相続した実家を「建売業者・買取業者」に売るのは損?一般の買主へ売る場合との違い
相続した築40年、50年の実家に買主が見つかり、
いよいよ売買契約。
ここまで来ると、
「価格も決まったので、あとは契約書に署名するだけ」
と思うかもしれません。
しかし、古い空き家ほど、
売買価格よりも、
「どのような状態で引き渡すのか」
を契約書で明確にすることが重要です。
例えば、
雨漏りがある。
給湯器が壊れている。
家財が残っている。
境界標が見つからない。
物置が未登記かもしれない。
庭木が隣地へ越境している。
といった物件です。
よく、
「現状渡しにしておけば大丈夫ですよね?」
という話がありますが、
「現状渡し」と書いただけで、すべての問題が自動的に解決するわけではありません。
今回は、相続した古い実家を売却するとき、売買契約前にどのような点を整理しておきたいのかを解説します。
まず「現状渡し」の意味を具体的にする
例えば、
築50年の実家を、
「現状有姿で引き渡す」
という条件で売却するとします。
この場合、
現在の状態のまま引き渡す
という方向性は分かります。
しかし、
家財もそのままなのか。
壊れた給湯器もそのままなのか。
庭の物置も残すのか。
雨漏りも修理しないのか。
境界標がない状態でもよいのか。
までは、
「現状渡し」
という一言だけでは分からないことがあります。
だからこそ、
何を残すのか。
何を撤去するのか。
何を修理しないのか。
をできるだけ具体的にします。
雨漏りなど、知っている不具合は先に伝える
例えば、
「数年前に雨漏りしたことがある」
「大雨のときに一度だけ天井から水が落ちた」
ということを売主が知っていたとします。
このような情報は、
契約前に買主へ伝えておくことが重要です。
古い住宅に不具合があること自体が、
必ずしも売却できない理由になるわけではありません。
買主が、
「雨漏りがあることを理解したうえで、この価格なら購入する」
と判断することもあります。
問題になりやすいのは、
売主が知っていたことを買主が知らないまま契約する
という状態です。
「契約不適合責任」とは?
現在の民法では、
引き渡された不動産が、
契約で約束した内容と適合しているか
という考え方が重要になります。
例えば契約上、
「雨漏りなし」
という前提だったのに、
引渡し後に以前からの雨漏りが見つかった
という場合です。
内容によっては、買主から、
修補。
代金減額。
損害賠償。
契約解除。
などについて問題になる可能性があります。
だからこそ、
古い住宅では、
「完璧な状態に直してから売る」
ことより、
現在の状態を確認し、契約内容と実物の状態を合わせる
ことが大切です。
契約不適合責任を負わない特約を書けば全部安心?
個人間で古い空き家を売却する場合、
契約不適合責任について期間や範囲を限定する特約
を検討することがあります。
しかし、
「契約不適合責任を一切負わない」
と契約書に書けば、
売主が知っている不具合を何も説明しなくてよい
という意味ではありません。
特約だけに頼るのではなく、
売主が把握している物件状態を買主へ伝え、
双方が理解したうえで契約内容へ反映することが重要です。
付帯設備も確認する
古い実家では、
エアコン。
給湯器。
照明。
井戸。
浄化槽。
物置。
カーポート。
など、さまざまな設備があります。
例えば、
エアコンは動かない。
給湯器は10年以上使用していない。
物置の鍵がない。
という場合です。
「建物と一緒に渡すから大丈夫」
ではなく、
どの設備を残すのか。
正常に動くのか。
故障した状態で引き渡すのか。
を確認します。
築古空き家では、
設備を保証するのではなく、
故障を含めて現状のまま引き渡す
という条件を設定することもあります。
その場合も、契約書類上で明確にしておく方が安心です。
残置物は「全部そのままでいい」を書面にする
例えば買主から、
「家具も家電も全部そのままで構いません」
と言われたとします。
売主にとっては非常に助かる条件です。
しかし、
口頭だけで終わらせない方がよいでしょう。
例えば、
家具。
家電。
食器。
物置の中身。
庭の植木鉢。
廃材。
など、
どこまで買主が引き取るのかを整理します。
売買後に、
「この荷物まで引き取るとは聞いていない」
となればトラブルになります。
特に家財処分費が数十万円になる空き家では、重要な売却条件です。
境界はどうするのか
古い実家では、
境界標が見つからない。
昔の測量図しかない。
隣地との境界が曖昧。
ということがあります。
この場合、
売主負担で確定測量をする。
現況のまま引き渡す。
既存の資料だけで売却する。
など、取引条件によって対応が変わります。
重要なのは、
売買契約を結んだ後に、
「やはり測量してください」
となることを避けることです。
買付の段階から、
測量を誰が行うのか。
費用は誰が負担するのか。
を確認しておきます。
解体するなら「いつまでに、誰が」を明確にする
例えば、
土地として購入したい買主から、
「建物を解体して更地で引き渡してください」
と言われることがあります。
この場合、
売主負担で解体するのか。
買主が購入後に解体するのか。
では数百万円単位で条件が変わることがあります。
売主が解体するのであれば、
解体期限。
滅失登記。
残置物。
地中埋設物。
などについても確認が必要になる場合があります。
「解体する」という一言だけでなく、
どこまでが売主の仕事なのか
を契約前に整理しておくことが重要です。
相続した古い実家、「この条件で契約して大丈夫?」という方へ
例えば、
「雨漏りがある」
「家財をそのまま残したい」
「境界がよく分からない」
「建売業者から現状で買いたいと言われた」
「契約不適合責任の条項が分からない」
という場合です。
価格だけを見るのではなく、
何を売主が負担するのか。
どこまで買主が引き受けるのか。
を確認してから売買契約へ進みます。
株式会社Blue Keyでは、宮城県内の空き家・相続不動産について、査定だけでなく、売却条件や引渡し方法まで整理しながら進めています。
空き家相談専用ページ
https://www.bluekey-sendai.com/akiya/
「建物の状態を全部把握できていない」場合はどうする?
