古い空き家の売買契約、どこを見る?「現状渡しだから大丈夫」と思う前に確認したいこと
相続した実家を売り出してしばらくすると、不動産会社から、
「購入したい方から買付が入りました」
と連絡が来ることがあります。
買付証明書。
購入申込書。
買付申込書。
など呼び方はさまざまですが、
「この条件なら購入したい」
という買主側の意思を示す書面です。
例えば、
売出価格 1,500万円
に対して、
「1,400万円なら購入したい」
という申込みが入ったとします。
ここで、
「100万円安いから断ろう」
あるいは、
「買ってくれるならすぐOKしよう」
と価格だけで判断してしまうことがあります。
しかし、空き家や相続不動産では、
購入価格以外の条件
によって、売主側の負担や最終的な手取りが大きく変わることがあります。
今回は、相続した実家に買付証明書が入ったとき、何を確認して判断すればよいのか整理します。
買付証明書=売買契約ではない
まず知っておきたいのが、
買付証明書が届いた
=
売買契約が成立した
とは通常考えないということです。
買付証明書は、
購入希望価格。
契約希望日。
引渡し希望日。
融資利用の有無。
その他の希望条件。
などを買主側から提示するために使われます。
その内容を売主側で確認し、
条件を調整。
重要事項説明や契約内容を確認。
双方が合意したうえで売買契約へ進む
という流れになります。
そのため、買付が入った段階では、
「価格以外の条件も確認してから返事をする」
ことが大切です。
まず見るのは、もちろん購入希望価格
例えば、
売出価格 1,500万円
に対して、
買付価格 1,350万円
だったとします。
150万円の値引きです。
ここで重要なのは、
「150万円安い」
という事実だけではありません。
例えば、
販売開始から1週間。
問い合わせも多い。
という状態なら、急いで150万円値引きする必要はないかもしれません。
一方、
半年間売却活動をしている。
内覧も少ない。
現在の相場から考えて1,350万円が現実的。
という状況なら、検討する価値があります。
買付価格を見るときは、
査定価格。
売出価格。
販売期間。
他の問い合わせ状況。
周辺相場。
を一緒に考えます。
同じ1,400万円でも「条件」が違えば価値は違う
例えば、2人から次の買付が入ったとします。
Aさん
購入価格 1,450万円
住宅ローン利用
家財撤去希望
建物の一部修繕希望
Bさん
購入価格 1,400万円
自己資金
残置物ありで購入可能
現状のまま引渡し希望
単純に価格だけなら、
Aさんの方が50万円高い
ということになります。
しかし、売主側が、
家財処分に40万円。
修繕に30万円。
かかるのであれば、
実際の条件は違って見えます。
つまり、
最も高い買付
=
最も良い買付
とは限りません。
古い空き家では「現状のまま買うか」が重要
築40年、50年の実家では、
雨漏り。
古い設備。
残置物。
庭木。
物置。
建物の傷み。
などがあることがあります。
買主から、
「すべて撤去してください」
と言われるのか。
「このままで構いません」
と言われるのか。
によって、売主の費用負担は大きく変わります。
例えば、
買付価格 1,300万円
残置物処分不要
と、
買付価格 1,350万円
残置物処分費70万円
なら、
単純な費用比較では1,300万円の方が有利になります。
空き家売却では、
売却価格
だけではなく、
売るために売主があといくら使うのか
まで確認します。
測量を求められているか
古い土地では、
境界標が見つからない。
昔の測量図しかない。
隣地との境界が分かりにくい。
ということがあります。
買付条件に、
「確定測量後の引渡し」
などが入っている場合は注意します。
測量が必要になると、
費用だけではなく、
隣接所有者との立会いなどに時間がかかる場合があります。
そのため、
1,500万円で買うが確定測量が必要
という条件と、
1,450万円で現況のまま購入
という条件では、単純に50万円差だけでは比較できません。
何を売主負担で行う条件なのかを確認します。
解体は誰がする?
