相続事件の増加

中隆志

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 どこの事務所でもそういう傾向があるようにも思うが、ここ近年相続事件が増加している。
 通常の遺産分割もそうだが、遺産分割に絡んで、もろもろの諸問題が絡む事件が多い。

1、遺言の有効性、解釈の問題が絡む事件
 公正証書遺言でも普通に無効になることもあるので、遺産分割の前提の事件が増えた。
 また、遺言書の記載だけからは当事者間で解釈に争いがある事件は、裁判所で確定してもらわないと前に進めない。

2、相続人の1名又は複数で、遺産を予め取り込んでいる類型。
 被相続人の遺産から生前使い込みをしていたとして、損害賠償あるいは不当利得返還請求をする事件がある。これは割合多くて、一覧表を作成して緻密な主張立証をしないといけないが、けっこう使い込みが認定される事件も多い。
 これを危険視して、後見人の選任申立を依頼されることも増えているし、そうした事件への関与も増えているように思う。

3、遺産かどうか争いがある類型
 相続人名義であるが、その資金が被相続人から出ているとして、遺産に含まれるか否かが争われる類型。これも一定割合ある。

4、遺留分減殺
 遺言が有効であったとしても、相続人に遺留分があると、この点で争いが続く。

 相続法が改正されるものの、周辺の諸論点が消えるはずもなく、10年戦争となる事件も珍しくない。
 中には署名押印を言われるがままにしてしまったという出だしから辛い相談もある。
 疑問があるなら、印鑑を押す前に、弁護士への相談が重要だと思う今日この頃である。

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