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コカ・コーラ、自販機飲料の一部10円上げ 増税時

2014年1月12日

テーマ:経済・経営雑感

コラムカテゴリ:法律関連

参考リンク:http://www.nikkei.com/article/DGXNASGF0905C_Z00C14A1MM8000/?dg=1

4月の消費税率の引上げに向けて動向が注目されていたコカコーラが自動販売機の商品について一部を10円値上げすると決めたというニュースです。
記事によるとコカコーラは10円値上げ、ジョージアは据え置きと値上げと据え置きが混在するということですね。コカコーラは競争状況にないから値上げして、缶コーヒーは競争が激しいから据え置きする。企業側の価格決定からいえば、理にかなった方針だと思います。
同じ自動販売機内で、130円のコカコーラと120円の缶コーヒーが共存する。一見すると消費者にすれば混乱しそうですが、すでに自動販売機によっては、商品ごとに値段も違いますし、まぁこれによって混乱することもないでしょうね。
もともと消費税法の中には転嫁という概念はありません。それは消費税が広義の意味では間接税と位置づけされていますが、本当は直接税だから。消費税の納税義務者は消費者ではなく事業者。そして、担税者は消費者とはいえ、法律で消費者が担税者であると規定しているわけでもなく、この担税者が消費者だからという理屈でいえば、法人税だって価格に転嫁されて負担しているのは消費者なんですよね。法人税は当然に直接税。法人税率が引き下げられたからといって、モノの価格がその分値下げになるなんてあんまりありません。消費税も同じなんですよね。もっといえば、消費税率が3%引き上げられたからといって、販売価格を3%引き上げるだけで良いのかと言えば、事務コストの増加などでとてもじゃないけど、3%の転嫁だけではマイナスにしかならないんですよね。
話を戻して、自動販売機の清涼飲料水の価格について。この価格は元々100円だったんですよね。それが消費税が3%で導入された時に110円に、消費税率が5%に引き上げられた時に120円にと値上げされてきました。その時々の言い訳としては、自動販売機は1円玉が使えないから。したがって四捨五入どころか切り上げで価格が決められてきました。今回も据え置きになる商品はあるとはいえ、5%から8%へと3%の引上げのために10円の値上げ。これで最初の100円から考えれば、30%の値上げです。でも消費税率は8%、実は清涼飲料水メーカーには22%もの益税が発生しているんですよね。
元々の税抜価格は100円だったんだから、消費税が8%になったとしても、108円で切り上げても110円で十分転嫁できているんですよね。
来年の10月には消費税率も10%になります。8%からは2%の引上げ。このときにも1円が使えないからと10円値上げするのかなぁ。
コカコーラは数字のマジックで、完全に儲けすぎです。消費者にすればたった22円の話でも、全販売数で考えるとものすごい利益になります。
これって消費税率引上げの度に、累積しての完全な便乗値上げとして問題だと思うんですけどねぇ。

この記事を書いたプロ

久乗哲

経営改善・金融交渉を支援するプロ

久乗哲(税理士法人りたっくす)

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