IN ACTION』でもご紹介したボトムアップリーダーシップの実践により、ある程度はファシリテーターとしての役割もこなせると考えています。
2-2.チームにも配慮した適切なスケジュール管理を行う
昔、ローランド・ベルガー(Roland Berger Strategy Consultants)というドイツの有名な経営戦略コンサルティング会社の中途採用試験で、このスケジュール管理に関する質問が面接時に出たと聞いた事がありますので、そのエピソードをご紹介したいと思います。
ある面接応募者は、その質問に対し戦略コンサルティングの手法を使って、どのような人材がそれぞれ何人必要で、プロジェクト完遂までにどれくらいの期間がかかるかなどを、自らがプロジェクトマネージャーになったと仮定して見積もられたそうです。しかし、一見完璧に見えた解答でも、その人は面接に落ちました。なぜかと言いますと、その応募者は論理的な課題解決に注力し過ぎて、一緒に働くチームへの配慮が無かったからです。
当たり前の事ですが、いくら多忙とは言えコンサルタントにも定期的な休息は必要ですし、それに短期間で集中的にサービスを提供する仕事の性質上、一つのプロジェクトが終われば、充電期間として一定期間の休みをチームメンバーに与えてあげる必要があります。その会社または当時の面接官は、想像力が働いてかつ社内で一緒に働く同僚コンサルタントにも気遣いができる人材を探していたのでしょう。
以上、クライアントだけではなくチームメンバーの事も考慮した、適切なスケジュール管理も重要な役割の一つ、というエピソードのご紹介でした。
2-3.組織に異質な人材を入れ、新しい価値創造のきっかけを作る
他に、プロジェクトで企業の変革や問題解決の促進が必要な時に、組織に異質な社外コンサルタントを入れる事で、社内風土に刺激を与え、社員の自由な意見や行動を促す効果を期待するケースもあります。
特に長年事業を運営されている企業ですと、独特の風土や慣習が固定化され、社員の方もそれに慣れてしまい、枠外の思考や判断が難しくなる傾向があります。当初はそれでうまく事業が回っても、時が経てば環境も変わり、時代に合わせての変革が必ず必要になってきます。
その際、視点の異なる外部からの助言は、既成の概念を打破し、一から新しい価値を創造するためのきっかけとなりえます。
2-4.利害関係が無い特徴を生かして、部署間の橋渡しを行う
後、複数の部署が関係するプロジェクトに関わりますと、利害関係のない社外コンサルタントは、それら部署間の円滑な橋渡しの役割を期待されることもあります。コミュニケーション能力や人間性(高いモラル、公平性、共感力など)がその時は重要になりますね。
仕事だけ考えてもうまくいかない事が多いので、私でしたらまずは関係各所のお話を聞く事に十分時間をかけます。全体の状況が分かりませんと、様々な可能性を考慮した上での計画を立てようがありませんし。
2-5.第三者のプロとして説得力を増すための提案、またはスケープゴートを担う
また、クライアントご自身で課題の解決策をすでに分かっている場合でも、社外コンサルタントの役割はあります。
例えば、第三者のプロの意見として提案することで、社内改革案の説得力が増す効果を期待できますし、痛みを伴う改革の場合は、クライアント企業上層部への反感を和らげるために、自らスケープゴートを引き受ける場合もあるようです。
私はまだこの役割を演じた経験がありませんので、何とも言えませんが、もしかしたら前コラムでご紹介した経営コンサルタントの評判が一部で良くない理由は、このようにあえて悪役を演じているケースも実はあるのかもしれません。
2-6.事前に十分な内容確認・すり合わせを行い、信頼関係構築が可能かを見定める
もし自分がプロジェクトの円滑な推進を期待された場合、仕事を引き受ける前に関係者全員と十分な内容確認・すり合わせを行います。なぜかと言いますと、チームとして信頼関係を構築するには、頻繁なコミュニケーションが不可欠だからです。特に創造力や独創性が必須となるプロジェクトであれば、なおさらコミュニケーションが重要になります。
