風量測定器「オーメータ」が換気扇試験装置に使用された例
前回のコラムでは風量測定にはオーメータが適していると説明いたしましたが、もう少し詳しく説明させていただこうと思います。
風速を測定して風量を得る場合の問題
オーメータはオリフィスを用いた風量測定器(風量計)ですが、一般に風量を測定する場合には風速を測定してそれに面積を掛けて風量を算出する方法がよく使われます。
昔は配管に時々ピトー管を差し込んで差圧を測定して風量を算出していました。
しかし、そのころから私は風量測定に関心があり、常設して常に風量を監視するべきであると考え、ピトー管を用いた風量測定器を製品化して販売していたことも有ります。
時々ピトー管を入れて測るより良くはなりましたが、いろいろ試して見て、正しい平均風速を得るのはとても難しい、いやほとんど無理だということが判りました。
配管の中を流れる気流は場所によって異なります。十分な長さの配管の場合は中央部が最も速いのですが一般の配管では偏った流れになっております。
またねじれた流れもあり、配管の中の風速を測定してみると測定する場所によって違った値が測定されます。
一般の配管の中の風速は偏っているのが普通です。また風速が常に変化していることも良くあります。
そのような状態で平均風速を求めるのはとても無理なのです。
風束計が間違っているというわけではありません。
非常に精度良く測定できると思います。
しかし、その測定した風速より正しい平均風速を求めるのはほとんど不可能なのです。
その結果、各種システムにおいて風速を測定して風量を求めるのは無理であると思います。
ご理解いただけましたでしょうか?
参考に「JISB8333 送風機の試験及びテスト方法」に記載されている測定装置の図と測定断面の20か所を測定して平均を求めるための図を次に示します。
JISに示されたように20か所も測定して平均風速が測定できるのです。しかしとても実用的ではありません。
オーメータによる風量測定は本当に正しいのですか?
風速を測定して風量を求める方法はシステムの風量を求める場合には問題であることより、正しく風量を測定するために風量測定器(風量計)オーメータが出来上がりました。
いろいろな配管で使用していただいた結果、ピトー管や風速計で測定する場合のように表示値が揺れ動くこともなく安定した表示ができることが判りました。
しかし、オーメータで測定した値が正しいと言っても証明する方法が有りません。どうしたものかと思案した結果、実測してみることにしました。
方法は写真のようにビニール袋を長くつないだものを作り、その中に空気をある時間吹込み、抵抗にならない状態で止めて、袋をしごいてパンパンにして長い円筒状にして、その長さと断面積を掛けて袋に入った空気の量を計算して、測定時間で割って、風量を計算しました。
オーメータはOM32AとOM65Aを直列につないで同じ流れを2台で測定しました。
その結果、2個のオーメータの風量表示値とビニール袋より算出した風量の計算値、その三つが見事にぴったり合ったのです。
写真は風量値が0.77m3/minですが、いくつか風量値を変更して行いましたが、表示値と計算値はいつも同じ値が得られました
オーメータの前後の配管長さも十分でありませんでしたが、十分精度の高い結果が得られることが判りました。
実際にご使用いただいているところでも前後に十分な直下部を取れないことがほとんどですが、十分精度の高い結果が得られております。
これは、オリフィスにより空気流れが圧縮されることにより、それほど長い直線部が無くても、精度が高い結果が得られるのだと推測しております。
オリフィスの欠点は空気を圧縮することにより圧力損失がある点がよく言われます。
確かに圧力損失は起こりますが、大抵のシステムにおいてはあまり問題にならない値であると思います。
オリフィスの前後の差圧がそのまま圧力損失になるわけではなく、絞り比によってかわりますが、それの何パーセントかになります。絞り比が0.8の場合測定した差圧の34.6%が、絞り比が0.6の場合は測定した差圧の62.1%が圧力損失になります。
どうしても大きな圧力損失が許されない場合は配管径を少し太くして圧力損失を下げることも可能です。
オリフィスによる風量測定器(風量計)オーメータは、配管の直管部の長さがそれほど長くなくても十分に精度の高い測定ができ、測定値が安定しております。 いろいろなシステムの風量測定に有効にご利用いただけると思います。