土地目的で購入する買主の場合、
建物を解体する
という話が出ることがあります。
この場合も、
売主が解体して更地で引き渡す。
買主が購入後に解体する。
では大きく違います。
例えば、
購入価格 1,500万円
売主負担で解体
解体費300万円
なら、
単純な費用差引後は1,200万円です。
一方、
購入価格 1,300万円
建物そのまま引渡し
なら、
後者の方が売主に残る金額が多い可能性があります。
「更地渡し」という一言でも数百万円の違いになることがあるため、必ず確認したい条件です。
住宅ローンを使う買主かどうか
一般の住宅購入者の場合、
住宅ローンを利用することがあります。
買付証明書に、
融資利用予定
と記載されている場合は、
融資承認を前提とした契約になる可能性があります。
一方、
不動産事業者が自己資金等で購入するケースでは、
融資条件が異なることがあります。
だからといって、
現金購入なら必ず優先すべき
という意味ではありません。
重要なのは、
買主の資金計画と契約条件を確認し、
どの程度確実性のある申込みなのか
を不動産会社から説明してもらうことです。
契約日と引渡し希望日も確認する
例えば、
買主A
1,500万円
3か月後に決済希望
買主B
1,450万円
1か月以内に決済可能
という場合です。
売主が、
とにかく早く現金化したい。
固定資産税や管理負担から早く離れたい。
相続人間で早く分配したい。
という事情があるなら、
50万円の価格差より売却時期を優先する
という判断も考えられます。
反対に、
急いでいない
のであれば、高い条件を狙う方法もあります。
つまり、
良い買付とは何か
は売主の事情によって変わります。
買付が入ったときこそ「手取り」を計算する
例えば、
購入価格 1,500万円
という買付が入ったとします。
そこから、
仲介手数料。
測量費。
家財処分費。
解体費。
登記関係費用。
住宅ローン残債。
などを確認します。
場合によっては、
購入価格1,450万円の別の買付の方が、
条件が良く最終的に手元に残る
こともあります。
買付が入ると、
「いくらで売れるか」
が確定に近づきます。
だからこそ、この段階で一度、
実際の手取り見込み
を計算してみることをおすすめします。
宮城県の空き家に買付が入り「受けるべきか迷っている」という方へ
例えば、
「売出価格より100万円安い」
「買取業者から申込みが入った」
「解体を条件にされている」
「もう少し待てば高く売れそうな気もする」
という場合です。
購入価格だけではなく、
必要費用。
売却までの期間。
買主の条件。
他の販売可能性。
を整理して判断します。
株式会社Blue Keyでは、宮城県内の空き家・相続不動産について、査定から販売方法、売却条件まで整理しながら進めています。
空き家相談専用ページ
https://www.bluekey-sendai.com/akiya/
複数の買付が入ったら、一番高い人を選ばないといけない?
必ずしもそうではありません。
例えば、
Aさん 1,500万円
Bさん 1,480万円
だったとしても、
Aさんには複数の条件があり、
Bさんは現状のまま早期決済可能
ということもあります。
売主側として、
価格。
条件。
確実性。
引渡し時期。
などを比較して判断します。
不動産はオークションではありません。
一番高い金額を書いた人へ必ず売却しなければならない、という単純な仕組みではありません。
買付を受ける前に、口頭条件も書面へ整理する
例えば、
「家財はそのままでいいですよ」
「境界については現況で構いません」
「物置も買主側で処分します」
と話していたとしても、
契約時には、その扱いを明確にしておくことが重要です。
後から、
「そんな話は聞いていない」
となればトラブルになります。
買付から契約へ進む際には、
何を売主がするのか。
何を買主が引き受けるのか。
を契約内容へ反映していきます。
売主側から条件を返すこともできる
例えば、
買主
「1,350万円で購入したい」
売主
「1,400万円なら売却したい」
というように、
買主の買付条件をそのまま受けるか断るか
だけではなく、
条件を調整することもあります。
価格だけではなく、
決済時期。
残置物。
測量。
引渡状態。
などについて調整することも考えられます。
買付が入ったからといって、
その場で即答しなければならない
とは限りません。
内容を整理し、納得できる条件で契約へ進みます。
買付が入ったら「売れるか」から「この条件で売るか」に変わる
販売開始までは、
本当に売れるだろうか
という不安があります。
そして買付が入ると、
「この条件で売っていいだろうか」
という別の判断になります。
ここで大切なのは、
最初に希望していた金額だけに固執しないことです。
例えば、
1,500万円で売りたい
と思っていて、
1,450万円の買付が入った。
50万円下がった。
とだけ見るのではなく、
あと半年所有した場合の維持費。
今後値下げする可能性。
買主の条件。
なども考えます。
反対に、販売開始直後に大きな値引き交渉が入ったのであれば、
すぐ応じず市場の反応を見る
という判断もあります。
売却価格は、
買主から提示された数字
だけではなく、
販売状況全体を見ながら判断します。
まとめ|買付証明書は「金額を見る書類」ではなく「取引条件を比較する書類」
相続した実家に買付が入ったら、
まず購入希望価格
が気になると思います。
しかし確認したいのは、
価格。
融資条件。
契約時期。
決済時期。
家財。
修繕。
測量。
解体。
引渡状態。
などです。
1,500万円の買付より、
1,450万円の買付の方が売主にとって有利
ということもあります。
重要なのは、
一番高い買付
ではなく、
最終的な手取りと負担を考えたときに、一番納得できる条件
を選ぶことです。
そして買付が入った段階では、
まだ契約内容を確認する重要なタイミングです。
慌てて返事をするのではなく、
何を売主が負担し、
何を買主が引き受けるのか
を整理してから売買契約へ進みましょう。
「この買付を受けるべき?」という段階でも売却条件を整理できます
「査定額より安い申込みが入った」
「建売業者から買取価格を提示された」
「残置物や解体の条件がよく分からない」
という場合には、
購入価格だけではなく、売却費用・引渡条件・売却期間を含めて比較することが重要です。
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売却する場合も、査定価格だけではなく、実際の購入条件を確認しながら進めます。
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※本コラムは、不動産売買における購入申込み・買付証明書について一般的な考え方をまとめたものです。買付証明書等の法的な評価は、書面の内容や具体的な交渉経緯等によって異なる場合があります。実際の契約条件については、宅地建物取引業者や必要に応じて法律専門家等へご確認ください。