中には社外コンサルタントの存在を歓迎しない方もいらっしゃるでしょうし、その理由も(相手の立場で考えれば)よく理解できますけれど、それでも信頼関係を築くことが可能かどうかを、最初の時点で見定める必要があります。
ここまでが、プロジェクトの円滑な促進も役割の一つとして期待される、という内容の考察でした。
3.ビジネスカウンセリングと人材育成
次に、経営戦略コンサルタントは時に、ビジネスカウンセリング(コーチング含む)や人材育成の役割を期待される事もあります。
3-1.ビジネスカウンセリング+コーチング
一般的な呼称ではありませんが、経営者の様々な問題や悩みのご相談相手となる役割の事を、ここでは『ビジネスカウンセリング』と呼びます。これ主体での依頼は少ないですが、他の仕事を受けている過程で自然とそうなる事もあります。
3-1-1.ビジネスカウンセリングのニーズはおそらくある
例えば、当時は意識していませんでしたけれど、会社員だった時に上司である社長と月に何回か打ち合わせをする時には、このビジネスカウンセリングの側面が多分にあったと思います。
最初は商品開発の進捗状況など、仕事の定期報告からいつも始まるのですが、段々と社内で起きている関心事に話が移り、そこから時には政治・経済・業界動向・ライバル企業の話などに話題が拡がることがよくありました。そのため、別に指示されたわけでも無かったのですが、自分で調べた情報や分析を基に、プレゼン形式で考えや意見を述べることもよくありました。
結果、夜遅くまで話し合うことも度々あり、以上の出来事から、(このためだけにお金を払っていただけるかどうかは別として)意外とビジネスカウンセリングのニーズはあるのかな?と感じています。
ただし、厳しい守秘義務が無かった会社員だった時だからこそ率直に何でも話せましたが、今の社外コンサルタントの立場では、公平性が必須なので、話題には気を付ける必要があります。よって、十分な付加価値を私がこれで提供するのは難しいかもしれません。そう考えますと、自由に話せた頃が懐かしいです。
3-1-2.ビジネスコーチングも役割の一つ
それと、このカウンセリングの過程で、ビジネスコーチングの役割が生まれる場合もあります。
例えば、昨今話題のAI(Artificial Intelligence)やNFT(Non-Fungible Token)についてのトピックが出た場合、もし経営者の方がそのキーワードに関心を示されれば、私が知っている情報をその場で共有しますし、もし内容が不十分であれば、後日調査してまとめて報告します。その際には、クライアントの事業に関係のある内容をただまとめるだけではなく、洞察に基づいて新たなビジネスチャンスがあると判断すれば、それも一緒にご提案します。
このコーチング事例では情報共有が主体ですが、他に財務報告などをする際には、なぜその分析が必要でどのように実行したかを、専門家の視点から必要知識も含めてご説明する場合もあります。また、経営戦略にしても基本の考え方があるとは言え、実際のビジネスでは個々でアプローチが異なりますし、そもそもほとんどのクライアントが知らないようなニッチな知識もありますので、事前にどのように戦略策定を進めていくかをロジックに基づいて丁寧にご説明することもビジネスコーチングであり、経営戦略コンサルタントの役割の一つと言えます。
3-1-3.相手のために何をすれば良いか、常に考えながら行動する
クライアントが特定の話に関心を示されるからには、何らかの理由があるはずなので、それを見逃さないようにします。このような形で、自ら提案して新たな仕事を作ったケースは過去何度かありました。言われなくても会社のメリットを考えて自発的に(もちろん許可を得た上で)仕事をしていたので、上司から具体的な仕事の指示を受ける事はそう多くありませんでした。ただ一応付け加えますと、自発的なので行った努力が無駄になる事ももちろん多かったです。
頭の良さとか関係なく、相手のために何をすれば良いかと常に考えながら行動すれば、人間関係や仕事関係も自然と変わっていくと思います。
3-2.人材育成(社員研修など)
他に、社員研修などの人材育成の仕事も、戦略コンサルタントとして果たすべき役割の一つとなる場合があります。
