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歯牙の欠損の拡大スピードとその対応

①上顎無歯顎は、下顎無歯顎に比較して、約6倍の発現頻度が高かった。

②歯数が半減したあたりから圧倒的に上顎の欠損が拡大する傾向にある。

③上顎の欠損が拡大する傾向は、初期段階からみられる。

歯の平均寿命から考えると、欠損の始まりは上下顎を問わず大臼歯から始まり、歯周病では第二大臼歯、齲蝕では第一大臼歯を最初に喪失する可能性がきわめて高い。

しかし、1歯単位ではなく、臼歯群・前歯群というレベルでの欠損拡大傾向においては、上顎の欠損が先行する傾向が高い。

さらに、力学的視点から上下顎の違いを考えると、以下のようなことがいえる。

①下顎は主に歯軸方向に力がかかり、上顎は外側方に開かれ、側方力がかかる。

②下顎はハンマーのように力をかけ、上顎は力を受け止める受け皿である。

③皮質骨の構成要素として、下顎は緻密骨中心であり、上顎はほとんど緻密骨がない。

欠損の拡大パターンと上下顎の力学的特徴から考えると、欠損補綴は支持条件の悪い上顎を優先するべきであることがわかる。

それゆえインプラントを適用する際にも、下顎を中心にした設計ではなく、上下顎で力学的にバランスのとれる設計、もしくは下顎に負けないように上顎の支持条件を整えることが肝要となる。

(参考文献)
武田孝之.力のバランスに配慮したインプラントによる欠損補綴. 補綴臨床2009 ; 42(1) : 7-19.




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