相続した実家では、
自分自身がその家に住んだことがない
という場合があります。
例えば、
親だけが30年間住んでいた。
子どもは県外暮らし。
親が亡くなって初めて建物を詳しく見る。
というケースです。
すると、
過去に雨漏りしたのか。
シロアリ被害があったのか。
給排水管に問題があるのか。
売主自身も分からないことがあります。
この場合、
「問題ありません」
と断言するのではなく、
分かっていること。
分からないこと。
を分けて説明することが大切です。
建物状況調査という選択肢もある
中古住宅では、
建物状況調査(インスペクション)
という制度もあります。
専門家が、
建物の構造耐力上主要な部分。
雨水の浸入を防止する部分。
などの状態を調査します。
すべての空き家売却で必ず実施しなければならないものではありません。
しかし、
中古住宅として一般の買主へ販売したい。
建物状態をある程度整理したい。
という場合には、検討材料になることがあります。
一方、
購入後すぐ解体する建売業者へ売却する
という場合には、必要性が低いケースもあります。
物件と売却方法に合わせて判断します。
売買契約前には「売却後に揉めそうなもの」を先に探す
契約書を読むと、
難しい言葉がたくさん並んでいます。
しかし売主として考えてみたいのは、
「引渡し後、買主から何を言われそうか」
です。
例えば、
「この荷物は誰が捨てるの?」
「雨漏りしているとは聞いていない」
「境界はどこ?」
「この物置も売買対象?」
「給湯器が動かない」
という内容です。
これらを契約前に一つずつ整理しておけば、
売却後のトラブルを減らしやすくなります。
古い家ほど「きれいにする」より「状態を共有する」
築年数の古い空き家を売るとき、
すべて修理。
すべて片付け。
すべて測量。
してからでないと売れないわけではありません。
例えば、
雨漏りあり。
残置物あり。
境界非明示。
設備保証なし。
という条件を買主が理解し、
価格にも反映したうえで売買する方法も考えられます。
大切なのは、
問題をなくすこと
だけではありません。
問題があるなら、
その状態を双方が理解して契約すること
です。
まとめ|空き家の売買契約は「価格」より「何を約束したか」が重要
相続した実家の売却では、
1,000万円。
1,500万円。
という価格に目が行きます。
しかし契約後のトラブルを避けるためには、
引渡状態。
雨漏り。
設備。
残置物。
境界。
測量。
解体。
などの条件も非常に重要です。
特に、
「現状渡しだから全部大丈夫」
とは考えない方がよいでしょう。
現在の状態を確認し、
分かっている不具合を伝え、
売主と買主がどこまでを前提として契約するのかを明確にする。
これが重要です。
古い空き家だからこそ、
完璧な住宅にして売る
のではなく、
現在の状態に合った条件で売る
という考え方があります。
売却条件まで整理してから進めたい方へ
「古い実家なので契約後のトラブルが心配」
「残置物付きで売りたい」
「修理や解体をどこまで行えばよいか分からない」
という段階でも構いません。
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※本コラムは、中古住宅・空き家の売買契約について一般的な情報をまとめたものです。契約不適合責任、特約、引渡条件等は個別の契約内容によって異なります。具体的な契約については宅地建物取引業者や、必要に応じて弁護士等の専門家へご確認ください。