3-2-1.プロとしての熱意や仕事ぶりを見せる事も人材育成となりえる
事例として、これは仕事ではなくボランティアだったのですが、大手企業の若手社員の方々と勉強会を数か月に渡って実施したことがあります。例えば、試しに一般に入手可能な財務データからその企業の簡単な分析を行ったり、プレゼン資料を作って見せたりしました。自分の熱意や仕事のやり方が、若い社員にとって良い刺激となっていたようです。その時、コンサルタントとしてそういう役割もあるのだと気づく事が出来ました。
ちなみに、過去に何回か新入社員の研修を引き受けたことがありますが、私の場合、前段の1対1で行うビジネスカウンセリングおよびコーチングの方が得意なようです。人見知り(感受性が鋭いとも言えます)だからかもしれません。
4.実行支援(インプリメンテーション)
最後に、実行支援(インプリメンテーション)について少しだけ言及しておきます。最初の方で経営戦略コンサルタントはジェネラリスト(総合家)と書きました。もしインプリメンテーションの仕事に関わる場合、普通は他のスペシャリストとチームを組んでプロジェクトを遂行しているケースがほとんどだと思います。
ここでの注意事項は二つあります。
- 変化への抵抗が予想されるか?
- 事業への混乱が予測されるか?
事業改革など社内に急激な変化が生じる場合、変化に対して抵抗を感じる人が出てくることは容易に想定されます。事業改革を円滑に進めるためにも、問題が表面化する前に何が出来るか、そして表面化後に取れる対策など、事前に考えておく事は大事です。
また、例えば流通コスト削減を実施した場合、商品が十分市場に出回らずに事業運営に一時的な混乱をきたしてしまう可能性がある、と事前に予測できたとします。その際も上記同様に、問題が表面化する前の対策、そして表面化した後の対策を両方考えておきます。
通常、実行支援の段階で経営戦略コンサルタントが出来る事は限られますので、よほどカリスマがある人でもない限り、あまり出しゃばらずに裏方のサポートに回ることをお勧めします。
私のように、現場の仕事を尊重するボトムアップリーダーシップが得意なコンサルタントはさほど問題にはならないと思いますが、気を付けなくてはならないのは、トップダウンタイプのリーダーです。現場を良く知らないのに上からスケジュール管理などを実行されますと、現場でお仕事をされている人たちからの印象が悪くなる可能性があります。書籍『NINE LEADERS IN ACTION』でも書いたのですが、自分がどのようなタイプで何が出来るか(出来ないか)を知っておくことは非常に重要です。
5.果たすべき役割まとめ
以上となります。今回は、経営戦略コンサルタントがプロとして果たすべき役割について、自分の知識や経験を交えながら書いてみました。また、産学社から出版されている書籍『コンサルティング業界大研究』の第1章にある『コンサルティングファームの機能とは?』の内容も多く参考にしています。
一般論となりますが、コンサルティングファームは様々な依頼に対応できるよう、上記の役割がこなせる人材を一通り揃えておく事が重要になるでしょうし、一方で、私のようにフリーのコンサルタントの場合ですと、役割を限定・特化させて、スキルの差別化・高度化を図る方が、サービスの提供およびマーケティングの両面で得策な場合が多いと感じます。
本コラムで示した4項目は、自分が考えるプロとしての役割です。他に適切な分類方法があるかもしれませんし、ここで指摘していない重要項目が後で見つかるかもしれません。
戦略コンサルタントやコンサルティングファームには、それぞれ得意とする分野や独自のノウハウがあります。もし自分の必要とするサービスを見つけた時は、まずはお問い合わせしてみるのも良いでしょう。ただし、そのサービスに疑問の余地があるうちは、決断を急いではなりません。お客様を第一に考えている企業ならば、ちゃんとお答えいただけるはずです。
それでは最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。
ホームページでは本コラムの小話もご紹介していますので、よろしければそちらもご覧ください。