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コラム

裁判のWeb会議

2021年1月14日

コラムカテゴリ:法律関連

 先日初めて大阪地裁の裁判にWeb会議で出頭したが、顔が見える分、電話会議と比べるとやりやすかった。
 また、基本的に両手が空いているので、記録をめくりやすいという利点がある。
 電話(電話会議という正式な手続)だと、片手で電話を持っていたり、肩に挟んで記録をめくるので、記録を確認しづらいのである。
 もちろん、スピーカーにしてするという方法もないではないが、聞きづらいことがあり、やはり受話器で耳から聞かないと聞こえづらい。

 勤務弁護士として働き出した時に、全国展開をしている法人の事件があり、電話会議がない時代は毎回裁判所に行かなくてはならず、相当な負担であった。現地に行き、相手の代理人が「準備が間に合いませんでした」として期日が空転した時の怒りは今も忘れられない。
 民事訴訟法が改正され、電話会議ができた時には感涙にむせぶ思いであった。

 それよりもさらにWeb会議はやりやすいと感じた。
 大阪地裁も往復すると地味に時間を取られるので、簡単な手続であれば、Web会議で十分である。

 Web会議が普通のことになると、遠隔地の事件などを都市部の弁護士がするようになるのではないかという意見もあるが、依頼者の側からすると、近くに居て打合がやりやすい弁護士に普通は依頼すると思うのと(京都の事件なのに、東京の弁護士の方が能力が上だとして、わざわざ東京の弁護士を依頼される方もいるので例外はあるが。)、Zoomなどで打合ができるとはいえ、裁判資料を基にした打合はオンラインであると正直限界があると考えるので、都市部の弁護士が地方の事件を受任しまくるというような事態が本当に想定されるのかは疑問である。
 尋問となれば現地の裁判所に行かないといけないし(かつて一度だけテレビを利用して遠隔地の証人を尋問したが、全く尋問しているという意識を持てず、あれでは裁判所も心証が取れないであろうと感じたことがあった)、依頼者との打合も必要であるから、地方の事件を遠隔地の弁護士が受任しまくるというのはやはりハードルが高そうである。

 事情により、遠隔地の事件や遠方の依頼者の事件を引き受けることはあるが、お互い、意思疎通には工夫を凝らす必要があり、地元の方の依頼を地元の弁護士が受ける方がスムーズであることは間違いがないように思っている。

この記事を書いたプロ

中隆志

被害者救済に取り組む法律のプロ

中隆志(中隆志法律事務所)

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